番組紹介

ラジオNIKKEI第1 毎週土曜日 22:00~22:30

45年超の歴史を有する、民放ラジオ最長寿級のジャズ番組。進行役は、フリーアナウンサーの山本郁。毎回ミュージシャン、シンガー、ジャズ関係者などをスタジオに招き、そのゲストにゆかりの曲をかけてジャズ・トークをお届けします。

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9月23日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]

2017.09/22 番組スタッフ 記事URL

テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.376~あのころ...】

 このジャズコラム、毎週続けるのが結構きつく感じる時もある。何をテーマにしたらいいか迷うと言うか思いつかないのだ。このコラム、純生ジャズテーマだけに絞ったものだったらば、もう今頃はギブアップしていたかも知れないが、ラグビー観戦、山行、ハードボイルドノベル&フィルム、そして温泉などなど、かなり好き勝手に書き綴っているからこそ、前のシリーズからして10数年間も続けて来れたのだ...とも言えそうである。そして今回だが、またまた何を書こうかと悩んでしまい、丁度ラグビーシーズンも始まり台風通過の中、神奈川県海老名市の相模川脇のグランドに、早稲田大ラグビー部のシーズン初戦(対日体大戦)をずぶぬれになりながら観戦したその模様でも...と思っていたら、担当のO部長から「弱い早稲田ラグビーに関するコラムなんて、しょうがないでしょう...」と言う当然なダメ出しを受け、又々振出しに戻ってしまった。

 
さてどうしたものか...と困っていた折、丁度お彼岸も近いので久しぶりに両親の墓参りに鎌倉の霊園にでも行こうかと言うことになり、その途中の車内でラジオを付けたらば(NHKFM)「アルフィーの...」と言う1時間番組。その回は高見沢と桜井の2人の担当日(メンバー3人のうち2人が担当)、貴方のお気に入りは...と言うテーマで、彼らの持ち歌へのリスナーからのお気に入りリクエスト、そして彼ら自身の想い出のナンバーなどを交え、2人のトークで綴る内容。リクエストで掛かる彼らのナンバーはどれもちっとも面白くないが、彼らの想い出のナンバーは「スリー・ドッグ・ナイト」の「ワン(ニルソンのヒット曲)」。彼らはアルフィーが学生時代(明治学院大)から憧れたロックコーラスユニットで、同じ3人組だけに参考にした所も多かったなどと、その思い出を語っている。アルフィーも今年で40周年らしく、そこで最初の数年は売れずに本当に大変だったとも2人は語っていたのだが、丁度その頃(70年代の終わりころ)ぼくは彼らといささか関わりを持っていたので、その頃の話が大変に懐かしくも感慨深かった。

 彼らは今や芸能界の一大勢力となった「田辺エージェンシー」の所属で、ここの社長は今や芸能界のドンとも謳われる、かつての「ザ・スパーダーズ」のリーダー&ドラマーの田辺昭知氏。その相方の川村龍夫氏との両輪で、丁度その頃は会社発展の一途。マチャアキこと堺正章、売れ始めたタモリこと森田一義が田辺AG所属で、この2人のおかげで、こことは何かと関係も深く、正月特番(3
時間だった)などはタモリ、研ナオコなど、ここの看板スターを毎年使って作っていた。そんな田辺所属のスター特番の添え物的扱いで登場したのがアルフィーであり、その一員の坂崎君とも仲の良かった、拓大を出たばかりの所ジョージなどであった。そしてこの特番には、まだ売れない頃の漫才コンビ「ツー・ビート」も顔を出し、タケちゃんも出し物を披露したりもしていた。この当時のマネージャーS氏は、「好い連中なんでぜひ使ってやってください...」とよく頼んで来たものだが、お笑いのセンスもある坂崎君以外は余り使い道が無いようにも思えた。
 その頃は本当に彼ら自身も迷っていた最中で、数年後にはあの「メリーアン」で大ブレークする訳だが、もう少しあの時何かで起用して恩を売っておけば...とも思うが、それも今となっては詮方なき事。そう言えばS氏は同時にあのシミケンこと清水健太郎も担当していたはずで
,その頃は清水くんにかかりきりになっていたと思われるが、あれから40年余り。清水君の方はその後、何回も逮捕されて今や消息不明。一方何をしても売れなかったアルフィーの方は、音楽界の大スターとして君臨、人生とは何とも分からないものである。高見沢・桜井両氏のラジオトークを聞きながら、あの頃のことが急に思い出されてしまい、色々と感慨にふけることもあった。
 そう言えば当時のラジオ短波(現ラジオNIKKEI)も、それまでの専門放送から方向転換、一般化路線推進などと言って好き勝手やっていた感もあり、ぼくなどはその先棒を担いでいた一人。大変面白くはあったが今となっては反省しきり...。

