番組紹介

ラジオNIKKEI第1 毎週土曜日 18:00~18:30 ほか

45年超の歴史を有する、民放ラジオ最長寿級のジャズ番組。進行役は、フリーアナウンサーの山本郁。毎回ミュージシャン、シンガー、ジャズ関係者などをスタジオに招き、そのゲストにゆかりの曲をかけてジャズ・トークをお届けします。

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7月21日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]

2018.07/20 番組スタッフ 記事URL

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜22:30~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.420~軽井沢ジャズフェス】

  今年もまたこの季節がやって来た。サマー(=夏)音楽フェスの季節である。かつてならば夏=ジャズフェスの季節などと宣うものだが、今はそんなことも言えない。ジャズという単語を音楽に変えないと...などと邪念が働いてしまう。実際のところロックフェスは入場者、登場ミュージシャンなど隆盛を極めているが、ことジャズフェスはかつての山中湖、斑尾、田園コロシアムなど大型のフェスはことごとく潰えてしまい、僅かにNHKが主催する「東京ジャズフェス」くらいになってしまい、全く寂しい限りである。これにはジャズフェスの主催者達が本来の入場料収入で勝負するのではなく、広告代理店などと組みスポンサー探しに熱中、フェス開催前にすでに収益の損益分岐点を超える...と言った姑息な考えが続いてきたからではと...ぼくは密かに考えており、ジャズの衰退も相俟って観客動員を第一に考えるロックフェスに、ジャズフェスが大きく水を上げられてしまっている...とも言えそうなのだ。

 
しかしそうはいっても日本全国ではまだまだ頑張っているジャズフェスもあり、その筆頭格が7月最後の土曜日、28日に軽井沢を象徴する音楽ホール、大賀ホールで行われる「軽井沢ジャズフェスティバル」言うことになる。40年以上の付き合いもあった今は亡きジャズプロデューサー伊藤八十八氏。彼がアメリカを代表するリゾート地、ニューポートで行われて来た有名なニューポートジャズフェスの日本版を目指し、企画実施したこのジャズフェス、その彼があっけなく逝ってしまい、奥さんの妙子さんがプロデュース役で継続してはや3年目。伊藤氏との繋がりや軽井沢と言うぼくの第2の故郷への恩返しと言う意味合いもあり、これまでも出来ることは協力して来たのだが、特にヤソさん(伊藤氏)亡き後のフェスは啓友・高平哲郎氏が構成・演出を担当、昨年からは司会もサックス奏者の誠一ちゃん(中村誠一)に変わったことなどもあり、今回もどうしても更なる協力を...と言うことで番組でもPRに務め、今年もまた妙子さんとスペシャルゲストに来てもらって、フェスの全貌紹介を行うことにした。

 
今回登場してくれたスペシャルゲスト、それは人気フュージョンギタリストにして数多くの歌手たちのプロデュースも担当している鳥山雄司氏。あのTV番組「世界遺産」のテーマ曲を作ったことでも知られる才人で、故伊藤氏との繋がりで今回初めて軽井沢のステージに立つことになった。我がジャズ番組にも初登場なのである。その彼、フェスではフュージョン仲間のキーボード奏者、和泉宏隆とのデュオで演奏を展開してくれるようだが、番組でも軽井沢フェスに出れる喜び、フェスへの期待などを率直に語ってくれている。また今回のフェスの目玉は、アストル・ピアソラ亡き後のモダンタンゴ界を一身に背負っている感も強い、バンドネオンの名匠パブロ・シーグレルの登場。彼は日本のタンゴ関連ミュージシャンとの共演ステージを行う予定だが、その圧倒的な演奏は多くのファンに感銘を与えるに違いない。

 
その他司会役の誠一ちゃんは、もうこのフェスでお馴染みのNY在住の若い女性サックス奏者、寺久保エリナとツインサックスユニットで登場、若い彼女を相手に彼がどんな力演を聴かせてくれるか、古くからの友人として大いに楽しみでもある。また妙子さんが大好きだと言うハーモニカ奏者の西脇辰弥氏や異色な所では台湾のジャズバイオリン奏者ダフニ・スーも顔を見せてくれる。どれも今までとは一味違った演奏で愉しめるはずである。

