番組紹介

ラジオNIKKEI第1 毎週土曜日 18:00~18:30 ほか

45年超の歴史を有する、民放ラジオ最長寿級のジャズ番組。進行役は、フリーアナウンサーの山本郁。毎回ミュージシャン、シンガー、ジャズ関係者などをスタジオに招き、そのゲストにゆかりの曲をかけてジャズ・トークをお届けします。

新着記事

11月17日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]

2018.11/16 番組スタッフ 記事URL

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜22:30~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.436~地獄の台湾取材旅行】

  今月23日放送の1時間の台湾特番「21世紀の台湾と日本」はなんと開始以来17年目を迎えており、局の若いディレクターに寅さんシリーズ並みですね...などと、慰労とも揶揄とも取れる微妙な言葉をかけられる有様。まあこれも何かのご縁と割り切って仕事を続けているのだが、制作者のチャンジー度(爺さん度)が増すにつれ、予算が無いせいで取材は過酷度を極めており、今回の台中花博メインの取材旅行はなんと格安航空(LCC)を使用した1泊3日の行程と言う、70才を過ぎた高齢プロデューサーには地獄とも言えそうな、なんとも体に堪える過酷そのものの取材旅行だった。友人などはどうしてそんな...などと忠告してくれるが、まあこれも成り行きで致し方なし。
 LCCでのフライトは早朝の5時過ぎ。息子の車で送ってもらい途中スタッフもピックアップし、羽田空港に3時過ぎに到着。前回もこの便だったのでまあこれは我慢できるが、帰りもぎりぎりまで取材して帰国便と言うことで、台北桃園空港を夜の12時過ぎ出発で羽田到着は早朝3時半過ぎ。無人の空港に寂しく到着と言う笑えない現実。行きは日本の観光客が大部分だったが、帰りは台湾系列のLCC便だけに台湾の若者ばかり。まあ行きも帰りもおそらく最年長がこのわたし目だった筈だが、さすがに帰りはぐったり。帰国後2日ほどは疲れで何も手に着かない状態で、我ながら体力の衰えを実感させられた。

 さて肝心の台中國際花博取材だが、これがまた今までにないほど厳しいもの。習近平になってからの中国の台湾包囲網の進展によって、国際的には友好国が極端に減少しつつある台湾においてこうした国際的イベントは大きな意味を持つもの。それだけに取材も重要な意味を持ち心して臨んでいるが、花博全体が単一の会場では無く3会場に分散(正確には4会場)、それを全部廻り切るだけで一苦労。本来は2日間ぐらいかけてゆっくり取材すべきなのだが、予算の関係でそんな悠長なことは言っておられず、朝から晩まで駆けずり回って取材を敢行、終わればスタッフ全員がっくり状態。取材で歩いた歩数はなんと2万歩超えで、歩数計を見て我ながら驚いてしまった。それも無理からぬことで一つの会場がかなり広く、さらに3会場は東京でいえば、新宿がメイン会場とすると、もう一つは吉祥寺そしてもう一つが自由が丘と言った感じで、全場を回るだけでも一苦労。それもほとんどが台中郊外で、それぞれは無人のシャトルバス(これが売り物の一つ)が結ぶと言うことになっているのだが、どのバスも満員でとても乗っている暇などは無く、結局はタクシーをチャーターしての会場巡り、当初予算も軽くオーバーしてまたまた私目の持ち出し。こんな苦労をして何を...などとブツブツ文句をたれながらも取材を敢行、どうにか番組としての体裁は整えたつもりだが...。

 
それにしてもこうした国際的なイベントに対する台湾の人達の関心は、中国の嫌がらせを乗り越えなければならないだけにことさら高いものがあり、11月初めに台中市で開かれたオープニングセレモニーには5万人を超す人が参加。林台中市長や蔡総統なども出席、熱気ほとばしる大々的な盛り上がりだったと言われる。その模様は特番の中でも一部紹介しているが、ただこの花博、一般にイメージされている様な花で溢れたと言うよりも、自然との調和や環境保護、台湾農業の未来像などと言った幾つかのテーマが確定しており、それに沿ったテーマ館やゾーン設定で、花一杯の会場を参加者が軽やかに散策すると言った従来の花博イメージとはいささか異なったもの、それだけに全貌を紹介するには中々に大変なのだが...。
 