 
では最後に今週の1曲。山下洋輔トリオ(坂田明、小山祥太)の「砂山(童謡の砂山のジャズバージョン)」。当時のタモリやナオコによる正月特番の特別ゲストには山下一派(小山君は大学ジャズ研の後輩)に登場してもらい、番組最後を過激かつハチャメチャに締めるという方程式を、あの頃はいつも実施していた。そんなことが許された良き時代の想い出のジャズ・童謡ナンバーです。演奏も素晴らしいの一言。
 
なおこの「テイスト・オブ・ジャズ」は、9月30日放送分から11月4日まで、メイン放送が土曜日18時半から(この時間はお休み)、夜22時に移ります。悪しからず...。

【今週の番組ゲスト:今週はジャズトーク、音楽評論家の青木和富先生】「DISNEY音楽」についてお話いただきました。 
M1
TURKEY IN THE STRAW / 蒸気船ウイリー サントラより」
M2
FIREHOUSE STOMP / The Firehouse Five Plus Two
M3
A DREAM IS A WISH YOUR HEART MAKES(夢はひそかに) / シンデレラ サントラより」
M4
SOME DAY MY PRINCE WILL COME (いつか王子様が)/白雪姫 サントラより」
M5
SOME DAY MY PRINCE WILL COME (いつか王子様が)/ Miles Davis

9月16日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]

2017.09/15 番組スタッフ 記事URL

テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.375~ブルーノートJAZZフェス中止】

 先週の当番組では横浜の赤レンガ倉庫前特設ステージで、今月23日(土)と24日(日)の両日開催される予定の第3
回の「ブルーノートJAZZフェス」を特集、「ブルーノート東京」と姉妹店「コットン・クラブ」の広報担当、岡田、上神の両氏に遊びに来てもらい、色々とこのフェスについてお話を伺った。今回の目玉企画はあの2人組バンド「スティール・ダン」、その人気ロック&ジャズバンドの片割れ、知性派ミュージシャンで知られるドナルド・フェイゲン(名盤『ナイト・フライ』など自身のアルバムも好盤多い)が、自身のバンドを率いての初来日であった。このフェイゲン以外にも、注目の新世代テナーマン、カマシ・ワシントンや同じく新世代ボーカリスト、グレゴリー・ポッターなど多彩な顔触れ10数組が、メインステージとサブステージ、そして無料ステージと言う3つのステージに登場する予定で、今回初めて2日間にわたっての興行。広報陣も大張り切りで番組でフェスのPRに務めてくれていた。

 ところで恥ずかしながら、ぼくはまだこの横浜倉庫街で開催される「ブルーノート・フェス」を聴きに行ったことがない。これまでの2回は招待を受けながらも、仕事の関係等スケジュールの都合がつかず、心ならずも辞退していただけに、横浜行きを大いに楽しみにしていた。特にフェイゲン・バンド、更にそれ以上の期待は、上原ひろみと驚異のラテンハープ奏者、エクアドル出身のエドマール・カスタネ―ダと言う、話題騒然のニューユニット初のデュオライブ、この2つのステージに期待する所大だった。

