番組紹介

ラジオNIKKEI第1 毎週土曜日 18:00~18:30 ほか

45年超の歴史を有する、民放ラジオ最長寿級のジャズ番組。進行役は、フリーアナウンサーの山本郁。毎回ミュージシャン、シンガー、ジャズ関係者などをスタジオに招き、そのゲストにゆかりの曲をかけてジャズ・トークをお届けします。

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1月20日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]

2018.01/19 番組スタッフ 記事URL

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.393~信州追分正月景色】

 今年の正月は久しぶりに追分の山荘にいた。
ここ6~7年は別荘管理会社が12月の頭に山荘の水締め作業を終えてしまい、それを解除し水を使えるようにするのが大変で金もかかる。そんなこんなで正月に山荘を使用することなどは考えもしなかった。それが今年、まず2日は秩父宮で大学ラグビーの準決勝観戦を、と確信していたのだが...。我が早稲田ラグビー部はその初戦にコロッと敗戦、正月越えどころでは無かった。これですっかり予定が狂ってしまったので、自棄のやんぱちとばかり水も使えない追分の山荘での正月暮らしを決め、暮れの31日午後から追分に向かったと言う次第。
 
全く無謀だし馬鹿げたことでもあった。水が使えないとは生活が成り立たないと言うことと同義だが、こと暖房に関しては殆ど暖房レスの国立の家よりも、山荘の方がはるかに暖かく暮らし易い。肝心の水に関しても隣町の小諸市の豊富な浅間湧水(これが素晴らしい水なのだ)をポリバケツで大量に汲みに行き、準備万端怠りなし。ただ一つ問題なのはトイレ。水洗だけに水が流せず、これだけは我慢するか車で近くのコンビニに駆け込む(と言っても車で10数分はかかる)しかない。トイレが使えない生活は何事も不便な山行以外では初めてのこと。まあこれも来てしまったのだから...と諦めるしかない。

 
まあそんな状態で暮れの31日は、小諸の有名蕎麦屋で年越し蕎麦を賞味、そのまま帰宅、就眠。明くる18年の正月は、追分から軽井沢、佐久周辺の東信地域は気持ち良い正月晴れで、お山(浅間山)の守り神である浅間神社の本社に徒歩で向かう。1時間近く歩いて神社に到着、年始の挨拶を済ませるとバックのお山も少し雪をつけ堂々とそびえ立つ。お山との感激の新春初対面だった。ただ元日はどこのお店も休み、東信随一の高級スーパー(?)ツルヤも2日までは全店完全休業。そこで味噌雑煮で元旦の食事は軽く済ませ、直ぐに佐久市直営の温泉施設「平尾の湯」に向かう。ここは信越道のインターに直結、スキー場施設と温泉施設の併用と言うことで結構話題になっており、ぼくにとっては今年の温泉入り初め。ただここは山荘から近いだけが取り柄で、肝心の湯量も少なくさながら健康ランド的色彩も濃い。その上誰もが考えることは一緒で、暇な連中で芋を洗うような超満員状態。夕方1時間ほどこの施設にいて退散。寒さも身に沁みてそのまま就眠。ほとんど何もしない1日だった。

 
翌2日は初日の平尾の湯の反省と温泉水汲みを兼ね、上田市郊外のご贔屓湯「ささらの湯」に朝早くから出向く。流石に正月2日目、人出も余り無く温泉スタンドも閑古鳥状態。たっぷり温泉を愉しみ、温泉水も充分に確保、その帰りには上田市随一と言うよりも東信随一と言える、ラーメン処「寿分」で初ラーメンを堪能、満喫。上田市郊外の海野宿にある、古来より由緒深い白鳥神社に参り御祈願。3日目も又々小諸の郊外「布引温泉」と...、山荘近郊のご贔屓温泉巡りと相なって満足度もマックス。この間懸案のトイレもどうにかやり過ごし、かなりなご機嫌状況、概ね正月3が日はリラックス出来た幸運な日々だった。
 
帰京日の正月4日も交通渋滞も無くかなりすいすいと車は流れ、何時もより早く国立に戻れた。さあ18年のスタート、今年も頑張らなくては...。皆様番組へのご声援よろしくお願いします...
【今週の番組ゲスト:ジャズギタリストの鈴木直人さん】