花に関して言えばそれはもっぱらあの華麗な蘭。台中市は世界有数の蘭の生産地&出荷地で、日本にも多くの蘭がこの都市から届けられているのだが、日本人は余りその実態を知らない。メイン会場の蘭パビリオンは正に世界の蘭オンパレードの様相で、スタッフ全員が余り蘭に関心も無いだけに、残念ながらその価値も余り分からなかったが、日本の著名園芸家などは感激し切りで、その栽培技術の高さを褒めちぎっていた。

 11月23日、休日の昼間にオンエアーの台湾特番。この台中花博紹介がメインになりますが、その他にあの福原愛ちゃん(旦那は台湾の卓球選手で、2人は台湾在住)や今話題の直木賞作家、東山彰良氏(台湾生まれ)なども登場、台湾の素晴らしさや魅力、台中花博の見所などを紹介してくれています。他局には無いこの歴史ある台日友好特番、ご期待に添える内容と...密かに自負しています。是非ご期待下さい。

【今週の番組ゲスト:ピアニストの八木隆幸さん】
10枚目のリーダーアルバム「New Departure」から4曲
M1Kyoto Tower
M2Music On The Second Floor
M3View From Newark
M4Beyond The New Horizons

11月10日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]

2018.11/09 番組スタッフ 記事URL

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜22:30~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.435~ラグビーウィーク】

 まず初めに今月のジャズニュースは、11月2日(金)、山下洋輔NYトリオの結成30周年コンサートが上野の東京文化会館小ホールであり、それを聴きに行ったこと。このNYトリオ結成30年とは全く凄いことで、コンサートタイトルも「30光年の浮遊」。最年長のベーシスト、セシル・マクビーは今年なんと83才のはずで、次が山下氏で70後半(チラシにも彼の生年月日が出ていない)、一番若いフェローン・アクラフでも、既に60代半ば、全員合わせて200才は優に超えると言うウルトラチャンジー(爺さん)トリオだが、その意気込みは仲々のもの。セシルだけは自身のフューチャーナンバー以外は御年だけにいささかよれ気味だったが、山下&フェローンの迫力は満点。特にフェローンのドラムは凄みを増した感じで、彼が一人でこのトリオを引っ張っている感もあった。曲は30周年記念アルバムからのナンバーが殆ど
で「ドバラダ2018」とか「ブルー・キャッツ」と言った山下オリジナルは、ある意味どれも同じに聞こえる所もあるのだが、それはそれでまた楽しい所。
 客席も最も若い所で50才台と言う感じで、これもまた現代の縮図の様相だが、そのファンが山下の肘打ちプレーなどに狂喜乱舞するのだから、いささか見苦しい所はあるが、確かにハイライトとして仲々にスリリングではある。興味深かったのは唱歌の「早春賦」(中田章)を取り上げたことで、山下さんらしくなくかなりストレートにメロディーを歌い上げ、いささか拍子抜けの反面、そのシンプルで美しいピアノ技に魅せられたのも事実だった。大いなるマンネリの面はあるが、それなりに愉しめた30周年記念でした。周りはジャズ関係者ばかりでいささか型苦しくはあったが、旧交を温めるのにはいい機会でもありました。


 しかしこうしたジャズイベント以上に10月最終週から11月初週は、紛れもなくラグビーウイーク。ここでラグビー関連を書かなくて何になる...と言うことで、ジャパンがニュージーランドのオールブラックスと対戦したり、オールブラックスとワラビーズ(オーストラリア代表)が国同士の覇権を掛けて横浜で戦ったり、それ以上に我が早稲田ラグビー部が創部100年の記念年に、憎き帝京大と戦う...など好試合話題の試合が目白押し。山下トリオの翌日からは2連戦で、我がジャパンと早稲田大の試合を観戦、どちらも良く似た経過でひいきチームは惨殺されてしまい、言葉も無しの状態。ジャパンの方は相手が1軍半と言う若いメンバー、それだけにかなりいい試合が出来ると...踏んでたが、これが全く甘い観測。キャップ(公式戦に出場)数は殆どない若いメンバーでも、流石にオールブラックス。がたいも凄ければスピードも抜群、更に基本に忠実と...、伊達に黒衣軍に選出されたのではない実力を万余のラグビーファンに見せつけてくれました。流石本場のニュージーランド軍です。参りました。