 
この原稿をものしている時点ではまだ暑い東京。はるか追分の山荘を思いつつ毎日を過ごしている訳だが、あと数日で現地入り。今年は大賀ホールでのリハーサルの様子も覗いてみようと思っている。さあ後数日ここは出来るだけ頑張らなくては...。そして来週からは昨年同様「追分通信」をお送りします。

【今週の番組ゲスト:軽井沢ジャズフェスティバル
プロデューサーの伊藤妙子さんとギタリストで音楽プロデューサーの鳥山雄司さん
http://eighty-eight.jp/news/388

M1「The Song of Life(世界遺産テーマ曲)/ 鳥山雄司」
M2「An Evening Calm / 鳥山雄司」
M3「 La rayuela(石蹴り遊び) / Pablo Ziegler」
M4「Summer Time  / Kenny Barron」

7月14日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]

2018.07/13 番組スタッフ 記事URL

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜22:30~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.419~カズオ・イシグロ】

 ノーベル賞がまさかのセクハラ疑惑騒動で大揉め、その主因だったらしいノーベル文学賞、今年は受賞無しとなりこれからもその存続すら危ぶまれているとも聞く。ここでの一番の問題は、わずか数名それも何年も同じ面子の委員で賞が決められて来たと言う、圧倒的な賞決定の閉鎖性かも知れないが、そんな連中が決めた賞にこれまで一喜一憂して来たのか...となると、なんとも虚しくもなるし馬鹿らしくもなってしまう。特にここ数年は常に文学賞の最有力と言われ続け、世間的には無名とも思われる作家が、次々に彼を追い越していってしまった村上春樹で、世界的な拡がりを持つその応援団にとっても、やりきれない無念な思いが残るに違いない~肝心の春樹氏自身はノーベル賞狂騒曲から逃れ、むしろホッとして居るかも知れないが...。

 さてこのノーベル賞を春樹氏よりも早く手にしてしまった一人の日本人作家がいる。と言っても彼の国籍は英国で英国作家なのだが、勿論純生日本人である。カズオ・イシグロである。代表作「日の名残り」が英国最高のブッカー賞に輝き、アンソニー・ホプキンス主演で映画化もされ話題を呼んだし、「わたしを離さないで」は綾瀬はるかの主演でTVドラマ化された...と言う具合に、かなりポピュラーな存在ではあったが、ノーベル賞受賞によりその作品も再度話題を集め、かなり売れ行きを伸ばしたとも聞く。この彼の作品の翻訳権全部を所有するのが、海外ミステリーなど翻訳本に強い早川書房で、伸び悩み気味の出版業界では、昨年最大の話題を集めたのも記憶に新しい所。


 カズオ・イシグロと村上春樹。現在世界文学の中心に位置するこの2人は同世代で、春樹の方が5才ほど年上。日本人で同世代と言うことだけでなく、2人にはその透明感溢れる蠱惑の文体、その文章の心地良いリズム感など共通する点も数多くある。中でもそのリズム感だが、これは2人のジャズ好きが大いに関係しているのでは...とぼくは密かに睨んでいる。春樹の方は国分寺と千駄ヶ谷で「ピーター・キャット」と言うジャズ喫茶を実際にやっていたし(ぼくもこの店に通い一応春樹氏と顔見知りではある)、イシグロの方はなんとジャズミュージシャンを目指していたが挫折...と言う経歴の持ち主。
 春樹とジャズ、この関係は余りにも有名で作品にもよく登場するし、ジャズエッセイ集なども刊行し好評でもある。
 一方イシグロの方は長編作品が多く、その中にジャズ関連の単語などはあまり見られないが、唯一とも言える短編集「夜想曲集」は、「音楽と夕暮れをめぐる5つの物語」という副題が付くぐらいだけに、ジャズにまつわる好短編もいくつかある。その一つがあのハロルド・アーレン作曲、ジョニー・マーサー作詞の名コンビによる、有名なスタンダードソング「カム・レイン・オア・カム・サンシャイン=降っても晴れても」をタイトルにしたもの。主人公はミュージシャンでは無いがスタンダードソング好きでレコード収集が趣味の教師、現在はスペイン在住。その親友とその妻(彼女も大のスタンダード好き)のロンドンの家を、彼が久しぶりに訪ねそこで起こる出来事をまとめたものだが、そこで重要な役割をするのがタイトル曲をはじめとしたスタンダードソングの数々。こうした設定の短編は春樹にもありそうなもので、ジャズをメインにした音楽を通じて、イシグロと春樹と言う2人の作家の類似性・共通性を窺わせる所も少なくない。長編は一寸と...敬遠気味な皆様にもこの「夜想曲集」は是非お薦めの一冊だし、カズオ・イシグロと言うノーベル賞作家を知る入り口にもピッタリだと思う。