 ブルーノート広報は、すぐにフェス招待状送りますから...ということだったが、フェスの開催が近くなってもそれらしい招待状は届かない。やきもきして待っていると突然メールが来る。「ドナルド・フェイゲン氏急病のため公演中止、スタッフは熟慮した結果、今回の目玉企画である彼とそのバンドのステージが実現できないために、ブルーノートフェス全体を止む無く中止することを決めました」と短いお知らせ。これにはびっくりした。フェイゲンバンドは確かにこのフェスの目玉だが、それ以外にも多くのミュージシャンが参加、3つの会場に分かれその演奏を競う...と言う、従来のジャズフェスには無いいわばロックフェススタイルのものだけに、中止までは決めなくても...と思ったが、スタッフ達の苦渋の決断。これは尊重せざるを得ない。それだけ「スティール・ダン」=ドナルド・フェイゲンの存在が大きく、ファンの期待もそこに集中していたと言うことだろう。

 ジャズファンは余り関心が無いかもしれないが、洗練された都会的なロック&ジャズスタイルの2人組バンド「スティール・ダン」は、あの人気漫画「ジョジョの奇妙な冒険」にも登場するほどの存在。フェイゲンの相棒ギタリスト&プロデューサーのウオルター・ベッカーは、残念ながらこの93日に死亡(享年67才)。フェイゲンも大事な相棒を失い、かなり気を落としているだろうことは想像に難くなかったが、その死も影響してかフェイゲンの急病で来日叶わず、フェスは雲散霧消してしまうこととなってしまった。ひろみをはじめブラジリアンジャズグループのダニ&デボラ等々、出演者たちも落胆しているに違いなく、何よりぼくらファンの失望も大きい。しかし決定は決定、来年のこのブルーノートフェスに期待するしかない。

 こうなればもう一つの横浜ジャズ、10月初めに開催され数多くのミュージシャンが登場する、国内最大規模の「横浜ジャズ・プロムナード」に目を向けるしかない。こちらのフェスも中心人物のメインディレクター、柴田浩一氏を招き番組で紹介する予定。氏は毎回フェスに登場するミュージシャンかシンガーを連れてスタジオに来てくれている。今回も誰がゲスト登場するのか、それもまた大いなる愉しみ。是非聞いてみてください。
 なおこの「テイスト・オブ・ジャズ」は、9月30日放送分から11月4日まで、メイン放送の土曜日18時半からの放送はお休みとなり、夜22時からがメイン放送となります。悪しからず...。
【今週の番組ゲスト:jジャズヴォーカリストの平賀マリカさん
7月リリースのアルバム『VINT AGE』から
M1
April in Paris
M2
So in love
M3
Angel eyes
M4
As time goes by

9月9日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]

2017.09/08 番組スタッフ 記事URL

テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.374~東京JAZZフェス2017】

 今や日本最大のジャズフェスとも言える「東京ジャズフェス」。夏の終わりの9
月最初の土・日、2日間にわたって行われるこのフェスに、今年も実直に2日間足を運んだ。今回でこのジャズフェスもなんと16回目だが、今年は再出発と言った意味合いもあり、この10数年続いて来た有楽町の東京フォーラム(記念すべき初回は調布の味の素スタジアム)から、今年は主催NHKのおひざ元、渋谷のNHKホールに会場を移しての第1回で、渋谷の街イベントとしての意味合いも含め開催されることになった。まあ一口に渋谷の街と言っても広いので、余り街全体を巻き込んだジャズイベントと言った感じには成り得なかったが、ニューオリーンズから呼んで来たストリートバンドなどの演奏行進などには人も集まったようで、それなりには話題を集めていた。ただ肝心のNHKホールの本公演の方は、ホール周辺事情などかなり疑問符が付く内容。まずホールの脇道=ケヤキ並木での恒例イベントは、外なのに大きな音は禁止とのことで、例年登場していた我らが早稲田ジャズ研のオンステージも実現不可能になり、およそ盛り上がりに欠けた。ホールの中の方も、慇懃無礼でヒラメ主義&半官僚機構のこの放送局らしく、自由度はかなり制限され、ジャズイベントらしい闊達さに欠け、お題目の「渋谷から世界に...(フロム・シブヤ・トゥ・ザ・ワールド)」とはだいぶ雰囲気も実態も違う感じ。更に公共放送のホールと言うこともあり、協賛各社のヴィデオなども昨年までとは違い会場では一切流されず、協賛社メリットはどこに...などと、いらぬ心配迄してしまう程だった。