 そして翌日の我が早稲田軍。前日のジャパンの試合を見ていて何か悪い予感がしたのですが、まさにその通りの結果でこちらも惨殺されてしまいました。夏の菅平の練習試合では完勝、目の前の好結果に思わず涙してしまいまっただけに、今回こそは本試合でと期待大で秩父宮に向かったのですが、そこは帝京大。ここ一番と言う時には圧倒的な力を発揮します。肝心のFW(フォワード)が菅平の時とは別人の働きをする帝京大に対し、殆ど為す術もない感じで、試合前半で24対0と一方的な展開。もうここで完全に試合は決定、興味も尽きてしまいました。後半俊足バックス陣の活躍で4トライは取りましたが、それはあくまでも付けたりで、やはり惨敗の印象は免れません。こうなるともう何も手が付けられない喪失状態。いつもだと試合後の記者会見にも出席、質問の一つもぶちかます所ですがそんな気は少しも起こらない呆然状態。あとはひたすらラグビー大学選手権で準決勝迄勝ち残る(正月越えを果たす)ことだけを願うばかり。全く寂しい秋の夕暮れです。こうなるとジャズどころではありません!

【今週の番組ゲスト:ジャズベーシストの吉木稔さん】
デビューアルバムの『ONE+(プラス)』と
The Beatlesの曲を演奏するユニット「RHIZOME」でリリースした『PLAYS THE BEATLES』から4曲ご紹介しました。

M1「Norwegian Wood / RHIZOME」
M2「Bésame mucho / 吉木稔」
M3「I Am the Walrus / RHIZOME」
M4「Across the Universe /  RHIZOME」





11月3日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]

2018.11/02 番組スタッフ 記事URL

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜22:30~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.434~ブラジルからのギタリスト】

 先日東京駅そばのジャズクラブ「コットンクラブ」に行ってきた。ブラジル出身の知る人ぞ知る名ギタリスト、ホメロ・ルバンボの来日公演があると聞き、これは聞き逃せないと思って駆け付けた次第。ホメロは現在はNY在住のはずで、ブラジルからのギタリストとはならないのだが、ダイアナ・クラールを始め多くの一流シンガーが、ボサノバなどのブラジル関連ナンバーを歌おうと思った時に、まず最初に思いつくのが彼の名前で、実際多くのシンガーとステージやアルバムなどでも共演、引く手数多のギタリストである。来日公演も数多い筈なのだが、残念ながらこれまで一度もそのステージに接したことが無い。時々ディスクユニオン等で中古アルバムを探る時に、ホメロの名前がクレジットされていると自ずと手が伸びてしまうと言う、外れアルバムの無い人でもある。 
 
 
ところでこのコラムをお読みになって頂いている方はお分かりと思うが、ぼくはまず第一義的にラテンジャズ愛好者なのだが、同じ楽園系中南米音楽として、ブラジルものもかなりな愛好家。その第一人者が来日とあるので、これは行かねばと思うのも必定。時々ラテン音楽とひとくくりにされてしまう関係からか、キューバやNYサルサ等のラテン系音楽とブラジリアンミュージックを、同じ一つのものに考えている向きも結構いるのだが、これは大間違い。中南米系にはこの他タンゴやレゲエも、それぞれアルゼンチンとジャマイカの音楽と言うことで混同されるのだが、これらとラテン&ブラジルものが違うのは分かっていても、ラテンとブラジルを同じジャンルと考えてしまう向きも決して少なくない様だ。しかしこの2つの音楽はまず言語そして根本のリズムなど全くの別物なのである。