 ところでイシグロはジャズ好きと言うよりもミュージシャンを志向した本格派だけに、英国のジャズ界とも関係が深いようで、中でも彼との親密度を表に出しているのが、日本でも人気の高いシンガー、スティーシー・ケントである。彼女はアメリカ出身で英国に進出と言う変わり種だが、旦那はサックス奏者で夫婦共演で度々来日もしている。彼女の作品にはイシグロが詞を付けた曲も幾つか収録されており、イシグロへの感謝を彼女がアルバムで語っているものもある。現在世界文学の頂点に位置している2人の作家イシグロと春樹。彼らを結び付けるもの、それがジャズと言うのはジャズファンならずとも嬉しいものである。

【今週の番組ゲスト:ジャズピアニスト野力奏一さん】
4月にリリースされた自身名義として30年ぶりで、初のソロアルバム「Piano Solo」から
M1「Seven Steps To Heaven」
M2「Pastoral」
M3「Kitchen / Full Moon」
M4「My Ship」



7月7日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]

2018.07/06 番組スタッフ 記事URL

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜22:30~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.418~甲田まひる】

  どの世界・分野でもそうだろうが、天才少年・少女の存在がそれぞれにいて、彼らはTVなどのマスコミがその才を発見・紹介、全面的に持ち上げ一気に話題を集めると言った構図になっている。ジャズでもかつてそうした天才少年が何人も登場、その都度ジャズジャーナリズムが取り上げ話題を集めはするのだが、それからそのまま活躍しているかと言うと一時の話題だけで殆どは消えてしまっているのが実情。しかし最近こうしたジャズ界でのアンファンテリブル(恐るべき子供=天才)の中にも、成人しても生き残るに違いないと言うかなりジーニアス(天才)な存在が出現し始めている。

 アジア系のジョーイ・アレキサンダーなどがその代表格だが、日本でも最近一人の美少女ピアニストが注目を集めている。彼女の名前は甲田まひる。
 「お昼に生まれたからまひるって名前にママがしたの」とあっけらかんと語るこの美少女はまだ17才。今各方面から注目を集めている彼女が、デビュー作『プランクトン』を収録したのはまだ16才の時。「なんとしても16才の内にアルバム吹き込みを終わりたかったの。だからかなり無理もして吹込みを終えたんです」とのこと。その彼女が大きな注目を集めたのは、この若さで純生のバップアルバムを出したと言う点。モダンジャズの出発点でもあり80年以上前のジャズスタイルでもあるバップ(ビバップ)。その中心人物でありジャズピアノの原点を作り上げたバド・パウエル、そして「鬼才」セロニアス・モンク。この2人のピアノに魅せられほぼ独学でジャズを学び、21世紀型とも言えそうな若々しく斬新なニューバップ・ピアノアルバムを発表した辺りに、ジャズジャーナリズムをはじめ多くのマスコミ人が驚かされたのであった。まだ10代の少女がバップに興味を抱き、それを突き詰めアルバム迄出してしまった...と言うニュースは、かく記しているぼくにも大きな驚きだったし、嬉しいことでもあった。その上彼女は世界中に14万人以上のインスタグラムフォロワーがいると言う。美少女のファッショニスタ(ファッションの記事発信がメインで、時にモデルもするようである)、それだけに彼女に関する話題も豊富で、この美少女の存在をマスコミが放っておくはずがないのである。
 その彼女の才を見出したのが我がクラブの後輩で、ジャズ研OB会の現会長でもある渡辺康蔵くん。高田馬場の有名ジャズスポット「コットン・クラブ」で、遊びでジャズピアノを弾いていた彼女の存在に注目、アドバイスをしつつアルバム制作へと導いていったのである。そしてある日彼からTELがあり今面白い女の子がいるから一度聴いてみてくださいよ...と言うことでデモテープを耳にし、本当に驚かされてしまったと言う次第。