 
さて昼夜2公演の方だが、山下さんのスペシャルユニットによる「寿限無」セッションの再演で幕を開け、サダオさん(渡辺貞夫)のデイブ・グルーシン、リー・リトナーと言ったかつてのお仲間との「カリフォルニア・シャワー」再演が大ラスを飾ると言う、かつてないラインアップ。J-ジャズ2巨頭の幕開けと大閉め、これが吉だったかどうかは...、聞いた方達それぞれの判断に任せるしかないが、何か今回のジャズイベント全体を象徴しているようで(かなり内向きと言うか縮み傾向)、ぼくは否定的に捉えざるを得ない。観客席はかなり満杯で興行的には成功とも言えそうだし、サダオさんとグルーシン、リトナー再開セッションも、あの時代を良く知るものには胸を打つものもあった(一番観客のリアクションが多かった)としてもなのだが...、全体の運営や仕切り、ステージ起用等々には、疑問符を付けざるを得ない感じがする。

 
さて今回の出し物の目玉になったのは2日目のトップに行われた、話題の才媛、狭間美帆が全体ディレクションとデンマークのフルバンドの編曲(作曲も...)を担当、かなり大掛かりなジャズ史俯瞰ステージ「ジャズ100年プロジェクト」だと思われる。ニューオーリーンズジャズから現代のコンテンポラリージャズまでをスクリーン映像も交え、リー・コニッツ、リー・リトナー、日野皓正、山下洋輔(彼女の師匠)など豪華ゲスト陣をフューチャーした形で、音で綴り上げると言う大胆な企画。彼女はコンパクトに見事にその企画のコアを抉り出し、その才能の豊かさを実証して見せてくれた。
 
この他にぼくが興味を引かれたのは、今年結成されたばかりと言うチック・コリアとスティーブ・ガッドの双頭新バンド(ラテンジャズ色横溢したぼくのお好みの生きのいいバンド)、ユダヤ系に中近東の音要素も加味し、ピアノトリオの新たな展開を提示したイスラエル出身の注目のシャイ・マエストロ・トリオ、そして大トリを彩ったサダオさんのスペシャルユニットの3ステージだった。また狭間セッションのゲストで登場したリー・コニッツは80才を優に超す高齢。さすがにその音はよれてはあったが、意気込みはまことに立派で、胸打たれる所も多々あった。

 これまでは毎回の昼夜公演にはそれぞれなにがしかのお題目(「ブルースの夜」等)が付けられていたのだが、それも今回は無し。いかに編成に苦労したのかが良く分かる訳だが、まあそうは言いつつもそれなりにそれぞれのステージを愉しんだのもまた事実ではある...。
 
特にサダオさんがアンコールに、グルーシンと二人であの復興応援ソング「花は咲く」を吹き始めた時は、いささかグッと来てしまった。やはりあれだけ感動的な場面を演出できるのは、サダオさんならではであった。
  
 
最後に一つ大変に残念だったのは、このジャズイベントを当初から実質的に仕切り、そのPRも兼ね我がジャズ番組にも毎年登場してくれていた、敏腕ジャズプロデューサーの八島敦子女史。その彼女がこの初夏、様々なストレスの為(?)からか病に倒れてしまい、このイベントの新たな立ち上がりを陣頭指揮出来なかったこと。彼女の心境を察すると本当に残念な思いもあるが、今回のジャズフェスはどうにか成功、来年もまた彼女のあの雄姿を見れるはずである。今年以上に真に開かれた素晴らしいフェスを作り上げてくれるに違いない。彼女のカムバックとその健闘を心から望みたい。

【今週の番組ゲスト:ブルーノートジャパン広報の岡田安正さんと、コットンクラブ広報の上神彰子さん】
今年3回目の開催となる「Blue Note JAZZ FESTIVAL」、横浜赤レンガ倉庫特設会場で923日・24日に開催されます。 