 
そんな話はさて置いて、肝心のホメロなのだが、今回の来日ステージはピアノの俊才ピーター・マーチンとのデュオ共演。セントルイス出身のマーチンの方は、ジャズの登竜門「モンク・コンペティション」で準優勝した実力の持ち主で、ジョシア・レッドマンのバンドに加わったり、多くのシンガーの伴奏を務めるなど多方面で活躍しており、7年ほど前にはホワイトハウスに招かれ、あのオバマ大統領に自身の演奏を披露したと言う経歴の持ち主。この真の実力者同士のデュオだけに、内容はもう保証済みといった感じもあるのだが、如何せん2人とも地味過ぎる感も強い。それだけに観客の数がいささか心配と...「コットンクラブ」に出かけてみたら、案の定心配通りに客席はかなり空きが目立ったが、2人を愛するコアなファンも多い様だ。

 
ステージはブラジリアンミュージックの佳品を皮切りに、ピーターの生地、セントルイス出身の偉人、チャーリー・パーカーのバップ・チューン、ファンク・ナンバー、それに2人のオリジナルなど、実に守備範囲の広いレパートリーで、味わい豊かな滋味深い演奏が繰り広げられ愉しめた。特にホメロがエレキギターでファンクを演奏するのには少なからず驚かされたが、やはり何でもこなせる達人なのである。ピーターの方は確かニューオーリーンズでも活動していた筈で、日本デビュー作は「ニューオリーズーンズの新星登場」等と言う謳い文句だったと記憶しているが、「ニューオリーンズ―ハバナ」と言う彼のオリジナルは、この2都市即ちジャズとラテンジャズの融合に加え、更にホメロのブラジル要素も加わり、見事な中南米トライアングルミュージックが現出されていた。
 もう少し客席が埋まっていれば...などと余計な心配までしてしまったが、心に沁みる本当に良いコンサートでした。同行の女性はホメロのギターにいたく感激、彼の最新アルバム『サンパ』を買い求め、サインまでしてもらうことになり、更に感激の面持ち。いずれにせよ実に心地良い一晩でした。

【今週の番組ゲスト:四谷ジャズ喫茶イーグルの店主・後藤雅洋さんと、小学館「隔週刊CDつきマガジン」シリーズの編集長 小林慎一郎さん】

番組をお聴きの皆様の中から抽選で5名の方に、102日発売の「JAZZ絶対名曲コレクション」創刊号をプレゼントいたします。ご希望の方は、本ホームページ右側のお問い合わせフォームからご応募下さい! (お問い合わせ内容に「プレゼント希望」とお書きください)締め切りは1130日です。


シリーズ第4弾の「JAZZ 絶対名曲コレクション」の創刊号「JAZZ絶対名曲VERY BEST of BEST」第2号「ビートルズ ジャズ」から
M1Close to You / Ella Fitzgerald
M2My Favorite Things / Kenny Burrell
M3Come Together / akiko
M4Yesterday / Sarah Vaughan



10月27日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]

2018.10/26 番組スタッフ 記事URL

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜22:30~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.433~失った貴重盤が...】

 以前にもこのコラムで触れたと思うのだが、今ぼくは自宅と追分の山荘を合わせるとおよそ8000枚強のアルバム(CD+アナログ盤)を抱え込んでいる筈で、その4分の1ほどが追分で残りは自宅と言った配分。まあこれは少しも自慢できる話などでは無く、今時そんな無駄なものを...と言われそうだし、整理整頓が苦手でずぼらなだけにCDは積読(聴き)状態、部屋にCDが山積で家人からはいつでも捨てるからね...などと脅され続けている始末。実際のところ整理が良くないために、放送音源や書き物資料など音源資料が必要な時に限って見つからず、その都度CDショップに出かけ買い求めるなどと言う...、実に馬鹿げたことをしょっちゅうやっているのだ。それだけに自分の本当にお気に入りの50数枚は、別箱に保管する様にしているのだが、これも知り合いが訪ねて来た時などに軽い気持ちでその中から持ち出してしまい、そうすると殆ど手元に戻ってこない状態のアルバムも少なくない。
 そんな中の大事な1枚が、ソプラノサックスの創始者とも言えるシドニー・べシェの『ホエン・ソプラノ・ミーツ・ア・ピアノ』というアルバムで、べシェが1957年にパリで吹き込んだもの。タイトルのとおりフランスを代表するジャズピアニスト、マーシャル・ソラールと共演したもので、フランスの代表的レーベル「ヴォーグ」に収録されており、ぼくが持っていたのはその貴重なオリジナル盤。