初リーダーアルバム『Resonance and Emission』から

M1Summertime

M2The Window of Thaly

M3The Peacocks

M4Electric Cruising
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1月13日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]

2018.01/12 番組スタッフ 記事URL

テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.392~大西順子】

 最近のジャズシーン、特に日本のジャズシーンでは女性陣の活躍が目立つように思えてならない。今や国際的な大スターとして、屈指の力量と人気を誇るピアニスト、上原ひろみを筆頭に、おなじピアノの山中千尋、ヴァイオリンの女王、寺井尚子、若手では寺久保エレナ、桑原あい等々、まさに多士済々。シーンは女性天下と言った趣きすらある感じである。そうした女性陣の先陣を切って今から四半世紀前、日本のジャズシーンに大きな刺激と衝撃を与えた偉才、それが若くして女傑とも言える風格の大西順子だった。

 彼女のデビューは今から4半世紀=25年ほど前のことで、名門バークリー音楽院を卒業、帰国直後に吹き込んだデビュー作『ワウ』は、一大センセーションを巻き起こし大評判となった。圧倒的な演奏テクニックとそのジャズセンスと共に、その存在がジャズ関係者の注目を集めたのは、誰に対してもため口で話すその大胆とも言える物言い。生まれは京都なのだが、育ったのはぼくの住む東京の国立市で、出身は進学校の都立国立高校。ぼくの高校時代の同級生が国高で物理の教師をしており、その彼から才気溢れる彼女の存在は聞いていたのだが、その後バークリー音楽院に留学すると知り、将来が楽しみだった。帰国直後に新宿のジャズクラブ「J」で会い、色々と話をして番組出演を承諾してもらったのだが、「J」での会話でも聞きしに勝る生意気さ、ぼくとは30才近い年の差があった筈だが終始彼女は「あんた」呼ばわり。その時は後輩のジャズ雑誌編集長も一緒で、その彼もあんた呼ばわりされむっとしていたが、ぼく自身はいささか気張っているなーとは感じてもそう気にもならなかったし、なかなかに面白い存在と思えたものだった。その数日後デビュー作を携えスタジオに現れた彼女、当時の担当アナウンサーの質問にもまともに答えることも無く、あの問題になった沢尻エリカ状態。面倒くさそうにスタジオを後にしたが、以降はあれよあれよと言う間も無くスター街道をひた走り、一躍J-ジャズきっての大スターへと上り詰めて行った。その後はほとんど顔を合わせることも無かったが、激しい気性の彼女は毀誉褒貶も激しく、自身が起こした問題などの個人的な事件などもあり一時は引退状態。カムバックしてからも自身で「ジャズなどやっているのは馬鹿らしい...」などと勝手に引退宣言、各方面からバッシングを浴びるなど、実にドラマチックなジャズ人生を歩んで来た。

 
そんな彼女も数年前からは大分落ち着いて仕事にも取り組むようになり、昨年終わりには本格的なカムバック作として2枚のアルバムを同時発表、再び大いなる注目を集めることになる。1枚はそのキャリア初のバラードアルバム『ヴェリー・スペシャル』、そしてもう1枚は8年振りとなる自身のトリオ作品『グラマラス・ライフ』である。まあ2枚も同時発表し今大いに乗っている感もある順子先生。ここは一つ久し振り(25年振り)にスタジオにお呼びしてみようと...と思い立ち、恐る恐る声掛けをすると快諾を得られた。順子先生も変わったのである。
 担当の山本郁嬢も色々評判を聞いているためか、大分及び腰でびくびくものだったが、いざスタジオで接するとそんな評判とは裏腹、昔の彼女を知っているぼくもいささか面食らったし、ホッともしたものだった。彼女自身は25年前に番組に登場したことはもう記憶になかったのだが、「あの頃は本当に生意気でしたからねー、色々とご迷惑も...」と軽く感想をかましてくれた。大分大人しくなり成熟した感はあっても、相変わらずひりひりとして生意気風ないい女でもある。