M1
FIRE / 上原ひろみ×Edmar Castaneda
M2Change of the Guard /  Kamasi Washington」
M3Holding On / Gregory Porter
M4Rock With You / DANI & DEBORA GURGEL QUARTETO」
 
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9月2日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]

2017.09/01 番組スタッフ 記事URL

テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.373~ジャズ映画「ロウ・ダウン」】

 ジャズプレーヤーあるいはシンガーをモデルにした映画、いわゆる「ジャズフィルム」はどうも今イチ面白味に欠ける物が多い感じがある。この手のものとしては、前にこのコラムでも取り上げた、チェット・ベイカーを描いた『ブルーに生まれて』、帝王マイルスの沈黙時代を取り上げた『マイルス・アヘッド』などが最近公開された。『ブルーに...』の方はかなりな佳品だったが、マイルスの方は愚作、そしてこの手の作品の代表格が、ジャズ好きの巨匠、クリント・イーストウッド監督による、天才チャーリー・パーカーの伝記作品『バード』と言うことになるが、これもイーストウッドらしからぬ余り感心しない出来栄えだった。どうもこうした作品、取り上げる対象に監督達の思い入れが強すぎたり、演じる役者の演奏風景などにもいささか熱が欠けているなど、様々な状況にもよるが余り芳しいものがない。そんな中ある友人から、あの伝説のピアニスト、ジョー・オーバニーを描いた映画があるそうで、これが結構良いらしいよ...と言う話を聞き、興味を掻き立てられたのが、その実態は分からなかった。それが先日国立にある行きつけのヴィデオ屋を覗くと、伝説のジャズピアニストを描いた作品...と惹句にあり、それが噂のジャズフィルムに違いないと確信、早速借り受け見てみることにした。4
年ほど前の作品で、日本未公開のこのジャズ映画のタイトルは『ロウ・ダウン』。

 「
ロウ・ダウン」とは俗語で実情と言った意味合いで、伝説のピアニスト、オーバニーの実情を描く...と言った感じなのかと思っていたら、これには原作があり著者は娘で作家のエイミー・オーバニーと言うことが資料から分かった。70年代初めその才能が再び認められつつあった時代の彼を描いたこの映画も、娘エイミーから見た父親、ジョーの姿が活写されており、このロサンジェルスのハイスクールに通う娘を演じるのが、美形ファニング姉妹の妹の方、エル・ファニング。このヒロインの彼女が実に可愛らしく素晴らしく、不安と期待が入り交じるこのアドレセンス期の少女の実情を見事に演じ切る。これだけでこのジャズフィルムは成功と思わせるほなのだが、父親のジョーを演じる個性派として結構注目を浴びている、ジョン・ホークス(今回初めて知ったがい渋くいい役者)も、写真で見る実際のジョー・オーバニーにも良く似ており、この繊細で天才肌のバップピアニストの心情・実情を描き出す。そしてもう一人、ジョーの母親を演じるのが名優グレン・クローズ。ジャンキーで薬を止めることが出来ず、収容所と自宅を行き来する(人生の半分は収容所にいたと自身で語っている)彼を励まし叱り愛おしみ、可愛い孫の世話も一人で引き受けると言う難しい役柄をこなしている。こうしたメインの役者達が全員実力派揃いだし、また余りクラブなどでの演奏風景も出て来ない~ジャズを前面に打ち出さない~のも好感が持てる。