 
これを手に入れたのは確か大学最後の年のはずで、知り合いの家でこのアルバムを聴かされ、当時はジョン・コルトレーンのソプラノサックスになじんでいたぼくとしては、時代を超越したその凄じいビブラートプレーに度肝を抜かれた思いがあり、知り合いに頼み込んで安く譲って貰った大事な1枚だった。しかし自慢げにこのアルバムを誰かに聴かせたのが運の尽き...、その誰かに貸し出しそのまま行方が分からなくなってしまったと言うトホホな事態。「ディスク・ユニオン」等の中古ショップに行く際は、結構べシェのこのアルバムを探してみるし、もしCD化されているならば...と探してみても当然見つからず、ぼくにとっての貴重な幻の1枚になってしまっていた。

 
それが全くひょんなことからこのアルバムのCDを見つけることが出来たのだ。ソプラノサックを吹くある新人のアルバム・ライナーノーツを頼まれべシェのことを調べていたら、なんとこのアルバムが今年の夏前に、モダンからクラシックジャズまでを網羅した20枚のIC(インナー・シティ)レーベル、「ジャズ・クラシック・シリーズ」の1枚として、日本でもひっそりと発売されていたのだった。これに気付くや欣喜雀躍状態で、一直線にCDショップに駆け込み珍しくも直ぐに正価で手に入れたのだった。家に持ち帰りアルバムジャケットを眺めると、ぼくの記憶とは大分異なりべシェとソラールの2人の顔を写した味気ないもの。まあこれも仕方ないだろうとアルバムをトレーに乗せてみると...。

 
といった所でべシェには関心ない...、というよりも彼の存在を知らないこのコラムの読者も多いはずなので、彼について簡単に紹介してみよう。ジャズの世界で初めてソプラノサックスを導入した巨匠であるのは当然で、ジャズ界ではあの天才サッチモ=ルイ・アームストロングと並ぶ、偉大なイノベーターにしてインプロバイザーとして高く評価される偉大な存在なのである。2人は同じジャズ都市、ニューオリーンズの出身で、年令はべシェの方が3才ほど年上。それがサッチモの方はジャズファン以外の誰でも知るようなビッグな存在なのに対し、べシェの方はジャズファンですら知らない...といった具合で、今では大きな差が付いてしまっている。これは全く残念なことなのだが、べシェもある時は日本でもかなりポピュラーな存在だったこともあるのだ。と言うのもJ-ポップスの元祖とも言われ、60年代には大人気を誇ったあの2人組デュオ姉妹、「ザ・ピーナツ」(なんだそれ...などと言われてしまうかも知れないが...)が唄って大ヒットした「小さな花~プティット・フルール」これの作曲者がシドニー・べシェで、この歌は世界的に大ヒットし一時はサッチモをも凌駕するほどだったのだ。彼は元々クラリネット奏者だったのだが、1920年代に欧州に楽団旅行に行った折ソプラノサックスと出会い、痛く気に入った彼はこれを主楽器にして大活躍。欧州好きでもあった彼は1950年にパリに移住、同地で「小さな花」の大ヒットをはじめ欧州中のジャズプレーヤーから敬愛を集め、その生涯を閉じることになった。享年62才。

 そんなジャズの歴史とともに歩いて来た巨匠でもある彼が、パリで、フランスのモダンジャズプレーヤーと共演したのがこのアルバム。そのモダンさに驚かされる1枚でもあるのだが、長いこと聴いていなかったのでぼくの勘違いも多く、てっきりこれはべシェとソラールとのデュオアルバムと思い込んでいたのだが、れっきとした彼とソラールトリオとの共演作。収録曲のうち丁度半分がソラール(p)ピエール・ミシュロ(b)、ケニー・クラーク(ds)といった、超一流のモダンジャズメンとの共演で、やはりかなりなモダンさ。しかし思っていたほどには迫力が無く、こんなものか...といささか気抜けしたのも事実。内容は素晴らしいのだがぼくの長年の想い入れが凄いだけに、いささか評価が下がってしまったのは当方の勝手な所。今はすぐに手に入る秀作アルバムなので、シドニー・べシェと言う大巨匠の豪快な技、是非堪能して欲しいものです。
 