 
バラードアルバムの方はイントロとエンディングが彼女のオリジナルで、後は有名スタンダード、そしてヴェルディ、チャイコフスキーと言うクラシックナンバーのジャズバージョン。大西とゲストミュージシャン達とのバラードを仲介とした化学反応も実に心地良い。一方のトリオアルバムは、井上陽介(b)高橋信之介(ds)と言う、このところ一緒に活動している俊英達とのトリオ演奏で、3人の丁々発止のアグレッシブな絡み合いがなんとも凄い。タイトルの「グラマラス・ライフ」とは「豊かで充実した人生」と言った意味合いで、今の彼女を象徴しているような言葉だとも言える。番組ではそれぞれから2曲ずつ彼女が選び出し紹介しているが、彼女の多彩な音楽性が良く分かる選曲になっている。
 
新しい年の抱負として、彼女は、もう一度自身の原点を見つめ直し地道な活動を展開して行きたい...と語ってくれたが、なにか語ると常にセンセーショナルに取り上げられがちな彼女だけに、自身の原点を...という言葉は重く響いた。結婚・子供の誕生などを経て、人生や音楽に対しこれまでとはまた違った感じで向き合っている彼女、その今後は更に期待大と言えそうだ。ジャズアマゾネスとしていつまでも精力的な活動を...。
【今週の番組ゲスト:ジャズピアニストの大西順子さん】
昨年2枚同時リリースされた『Very Special』『Glamorous Life』から
M1Tiger Rag」
M2I Cover The Water Front
M3Lush Life
M4
Golden Boys


1月6日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]

2018.01/05 番組スタッフ 記事URL

テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.391~渡辺香津美】

 皆様明けましておめでとうございます。2018年新たな年の幕開けです。今年もまたよろしくお願い致します。さて新年初っ端のゲストは去年のこのコラムでもお知らせしたように大物ミュージシャンの登場、J-ジャズギターと言うよりも日本のギター界の真のレジェンド、渡辺香津美です。17歳の時にプロデビューを果たし、天才ギター少年現れるといった感じで当時一大センセーションを巻き起こし、以降は日本のみならず世界を相手に大奮闘、トップギタリストとしてその力量を如何なく発揮し続けている実力の持ち主で、真のギターレジェンドでもあります。我が「テイスト・オブ・ジャズ」には彼がまだ暁星高校生だったデビュー直後に初めて登場、節目のアルバムを発表した折にスタジオに遊びに来てくれるといった感じのお付き合いです。数年前のプロ生活45周年にはジャズからクラシック、ロックなど全ゆるジャンルのギタリストを網羅した記念アルバムを発表、渋谷のオーチャード・ホールで行われた記念コンサートにも、村治佳織や沖仁など有名ギタリストが多数登場、彼の45周年を祝福する演奏を賑々しく展開してくれました。
 
今回は2018年の当初を飾ると言うことで、ビッグネームの彼にとお願いしたら快くOKを頂いた次第。唯一条件があり昨年秋に出したウイズストリングスアルバム『トーキョウ・ワンダラー』には、「フラメンコ・レッド」「ハヴァナ」と言う2曲が、奥さんでピアニスト&作曲家の谷川公子のオリジナルで、正月と言うこともあり是非2人でスタジオに遊びに行きたいのだという。こちらとしても喜んで...と言うことで今回お2人での登場となったのです。

 この香津美&公子の夫婦コンビは、何かあのジョン・レノン&オノヨーコ夫妻を思い起こさせるところもあり何かと興味深いものがあります。天下の香津美も彼女が何か言うと意外に言い返せなく、かかあ天下の気もありそうなのです。番組でも選曲などは彼女の意向もかなり強く反映されており、そのやり取りも仲々に微笑ましいものです。アルバムは香津美氏の愛聴バラードナンバーがメインで、ストリングスをバックに華麗・甘美に奏で上げると言う趣向。オープニングがあのサンタナの「哀愁のヨーロッパ」と言う点も泣けますし、当然番組でも彼のアコギでのサンタナ・ライクの泣きのプレーが聴かれ、番組の掴みはばっちり。また奥さんの書いたナンバーを彼は優しげに引き綴っており、その技も流石の素晴らしさ。またこのアルバムにはぼくの大好きなルグラン・ナンバー「これからの人生」も収録されており、この淡々とした秀麗さは、これからの2人の生き方を象徴しているようにも思えてなりません。タイトルは東京のど真ん中、渋谷の一等地にあったタバコ屋の御曹司として何不自由なく育った彼が、愛する街トーキョウをそぞろ歩く~漂泊する様子を描きたかったのだと、自身でも語ってくれています。