 
ところでバップの興隆期、始祖チャーリー・パーカーともしばしば共演(パーカーの最初のピアニストとも言われた)、パーカーもその才能を評価していた白人ピアニスト、ジョー・オーバニー。彼が何故、伝説のピアニストと言われるかと言うと、パーカー共演時の素晴らしさでジャズ仲間達の口コミで評判を呼ぶが、実際にその演奏はアルバムに収められておらず、57年に吹き込んだ唯一のリーダー作も、リハーサルを収録したプライベート盤だと言うことで、実態の分からないピアニストとして幻度が高まったと言う訳。それだけにファンの関心も高くなる訳で、この映画の舞台となる70年代初め頃からカンバックも果たし、再び彼に注目が集まり以降88年に63才で亡くなるまで、10作近いアルバムを吹き込み、それらはどれもバップ魂の横溢した、切れ味抜群の素晴らしいものだった。しかしその生活は薬に溺れた、なんとも貧しく寂しく自堕落なもの。そんな彼を敬愛し常に行動を共にするいじらしい迄の娘エイミーの姿。離婚し別に暮らす母親もジャンキーで娼婦まがいの生活、エイミーに向かって"あんたは実の娘ではない"とまで言い切る。そんな悲惨な中にも、常に前向きに行動する彼女の目を通してみた天才ピアニストの実情。どうも一般の映画ファンは単なるジャンキー映画としか見ていないようで、「暗いだけで面白くない」と評価は良くないようだが、心に沁みる素晴らしい作品と思う。画面のトーンも暗く沈んだものだが、そこはかとない哀愁が感じられ胸に迫る。異色のジャズフィルムで一見の価値ありの作品だと思います。

【今週の番組ゲスト:ジャズテナーサックス奏者の中村誠一さん、ジャズボーカリストの紗理さん、父娘のお二人】
M1「小さな花 / 中村誠一」
M2
How Deep Is Your Love / 紗理」
M3
Joy Spring / 紗理&中村誠一」
M4
I've Got You Under My Skin / 中村誠一&吉岡秀晃」

8月26日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]

2017.08/25 番組スタッフ 記事URL

テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.372~菅平詣で】

 ここ追分山荘での愉しみの一つに菅平詣でがある。まあ一つと言うよりもむしろ高原暮らしの愉しみの半分ほどは、この菅平詣だと言えるかも知れない。菅平と言えばかつてはスキーのメッカ。その上質なパウダースノーはスキーヤー達の憬れの的だったが、今はスキー界全体が絶不調で、若い人達が菅平に上がってくることも余り無い状態。それだけに当然スキー客目当てのホテルや民宿も冬シーズンは振るわない訳だが、ここにはスキーに変わる強いコンテンツがある。それがラグビーで、関東を中心に全国の大学・高校のラグビー部が集まり、これによりホテルや民宿等も充分に潤っているのだ。

 
この地での活動は早稲田大ラグビー部が皮切り。(確か)戦前からここにグランドと合宿所を持ち、その早稲田と練習試合をする為に他の大学もこの高原に来て、それにつれ高校ラガーマンも集まるようになり、今のラグビーのメッカとしての形が誕生したと言う次第。10年ほど前までは菅平に正式のグランドを持っている大学は、早稲田以外にほとんど無かったのだが、ここ数年は慶応、明治、そして帝京などもそれぞれに宿泊施設と提携、各々のグランドを持つようになっており、菅平のメイン通りに立て掛けられた試合予定表には、今日は○時から慶応グランドで試合あり、などの予定が書かれるようになってきた。菅平の老舗、早稲田グランド・合宿所は菅平の高原入り口近く、本道から分かれた脇道の横にあり、大きなグランドが上下に4面ほどで、練習試合はその下のグランドで行われる。その上下の僅かな斜面が見学スペースで見難いことこの上ないし、斜面の芝生は安定感に乏しく、滑り落ちるファンも少なくない。そこで早稲田グランドの試合はなるべき敬遠気味なのだが、10数年ほど前に菅平が上田市に組み込まれることとなり、それを記念して菅平の高台にラグビーグランド(数面はある)や陸上グランドを併設した高地スポーツ施設、サニアパークが誕生、主要な練習試合はそこで行われるようになり、見易い環境も整った。このサニアラグビーグランドのこけら落としの試合は慶応戦で、上田市の稲門会(早大)・三田会(慶大)と言うOB会共催で行われ、これは確か有料試合だったと思う。このサニアグランドは早稲田グランドからはかなり高い所にあり、下の(早稲田)グランドは雲・霧の中でもサニアの方は好天とか、その逆の場合もあり、僅か100メートルぐらいの高度差が観戦には大きく響くこともしばしば。7年ほど前にサニアグランドで早稲田が法政(?)とやった時などは試合開始と同時に濃霧が立ち込め、試合観戦どころかやっている選手達も少し離れればお互いが確認できない程、それではパスも通らないと思われるのだがこれで試合を完遂させてしまったのだから、立派と言うほかない。