 ここで彼女をフォローしているのは若手No1の芸大出身ドラマー石若駿とロック畑の人気ベーシスト新井和輝と言う20代そこそこの若い面々。この3人まさにこれからのJ-ジャズを背負っていく...と言える存在。その若き才能が集結した点も注目を集めたところでもある。アルバムはバト・パウエルの名演で知られる「ウン・ポコ・ローコ」「クレオパトラの夢」など有名バップチューンがメインで全部12曲。中に「プランクトン」「マイ・クラッシュ」の2曲のオリジナルが含まれているが、アルバム収録に合わせ苦労しながら作り上げたと言うが、仲々の好曲に仕上がっている。

  子供の頃から当然ピアノに集中して励んできた彼女、その先生がかなり自由な人で湯山昭やカプスーチン(ロシア系作曲家)等の現代ものも幼いころから弾かせてくれたようで、そんなこともあってその周辺にあったジャズに関心が向くようになり、その中からパウエルとモンクに関心が向き、中でもパウエルに最も惹かれたとのこと。アルバムは想像通りにかなりな評判を呼び、今各方面で注目を集めているが、真価を問われるのは次回作。
 実力はあるが今は話題先行気味の所もあるだけに、これからの彼女の精進を望みたいところだが、若いだけにバップだけでなく今はやりのヒップホップも大好きとのことで、次作はそんなものになるのか予想はつけ難い。しかしこんな若い女性がバップに興味を抱き、そのアルバムを出したと言う事実だけでも嬉しくなる。この美少女のこれからのジャズ活動に、大いに注目していきたいですね。

【今週の番組ゲスト:17歳のピアニストMappyこと甲田まひるさん】
デビューアルバム『PLANKTON』から
M1Un Poco Loco
M2Plankton
M3Indiana
M4Cleopatra's Dream

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6月30日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]

2018.06/29 番組スタッフ 記事URL

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜22:30~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.416~ジャズ2018前半】

 早いもので2018年ももう前半が終わってしまった。番組では毎月最終週の放送はジャズ評論家の青木和富氏に登場頂き、彼が自身好きなテーマでジャズ話をする「カズトミズ・トーク」にしており、年末には今年の話題盤と言うことで彼の考えるベストアルバムを紹介してもらっているが、もう少し小まめに話題盤の紹介があってもいいのでは...とあるリスナーからの指摘があった。確かにその通りと言うことで、今月が丁度年度半ばと言うこともあり、18年上半期のお気に入りアルバムを幾つか...と言うことで、彼にお願いすることにした。 

 彼が持参したのは全部で5枚。山中千尋やジュシア・レッドマンなど別項にあるラインアップで、ぼくが頷ける所もあったしそれは一寸と...些か異なった見解の所も当然あった。ただ2人で意見が一致したのは、今こう言うベストアルバム選考的な企画、ラジオで結構難しくなっているのでは...と言う点だった。と言うのもかつてのようにテスト盤と言うものをレコード会社(この場合はジャズアルバムの独占状態にある、最大手のU社と言うことになるのだが...)余り作らないようになっており、話題の作品も音声データで送られてきてそのデータも10日余りで消去されてしまうのだから、ラジオでオンエアーされるのも難しい。CDと言う形になっていないと聞き逃してしまうものも結構出てきてしまう。それだけに青木氏にこの企画を提案した時、彼も受けるのをいささか躊躇したのだが、それも良く分かると言うもの。まあ難しい時代になったものである。