 渡辺夫妻はこの1月に自宅近くの船橋市の大ホールで共演コンサートを行うことになっており、そのPRも奥さんが抜け目なく行っていました。ぼくより一世代下で高校時代から知っているだけに、今や渋く洗練された実に格好良い熟年紳士になった彼には、会うごとに驚かされますが、これからますます世界の香津美としてその名声を高めて行って欲しいものと心から願ってします。この1年が香津美本人にとって、またこのジャズ番組にとっても良い年でありますように...。
 なお来週は新春第2弾として、なんと20数年振りの登場となる、女傑大西順子女史です。どんな発言が飛び出すか...、乞うご期待!

【今週の番組ゲスト:ギタリストの渡辺香津美さん、ピアニスト・作曲家の谷川公子さん】
昨年リリースの『東京ワンダラー』から
M 1「哀愁のヨーロッパ 」
M2
「君の瞳に恋してる」
M3
「フラメンコ・レッド」
M4
「これからの人生」

12月30日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]

2017.12/29 番組スタッフ 記事URL

テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.390~2017年振り返り】

 なんやかんやで2017年も慌ただしく過ぎつつあり、もう本当にドン詰まりを迎えてしまった。今年我が国最大の危機・災難は、追いつめられ沈没間近かと思われた宰相・安倍が、民主(リベラルとも呼ぶ)陣営の乱れなど信じがたい敵失で息を吹き返し勝利を収め、かえって自信を深めその為に日本はますま奈落の底に引きずり込まれつつあること。更にこの世界を差配しているのが、トランプ、プーチン、金正日と言った悪のトライアングルで、そのトランプとプーチンにすり寄ろうとしているのが安倍と言う、最悪な構図も露呈してしまった。果たして来年はどうなるのか気が気でならない...。

 
翻って自分自身では、何と言っても3月末の伊豆山奥での交通事故遭遇。ほぼ正面衝突と言う最悪の事態だったが、生来の悪運の強さも味方してか、入院などと言う最悪ケースは避けられたが、どうも首廻りが変で首が回りにくい状況にもある。周りからは後遺症などと脅かされるが、そんなことはと...開き直ってのうのうと生き抜くしかない。

 
さて今年もまた年末のこの時期、ジャズこの1年を振り返ってベストアルバムを...などと雑誌社などから頼まれる。番組でも青木和富氏にこの1年を振り返って、印象的アルバムをいくつか紹介してもらった。そのラインアップについては別項で紹介されているはずだが、ここで面白いのはペコさん(伊藤君子)が唄う美空ひばりナンバー集からの1曲。
 
小豆島出身のペコさんはひばりに憧れ歌手を目指した人で、デビュー当時はポップス歌手でひばりナンバーも歌っていたはず。それがジャズに目覚め一躍進路をジャズに変更、長年の研鑽の末に第一人者の栄冠を勝ち得るようになった、まさに努力の人でもある。今やトップ・ジャズ・シンガーであるその彼女が、自身の原点であるひばりの持ち歌を歌う。これはかなり面白い企画で、彼女自身の提案で実現したものと思われる。そして純生ジャズとして青木氏が上げた一作がチャールス・ロイドの最新アルバム。ジャズレジェンドとも言えるロイドは各方面で高い評価を得ているが、ぼく自身は彼のテナー(ソプラノサックスも)プレーを昔から余り評価していないだけに、ここでのプレーも今イチ乗れなかった。だがキース・ジャレットやジャック・ディジョネットなどを擁した、あの黄金期のユニットに匹敵するものと、彼自身も自信を持つこのニューユニット。彼以外の面々は確かに素晴らしい出来栄えであるし、今年のジャズアルバムでも最も高く評価されるべきものと音を聴いて確信した。