【今週の番組ゲスト:ジャズ・トーク 音楽評論家の青木和富先生】
「ジャズオーケストラの歴史」についてお話し頂きました。
M1「The Mooche  /  Duke Ellington」
M2「Sing Sing Sing / Benny Goodman」
M3「The Champ / Dizzy Gillespie」
M4「Rat Race / Count Basie」
M5「Gonna Fly Now (Theme from Rocky) / Maynard Ferguson」
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10月20日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]

2018.10/19 番組スタッフ 記事URL

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜22:30~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.432~タモリのことなど】

  久々にタモリこと森田一義君と愉しく話を交わした。彼とは年に1~2度、業界関連のパーティや葬式などの場で顔を合わせる位で、その時で軽く挨拶はするが話をすることも殆ど無い。それが先日久し振りに彼にインタビューをする羽目になり、その後にも少しばかり話をしたのだった。そのインタビューは早稲田大時代のジャズ研OB会の開始前に行ったもの。場所は新橋にある有名ジャズクラブ「ベルズ・グリル&ジャズ(旧コットンクラブ)」の地下にある出演者控室。インタビューはこの暮れに放送される予定の1時間のジャズ特番「テイスト・オブ・ジャズ・スペシャル~新宿J物語」関連のもの。今年40周年を迎える我らが老舗ジャズクラブ「J」の周年記念の特番で、ぼくの同期(因みにタモリは1学年下)でもあるマスターの幸田「バードマン」稔くんと「J」について、お店に関係ある各界の有名人のインタビューや幸田君関連のジャズ音源などを挟み込み、幸田君のモノローグをメインにまとめてみる予定の1時間ジャズ特番である。そうなると店の宣伝部長(?)でもあるタモリは、必然的に登場してもらわないと番組は成立しない。ただ彼に番組出演依頼をするのは数年振り。と言うことでいつもはほとんど顔を出さないOB会にも開始前から顔を出し、会長などにも嫌味を言われつつこちらも久々のタモリインタビューでいささか緊張気味。

 
これは余り知られていない事実だし、当のタモちゃん自身ももう忘れているかも知れないのだが、彼の放送初登場は我がラジオNIKKEI(当時はラジオたんぱ)の番組。当時人気・実力共にトップを誇っていたピアニスト、数年前に亡くなってしまった中村紘子さんのインタビュー役としての登場だった。あの頃ラジオたんぱはどういう訳かクラシックコンサートを毎年正月に実施、その中心人物が中村紘子さん。その彼女をヨイショするための番組だったが、先輩ディレクターから局アナウンサーではなく誰かいいインタビューアーは...と頼まれ、直ぐに思いついたのが、一部でその特異芸(5か国麻雀等々)が評判になりつつあり、かみさんと共に上京したての幻芸人こと森田一義君の存在だった。
 大学時代の彼は「泣きのトランぺッター」として知られていた(5人ほどいる同期トランペッターの実力最下位だったので、この名称が付いたとも言われる)が、子供の頃からピアノを習っていて結構な腕前とも聞いていたので、持ち前の図々しさで何となくこなしてしまうのでは...ということで推薦したのだが、これが全くのハズレ。当時の女王ピアニストの前では、借りてきた猫的存在で全く駄目。先輩からはどうしてあんなのを...と叱責されるし、タモリ自身からも「すいませんでした、なにも出来なくて...」と謝られる次第。まあこれも無理からぬところで、福岡(当時は大分ゴルフ支配人の筈だが...)から上京したばかりで、新宿の「ジャックと豆の木」と言う裏酒場で山下洋輔一派などに持て囃されても、大ピアニストの前では一お上りさん同然で完全に上がってしまうのも無理からぬ所。
 この数週間ほど後に、同輩の岡崎正道ディレクター担当の「オールナイトニッポン」にゲスト登場、ここでのアドリブ満載のしゃべりと闇芸で一躍人気沸騰、お笑いビッグ3に迄上り詰めることになるのである。「オールナイトニッポン」と言えば、タモリと同期の人気絶頂ギタリスト、増尾好秋くんがNYから戻ってきてタモリの番組にゲスト登場した時、夜中に突然telして寝起きを襲うという人気企画があり、これに同業者だから何をしても...という理由だけで駆り出されたのがかく言う小生。TELがあるという話だけで一向に着信が無く、うとうとしていると約束の30分ほど後にtelがなり、寝ぼけ声を作り相手がタモリと増尾だとは分からないふりをして、2人におちょくられるというトホホな役割を演じたこともあった。今となっては結構良き想い出ではあるのだが...。