 さて今回彼が取り上げてくれたアルバムで、ぼくが初めて耳にしたのはドラマー本田珠也のドラムトリオアルバムだったが、これがなかなかの優れもの。ハードロックジャズなどかなり尖がった活動をメインにしている彼だが、ピアノの佐藤浩一の叙情性を生かしたトリオ作に彼の新たな一面を探れたのは、中々に嬉しいことだった。今は亡き名ピアニスト本田竹広の息子である彼を、ぼくは3才のころから知っており、その話題を彼に振ると照れ臭そうにするのだが、もう40台に入りJ-ジャズを牽引する力強いドラマーに成長したこと喜びでもあるし、亡き本田も喜んでいる筈に違いない。
 
今年上半期のお気に入りに関して、ラテンジャズ系作品が好きなぼくとしては、18年前半で最も関心があったのは、青木氏も取り上げていたジャズプロデューサーのキップ・ハンラハンの復活作品である。ニューヨークラテンをメインに据え、ジャンルを横断するような自在な活躍を見せる彼もアルバム作りの資金に事欠き、ここ10年余りは活動を控えていたが、「クラウドファンディング」と言う新手の資金募集方を最大限活用し久しぶりの新作発表にこぎつけたが、その内容も期待通りの弾む出来栄えで、キップ健在なりを満天下に示した格好で、拍手を送りたくなる。
 
ぼく自身の上半期ベスト作はラテンジャズ畑での活躍が多いドラマー、ダフニス・プリエトのフルバンド作品。今はやはりフルバンドと言うよりも、このアルバムの様なラージアンサンブルが幅を利かす時代。その上このアルバムには、ヘンリー・スレッギル、スティーブ・コールマンと言う尖がった面白さを身上とする2人のサックス奏者がゲスト参加。彼らとフルバンドの鬩ぎ合いもこのアルバムの聴きどころになっている。ジャズはやはり興味尽きない音楽ですね!

【今週の番組ゲスト:音楽評論家の青木和富さん】

今週はジャズトーク。青木先生に 2018年上半期、印象に残った作品を紹介していただきました。
M1New Year  / Joshua Redman
M2And Now The Queen / 本田珠也・イクタス・トリオ」
M3「マンボ  / 山中千尋」
M4Not Alone  /   Kip Hanrahan
M5Contra La Indecision  / Bobo Stenson

6月23日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]

2018.06/22 番組スタッフ 記事URL

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜22:30~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.415~話題のコルトレーン発掘盤】

 今年のジャズ界の話題と言えば何と言ってもジャズの神聖レジェンド、トレーンことジョン・コルトレーンの公式スタジオ録音の奇跡とも言える音源発掘と言うことになるだろう。6月末に世界同時発売(!)されるそのアルバム。タイトルはずばり『ザ・ロスト・アルバム』。トレーンの絶頂期、1963年に正式録音されたもので、あの黄金カルテット(トレーン、マッコイ・タイナー(p)、ジミー・ギャリソン(b)エルビン・ジョーンズ(ds))による失われた公式演奏記録が、なんと55年振りに発見されたと言うのだから、ジャズ界で話題沸騰になることは至極請け合い。現に朝・毎・読の3大新聞をはじめ音楽関係各誌、更に何とNHKの定時ニュースでもかなりな時間を割いてこのニュースが取り上げられた(残念ながらぼくは見ていないのだが...)のだから、話題枯渇状態にあったジャズ界にとって、なんとも嬉しいビッグニュースになったのである。