 
ぼく自身の今年のマン・オブ・ザ・イヤーはサダオさん(渡辺貞夫)で決まりだと信じており、サダオさんには当番組来年初っ端の出演をお願いしたのだが、スケジュールの具合で実現ならず大変に残念な思いで一杯。サダオさんは俊才を従えた「リバップ」とバッハに果敢に挑戦した「プレイズ・バッハ」と言う2枚のアルバムをこの秋に発表、その充実ぶりをファンにアピールしてくれた。本来ならばこの2枚で今年は決まりなのだが、ぼくが選んだのは大好きなラテンジャズの分野から...。今注目の若手ベーシスト、カルロス・エンリケスの『ザ・ブロンクス・ピラミッド』と言う余り知られていない傑作。2管編成で実に生きのいいラテン&ネオバップジャズが全編に展開されており、あの60~70年代のジャズの良き時代の熱気を、ラテンジャズと言うフィルターを通して再提示した様な実に格好良い作品で、皆さんも是非聴いてみたら...と思う。この分野ではほかに大御所エディー・パルミエリや注目の新鋭アレックス・トスカの秀盤など心に残るものも多かった1年だった。

 
そして先週のこのコラムでも紹介したように、来年の「テイスト・オブ・ジャズ」なのだがこれがなかなかのラインアップになっている。ラジコのタイムフリー聴取調査で全国4位と言う意外な好結果に心良くして大物をブッキング。まず正月最初のゲストはサダオさんに変わり、同じ渡辺姓のビッグスターにしてギターレジェンド、渡辺香津美、そして2週目は怒れる実力派美女、大西順子女史。順子はなんと20数年振りの番組登場である。香津美、順子この並びは凄いと密かに自賛してしまう。
 まあ来年も「テイスト・オブ・ジャズ」よろしくお付き合いの程を...。


【今週の番組ゲスト:音楽評論家の青木和富さん】
「ジャズトーク」青木的今年のアルバム五選をご紹介いただきました。
M1「恋人よ我に帰れ / 伊藤君子」
  『Kimilo sings HIBAI〜伊藤君子、美空ひばりを歌う』
M2Passin'Thru / Chars Lloyd New Quartet
  『Passin'Thru
M3Dear Family / 桑原あい 石若駿」
  『Dear Family
M4Don't Think Twice It's Alright   / Chris Thile Brad Mehldau
  『Chris Thile Brad Mehldau
M5
Broken Leg  Days  / Brian Blade &Fellowship Band
  『Body And Shadow



12月23日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]

2017.12/22 番組スタッフ 記事URL

テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.389~私こそ、音楽】

 クリスマスなのでいつもならば「ジャズとクリスマス」と言う話題になるのだが、今回はちょっと趣を変える。先日ようやく見たい々と前から切望していたドキュメンタリー映画を見たのでそのことを...。元々ものぐさだけに、熱心に誘ってくれる人がいないとコンサートなどもスルーしてしまい、結構失敗を重ねるタイプだけに、この映画も見る機会を逸していた。映画は数年前公開で、ドキュメンタリーものとしては珍しくスマッシュヒット、全国でも上映され結構話題になった。邦題サブタイトルが「私こそ音楽」。なんともの凄いと言うか...自信過剰気味のもので、普通だったらすぐ鑑賞をスルーしてしまうのだが、この人のドキュメントならさもありなんという感じで、まさに天才なのである。その人の名はマルタ・アルゲリッチ。
 
クラシックでは辺境の一国とも言えるアルゼンチンの出身で実に魅力的な美女、超の付く実力派だけに人気も絶大、意思強固で奔放な生き方を誇る根っからの自由人。離婚も数回で大のインタビュー嫌い、その私生活は謎に包まれている...と来れば、ドキュメンタリー映画が話題を呼ぶのもある意味当然のこと。