 まあそんな話はさておき、この中村紘子のインタビューが縁となり、その後一躍有名人になったタモリに、松下電器提供の(世界の放送局を聴くという)当時の大ブーム=BCL番組のメインをお願い、これは7年ほど継続し大好評の番組だった。また正月特番としては3年連続で、赤塚不二夫、山下洋輔、研ナオコ、ツービート(北野武先生)など豪華共演陣が登場する、3時間になんなんとする阿鼻叫喚の狂い咲き面白番組を制作したりもしたものだった。
 
 
そんな結構関係の深いタモリ先生だが、その後は余り番組での付き合いも無くなってしまって久々の声掛け。TELでインタビューを頼むと「申し訳ないですが、それは事務所の方を通して...」と軽くいなされてしまう。ということでダメ元で怖い存在の田辺エージェンシーの担当のマネージャーにtelすると幸運なことに以前仕事をしたことのある人で、直ぐに便宜を図ってくれ今回のインタビューが成立したという次第。タモリのマネージャーと言えば一番親しかったのが、ドンの昭知社長からも信頼厚く最後は常務にもなった筈の故M君。4代目のジャーマネだった彼は大分前に心臓の病気で仕事中に突然死してしまったのだが、年下の彼はなぜか色々と良くしてくれて(田辺に入った時からの知り合い)制作費の無い局事情も良く知っており「小西さんからの頼みならば...」と持ち上げてくれる。それに甘えて色々と無理も頼んだものだが、それももう大分いにしえの話である。
 件のOB会では主役格のタモリは、久々にかくし芸を披露。でたらめ「イパネマの娘」は流石タモリと言う鬼気迫る圧巻の出来栄え。タケちゃんもさんまもそして当然今の売れ筋芸人の誰もが出来ない珠玉にして圧巻の芸。バックはこれも鬼才ピアニストの清水くるみ。前衛ピアノとタモリのでたらめながらも迫力充分なボサノバ・スキャット。いやー久々に愉しませて頂きました。会場はやんやの喝采で、ジャズには肥えた耳の皆さんもしばし唖然とする、芸人タモリの真骨頂披露の瞬間でした。このタモリの面白経験談が聴けるジャズ特番「新宿J物語」期待してください。放送日時は決定次第このコラムでお知らせします。

【今週の番組ゲスト:NY在住のボーカリストでコンポーザーの須田宏美さん】
4thアルバム「GIFT」、3rdアルバム「Nagi」
M1「GIFT」
M2「Hajimari」
M3「Nagi」
M4「Both Sides Now」





10月13日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]

2018.10/12 番組スタッフ 記事URL

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜22:30~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.431~横浜ジャズ】

 10月の連休は横浜にいた。そう横浜で開催されたジャズフェス「横浜ジャズ・プロムナード」鑑賞である。今年で25周年を迎え、国内最大にして最高の出演者・入場者を誇るこの一大イベント。ぼくは第一回目以降、結構小まめに通っている口で、20回以上は参加している筈である。25年前の初回はかなりフェスも意欲的だった感があり、それこそ横浜中のホールでジャズが聴かれた。あの港の見える丘にあるクラシカルなホールから横浜駅直ぐ近くのホール迄、横浜の町を端から端まで駆けずり回らないとならないので、実に疲労困憊だった感があったが、最近ではメインの開港記念館(事務局もここに設置されている)の周辺会場がほとんど。それでも移動が結構大変なのは今も変わらない所で、その移動の大変さも含めてがこの「横浜ジャズ・プロムナード」の愉しみ方。ただ今回25回目のジャズフェスは、これまでこのフェスの象徴的立場にあった横浜球場代表でジャズクラブ「バー・バー・バー」のオーナーでもある鶴岡博氏が昨年暮れに急逝、ハマの財界の重鎮でスポンサー獲得などにも力のあった鶴岡氏の急逝で、フェス存続にも色々と支障が出てきたとも聞き、そんな中での開催、色々と心配もしたのだが、どうにか無事に運営された様で目出度し々でもある。