 ユニヴァーサルから期間限定で送られてきた音源を聴いたが、アルバム収録曲は7曲。50分余りの収録でその内に未発表曲が2曲、いずれもマトリックス番号が付けられており、タイトルは無し。トレーンならではの「シーツ・オブ・サウンズ」を生かした目まぐるしい展開のナンバーになっている。この録音が行われた63年前後には、彼の代表アルバムともされる『バラード』(62年冬)『コルトレーン&デューク・エリントン』(62年9月)『コルトレーン&ジョニー・ハートマン』(63年3月)と言った人気&傑作盤が収録されており、この吹込みはなんとシンガー、ジョニー・ハートマンとの共演前日に行われたものだと言う。この3作に共通しているのは『バラード』にも象徴されるように、バラードタイプの心和むソフトタッチの演奏がメインなのだが、今回出されるこの『ロスト・アルバム』はかなりフリーブローイングにも接近した、後期トレーンにも近いハードエッジでゴリゴリと迫ってくる重めの演奏が多いこと。当時のライブアルバム『ライブ・アット・バードランド』(63年10月)ではこれに近いエッジの利いた演奏が展開されているが、ここでも1曲目の未発表曲や彼の代表曲の一つ「ワン・アップ、ワン・ダウン」などがその代表的な先鋭プレーでもある。
 実を言えば、最近は余りトレーンのそうした真摯にしてトーゥーマッチ(ヘビー)なプレーに接していなかっただけに、かなりずっしりと迫って来て、素晴らしいと思いつつもいささか...と言った感じも抱いてしまう。

 今から半世紀ほど前、荒れた世の中にあった大学生時代、新宿のジャズ喫茶に入り浸って「石を投げたり」「ジャズを浴びていた」頃には、トレーンは間違いなく世界の一つの中心だった。彼の過激・激烈を絵に描いたようなあの来日コンサート(この1年後に彼は他界、あの過酷な日本ツアーが彼の寿命を縮めたのは間違いない事実だが...)では、ぼくら3大学のジャズ研(早稲田、立教、慶応)が、公式記者会見で大学生だけの質問時間を取って、彼に直接質問をぶつける等も敢行、ある種のジャズ神でもあった彼の本質に迫ろうなどと言う大胆な試みも行ったものだった。だがあれから55年、月日は過酷に流れ去り、今やオールドボーイに成り果ててしまったぼくには、あの突き詰めた迄の過度の真摯さに、多分に惹かれつつも...と言う感じがあるのもまた事実。でもでもここでの彼の演奏、そしてエルビン以下の黄金カルテットの面々のプレーもさすがの迫力だし凄いの一言。ジャズ黄金時代の底力ここにありの言った感がひしひしと迫って来る。但しぼくがここで最も気に入ったのは、なんとも言えない明るさを漂わせたミュージカル「メリー・ウイドー」の挿入曲でもある「ヴィリア」。この軽快感は同時期に吹き込まれた3枚の傑作アルバムにも共通したもので、ホッとすると同時に愛おしさも強く感じられる。

 このアルバムが世に出るようになったのも不可思議な縁によるもの。元の収録テープはレコード会社が消去(合理化のための様だ)、トレーン自身が自宅に記録・保存用として持ち帰っていたテープ、それが数十年後にある音楽オークションで遺族から提出され、競売にかけられ「ヴァーブ」の担当者の目に止まる。そこからまた様々な紆余曲折を経ること10年余り、今回ようやくインパルスレーベル作品として日の目を見たと言う次第。ある意味本当に奇跡の発掘であり、本当にこんなジャズ大看板にもこんなことが起こるのだと言う好例とも言える。
 発売は6月末。番組でも是非このアルバムを特集し、その意義や魅力を誰かプレーヤーに解説してもらうつもりです。期待して待っていて下さい。よろしく!
【今週の番組ゲスト:「Ladyやまねこ」のトランペッター、コンポーザー、アレンジャーの中西暁子さん】
1stアルバムの「Let Them Talk」から
M1
Bluesette
M2
Blue Dancing Manatee
M3
「星めぐりの歌」
M4
Hana Aoi