 
実をいうとぼくは仕事柄好きなピアニストは...と聞かれれば、キース・ジャレット、ブラッド・メルドー、ジョン・ルイスなどとジャズピアニストの名前を上げる訳だが、「孤島の1枚(孤島に帯同したい唯一のアルバム)」とか「いまわの1枚(死ぬ直前に聞きたい1枚)」などと言う究極のアルバム選定~と言うことは最も愛しているピアニストと言う意味合いでもあるのだが...、グレン・グールドとアルゲリッチと言うクラシック界の天才2人と言うことになる。この2人の達人はそのピアノスタイルからして大違いで、理知派の代表格、グールドが極端に遅いスピードでバッハなどを弾き綴るのに対し、アルゲリッチはその奔放さを反映してか、実にスピード感溢れる急速調テンポで弾き込むのである。グールドが音楽コンクールなどは一切無視するのに対し、アルゲリッチはショパンコンクールで名を挙げ、その他のコンクールにも度々顔を出している。しかしこの天才達にも当然共通点はあり、互いに人嫌いでインタビューなども殆ど受けない。それだけに彼女の内面に食い込んだドキュメンタリー映画は、かなり興味深く音楽ファンにも捉えられた筈なのである。
 このフィルムの監督・撮影はステファーニ・アルゲリッチ。名前からも分かるように彼女の3女。上の2人も女性でそれぞれに父親は違う。マルタが最も可愛がっていたのがこのステファーニだけに、世界中のコンサートに同行、その舞台裏も廻しており、インタビューなどもそれと感じさせない程に自然で突っ込みも鋭い。彼女自身も何でも聞かれることを許しており、ここら辺がこのドキュメンタリーの出色なところ。気が向かないとすぐに公演キャンセルなども行うことでマルタは有名だが、そこら辺の心の揺れも見事なほど容赦なく捉えられているし、かつてのあの美女の70代後半の老女になっての信じがたいほど容貌の衰え、これにも容赦ない。
 
何せ映画のスタートがパリかローザンヌか...、ヨーロッパのどこかの都市に佇む醜く太ったホームレスに見まがう老女(こんな人上野近辺でも見かける)、顔を見てもまさかこれがあのアルゲリッチとは思えなかったが、話が進むにつれなんとも魅力的な老女に変わって来る。演奏会、コンクール、付き合った男、それぞれに親の違う娘達、アルゼンチンの両親(母親は東欧移民のユダヤ系)など、彼女のモノローグが続き、その中に現在のピアノの練習やコンサート風景、ショパンコンクール当時の全盛期の模様など、フィルムもインサートされそれらについての彼女のコメントも興味深い。また彼女はあのぼくの大好きな温泉町、別府市で国際アルゲリッチ音楽祭を主催したことがある。それはもう数十年になっている筈で、以前別府に立ち寄った折が偶然その開催時、そこで音楽祭を聴いたこともある(と言っても彼女が弾いていた訳では無かったが...)。彼女の長女は中国系でヴァイオリン奏者だが、母親とは別れて育ち大変苦労もしたらしい。その辺の事情も判明し興味津々だし、また彼女はショパンコンクールの審査員として、あの天才ポゴレリッティが選ばれなかった時、憤然として審査員席を立ち抗議した、そのエピソードも筋を通す女性として忘れ難い。

 
そうした個人的事情・逸話だけでなく、いずれにしろ本当に凄いスケールの魅力たっぷりな稀有の女性音楽家で、改めてその素晴らしさに感銘を受ける。帰宅するや再度ぼくの一番好きな彼女のバッハのピアノ曲集アルバムをむさぼり聴いた。言うことなしのまさに天界の音楽だった。

 
アルゲリッチ映画に続いては、少し番組情報を...。来年のテイスト・オブ・ジャズ、新年の初回は、ジャズギターの...と言うよりも日本ギター界のレジェンドである渡辺香津美が登場。新しい年の抱負を披露、続いては日本ジャズシーン異端の実力派美女、折り紙付きの実力派ながら、その言動が何かと話題を集める大西順子等々、大御所や話題の新人の出演が次々と続きます。他局には無い豪華な面々。乞うご期待です!なお12月23日の番組は本放送が22:00-22:30になります。
【今週の番組ゲスト:JAZZバイオリニストの牧山純子さん】
先月リリースの『ルチア〜スロベニア組曲』をご紹介。