 
さて今回は10月6日(土)7日(日)の2日間の開催だったが、ぼくが行けたのは初日の土曜日の方。プログラムとしての面白さは外来ミュージシャンも多数登当日した日曜日の方だった。このフェスでのホール公演は、横浜ランドマークホールなどの大会場を含め全部で7つほど。その他街中にあるライブハウスや路上ライブも各所で行われており、それらを全て数えたらかなりな数になり正に、日本最大のジャズフェスと言う謳い文句に偽りなしの感じ。

 
フェス当日はJR横浜関内の駅で降り、事務局のある開港記念館迄徒歩で15分弱、事務局のスタッフに挨拶してパスをもらい、まずその記念館ホールでドラマーの芳垣安洋率いる「オルケスタ・リブレ」のステージを鑑賞。ジャンルを超えて様々な音楽を演奏するこのラージアンサンブルには、山下洋輔の直弟子のピアニスト、スガダイローと男性タップダンサーもゲストに加わり、今回はエリントン・ナンバーをメインに、にぎにぎしくも華麗なステージを展開。ヨーロッパ各地のジャズフェスでも大好評だというのも頷ける、先鋭的にして知的でエンターテインメント性も加味した、面白激烈な演奏で観客を魅了してくれた。
 続いてどこに行こうかとプログラムを見るとサックスの厚ちゃんこと峰厚介が、若手リズムセクションを率いた自身のカルテットで、横浜赤レンガ倉庫ステージに登場とあり、結構歩くと時間がかかるのだが顔繫ぎに出向くことにした。厚ちゃんのユニットは、ピアノの清水絵理子以下若手を代表する面々が揃っており、それに相応しい力演を展開、リーダーもベテランらしいかなり張り切った演奏振りだが、全盛時の彼を知る身からすると、やはり今イチ物足りない感は否めない。まあぼくより少し年下の彼だけに力感が薄れているのは仕方ない所。彼はこのほど7年振りのレコーディングを行い、この秋以降その新作が出るとのことだが、それが発表されたならば久しぶりにスタジオに...などと考えながら会場を後にした。
 続いてはNHKの横浜放送局スタジオにタクシーで向かう。ここでは横浜ジャズ界のボス、柴田浩一氏がライブ演奏を含めた生放送をオンエアー中。そこへ押しかけ今回同行している女流マリンバ奏者の北沢恵美子嬢を紹介、エディイ・ゴメスと共演した彼女のアルバムを番組で紹介してもらうように頼む、ボランティアプロモーション活動を行う。会場は無料でジャズライブが聴けるとあって超満員。生放送の合間をぬって彼女を柴田氏に紹介、アルバムもなるべく番組で取り上げて貰うように約束を取り付ける。やれやれである。

 
一仕事を済ませた後は2つばかりジャズライブを廻り、桜木町駅裏の野毛町きっての居酒屋「叶屋」へと場所を移し一杯。この叶屋はなんと先日、惜しくも亡くなってしまった女優、樹木希林さんの実家。野毛の歓楽街のど真ん中にある旧居酒屋、彼女も月に1、2度は訪れていたとも言われているが、彼女の死亡のニュースを受け、店は追悼を兼ね満杯かと思いきやそうでもなかった。希林さんと言えば彼女が未だ前の芸名、悠木千穂を名乗っていた時に、ただ一度だけだがぼくの演出したラジオドラマに出てもらったことがあり、その時も確かかなりな老け役だったが、実に的確な演技で恐れ入った思い出がある。惜しい人を亡くしたとの思いを込めつつ、女流マリンバ奏者と共に焼酎の水割りで献杯した。 

【今週の番組ゲスト:ピアニストの太田寛二さん】
8月にリリースされた4枚目のアルバム『A Day in New York』をご紹介頂きました。

M1
Well You Needn't
M2Brooklyn Bridge
M3Deep in a Dream
M4Tricotism