6月16日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]

2018.06/15 番組スタッフ 記事URL

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜22:30~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.414~期待のオルガン奏者】

 ジャズシティーと言えば、やはり大都市NY=アップルコアと言うことになるだろう。ぼくなどより上の世代では、いやそれは発祥の地ニューオーリーンズだよ...などと言われる方もおられかも知れないし、中部の大都市、セントルイスを忘れては困るよ...などと通ぶった注釈を語られる方も...いるかもしれない。ただ誰もがジャズにとって、NYと言う大都市の存在を第一義に考えるのは至極当然とも言えるだろう。しかしこのNYにも匹敵するジャズシティーとして、ウインディーシティー(
風の街)の別名を持つ大都市シカゴの存在を忘れることは出来ない。ジャズとブルースの街、シカゴ。

 
この街はモダンブルースの聖地でもあり、ジャズでもNYとはまた一味異なった「シカゴジャズ」とも言えるある流派()を構築しているジャズ都市でもある。それだけにNYよりもこの街を目指し、日本から修行に向かう若者もいる。そんな一人が今回番組に登場してくれるジャズオルガンの若手第一人者、土田「ハル」晴信くん。彼はこの5月に日本で初めて本格的なリーダー作を発表(シカゴや欧州既にリーダー作を発表している)、そのライブアルバムのライナーノート(解説)は、ぼくが担当させてもらっている。
 
横浜っ子の彼は高校時代からブルースにはまり、学業の傍らライブハウスにもオルガン奏者として登場する、かなりなやり手だったようだが、入学した大学を中退し本格的にブルースを学ぶため、聖地のシカゴへ単身渡り現地の音楽大学に入る。同時に黒人街のライブハウスでも活動を開始、音楽大学では本格的にジャズを学び、徐々にブルースからジャズに軸足を移行、シカゴのジャズシーンでも名前を上げていくようになる。シカゴ時代には2枚のアルバムも自主制作、現地では「ハル」の愛称で11年の長い期間活躍を継続、有望な若手として知られるようになる。その後日本に活動の場を移すも数年でドイツ・ベルリンに居を移し、同地をはじめ欧州各地で数年間活動を展開、数年前に再び横浜の地に戻ってきた...と言う、かなり興味深い経歴の持ち主。

 
ぼくがその存在を初めて知ったのも欧州から帰国直後のことで、毎年番組で取り上げる秋の横浜ジャズ祭「ジャズ・プロムナード」の紹介番組で、ゼネラルプロデューサーの柴田氏が有望新人として連れて来たのが彼だったのだ。彼が持参したアルバム(欧州の名門レーベルで、現地の有力な面々とレコーディングしたもの)を聴かせてもらい、その優れた内容に直ぐにファンになってしまった。まあそんな縁もあり日本での初の本格的デビューアルバム『サニー/ライブ・アット・アデュロン・ダック』では、アルバム解説を頼まれることになったのだが、この作品はぼくのご贔屓の神田・神保町にあるジャズカフェ「アデュロン・ダック・カフェ」でのライブ収録盤。彼が日頃行動を共にしている若い面々によるオルガントリオ(ギター、ドラム)でのライブ演奏で、シカゴ時代にしっかりと培った生のブルース感覚に、日本人的な感性もプラス、言わば「横浜発シカゴ経由」とも言える若々しいオルガンジャズを届けてくれており、番組でもその彼のシカゴ時代の面白いエピソード等もふんだんに紹介してくれている。それに彼はシカゴ歴11年で英語もペラペラ、奥さんはドイツ人で日本の漫画翻訳兼紹介業、その関係でドイツ語も堪能。素晴らしい才人でもあり、慶応大がその才に目を付けて講師として要請、毎週「ジャズ史」を英語で教えているとも言う。期待の若手と言うよりも、もう中堅と言った方が正確か...。「ハル」くんは、素敵なオルガン男である。

【今週の番組ゲスト:