 
さてこの菅平、我が山荘からは浅間サンラインと言う立派な広域農道を走って1時間ほどの距離。それだけに例年2~3回は早稲田の試合を見に上がることにしているのだが、今年はあいにくの天気、その上早稲田の主力選手もユース日本代表等に取られてしまい、それでなくても層の薄い早稲田は期待薄。それやこれやで初戦の大東大との一戦はスルーしまったのだが、春には完封された相手になんとこれが逆転勝利。更にはAチームからÐチームまで全てのチームが勝利と言う考えられない結果。そこで日曜日に行われる本命の帝京大戦には是非...と言うことで、東京から駆け付けた友人と共に早めにサニアグランドに向かう。天候も徐々に回復し数時間ほど後の試合開始時にはかなりな好天。これは幸先良しと胸躍らせたが、結果はこれまでぼくが見た数多くの菅平で見た早稲田の試合の中でも最低・最悪。現在の王者、帝京大には大分実力的に及ばないとは思っていたが、ここまでひどいとは...。スクラムは崩されるは...、バックスは相手のスター選手にいいように走られるは...と全くいいところなく、83対0と屈辱の完封負け。しかし多くの早稲田ファンは余りのショックの為か罵声すら出ない。トホホ極まれりと言った感じで、もう今年の本番の対抗戦も見るのはやめ...と思ってしまったほど。

 
 帰りはこのむなしさ・寂しさを一変に洗い流そうと、あの玉村豊男氏の有名ワイナリーのすぐ上にある大田区の大きな保養施設にある温泉(金原温泉と言う良湯)に浸かった。口惜しくも悲しい一日で、翌日の仕事の為に東京に直行。奮い立て早稲田ラグビーである。我がラグビー番組のパーソナリティー、ラグビー部OBの藤島大さんも激怒しているに違いないが、この屈辱晴らして欲しい。
と言うことで今は今週の1曲などは考えられない心境です。お許しあれ。

【今週の番組ゲスト:音楽評論家の青木和富さん】

ジャズトーク、青木先生にJoe Zawinulについてお話し頂きました。

M1Mercy, Mercy,Mercy / Cannonball Adderley

M2BADIA / Weather Report

M3THE HARVEST / Joe Zawinul

M4THE SEARCH /  Joe Zawinul
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8月19日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]

2017.08/18 番組スタッフ 記事URL

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【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.371~追分通信17(Ⅲ)変わりゆく追分周辺の自然・風景】

 8月11日は山の日だった。まさに信濃~長野県の為に作られた休日の様なもので、この日は県下各地の山々で小学生から高校生まで、多くの学生の集団登山も行われた。ただ麓はどうやら晴れていても山はあいにくの天気だけに、子供達も苦労したと思う。ぼくもお山(浅間山)の周辺から、八ヵ岳連峰、美ヶ原などが一望出来る高台に上がって眺めてみたが、残念なことに山々はどれも雲の中のだった。まあこの夏の最中の休日、ぼくのような暇人には余り関係ないが勤め人や工員さんなどはお盆休みが長く取れ、全く山に関心が無くとも嬉しいには違いない。ただし鉄道や道路、海外への航空便なども大混乱で、帰郷や遠出の人達は大変だったろう...と同情に堪えない。

 さてこの追分周辺もこの時期は大分人が込んで来ており、朝夕などは御影用水脇の小道は犬連れの家族連れで一杯。柴犬からプードル、チワワなどさながら犬の品評会の様相。
 
御影用水と言えばこの前は何と鴨が10数羽、こんなに多くの鴨の群れを見たのは初めてのこと。かなりな感激ものだった。また中軽井沢の商店街の外れでは雉の親子が悠然と散歩しており、これにも驚かされた。ただ以前は我が山荘の屋根にも寝そべっていた猿軍団は最近とんと見かけることも無くなってしまった。居ると厄介だが居なくなると何か寂しく、また自然破壊も進んだのでは...などと勘ぐってしまう。そう言えば今年この山荘が出来て10数年目、初めて蛍を見た。明け方何か明かりがふらふらと飛んでいる。よく見ると一匹の蛍。これには感激した。近くに用水から引いた小川が流れているのでそこで孵化・成長したものかもしれない。たったひとつ(蛍は一羽か?)だったが、実に愛おしい感じがしていつまでもそのか細い光を眺めていた。

 
サル軍団は消え蛍現れる...など、追分周辺の自然・風景もここ10数年で変化しており、何より気になったのは周辺に家(自宅・別荘)が増えたこと。また太陽光発電設備の増加とそれに反比例したコスモス畑の減少などである。御影用水の南側には今までほとんど家などなかったが、ここ数年林が切り開かれ次々と家が建てられている。まあこれもしょうがないことだが、何より家を建てるとその周辺の木々が全て伐採され、丸坊主になってしまうのだ。もう少し自然と調和させてと考えるべきだろうし、特に別荘を建てるならばなおさらのこと。これはなにも追分周辺だけでなく軽井沢全体に言えることで、近い将来軽井沢は別荘地としての地位を、蓼科、安曇野、那須などもう少し自然を大事にしている地域に奪われること必定の様に思われてならない。

 そしてもうひとつ気になっているのは太陽光発電施設の多さ。今ある空地や草地、あるいは林なども次々とこの施設に取って代わられている。原発などよりもはるかに良いとも思うのだが、こう多すぎると考えもの。荒れ地が売電で少しでも金になれば...と考えているのだろうが、そろそろ過飽和状態のようにも思える。そしてこの為にこれまであったコスモス畑(ほとんどが荒れ地に咲いている)を見かけることも無くなってしまった。これもまたこの時期としては寂しい限りである。赤・紫・白、色とりどりのコスマスが咲き乱れる景色、これもまた追分周辺の夏から初秋の美しい風景だっただけに残念至極である。

 
追分とコスモスと言えば、追分を「美しい村」と呼び、そこをこよなく愛した詩人、立原道造のことが直ぐに思い出されるが、軽井沢図書館で「立原道造の夢見た建築(種田元晴/鹿島出版会)」と言う本を見つけ、借り出して読んだ。立原は病の為に夭逝した(24才)抒情派の天才詩人として知られるが、また東大の建築科を首席で卒業した若き建築家としての一面も持っていた。夭逝したために実際の建築物としての作品は殆どないが、東大時代に最優秀賞を取った作品が「追分の芸術家村構想」で、図面だけでも素晴らしい作品と知れる。そうした立原の建築家としての側面にスポットを当てた珍しい評論集で、彼の生い立ち、追分に向けられた比類ない愛情などが、同じ建築家としての目で描かれており大変に面白かった。山荘に居る間はTVもないし新聞も取っていないので、もっぱら読書かジャズ・クラシック鑑賞。面白い本もいくつか読んだので、それらはこれからおいおい紹介していくことにしたい。では最後にぼくの最も好きな立原の作品から少々...


 夢はいつも帰っていった 

 山のふもとの寂しい村に。

 水引草に風が立ち 

 草ひばりの歌い止まない

 しずまりかえった午さがりの林道を...

 「のちのおもいに」

【今週の番組ゲスト:女流2トロンボーンユニット「THE BON BONES」の上杉優さん(写真右)、駒野逸美さん(左)

2ndアルバム『Celebration』より
M1
Celebration
M2
Night Lights
M3
Sudpol
M4
April in Paris

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パーソナリティ

山本 郁
やまもと かおる

新潟テレビ21アナウンサー・ラジオNIKKEI契約アナウンサーを経てフリーに。
ニッポン放送では『高嶋ひでたけのお早う!中年探偵団』最後のアシスタントをつとめた。
ラジオNIKKEI『聴く日経』、『テイスト・オブ・ジャズ』のパーソナリティー等。

新しい一週間の始まりにお耳にかかれて光栄です!!
今聴いて下さっている“あなた”をマイクの向こうに意識して価値ある情報を、正確に分かり易くお伝えします。

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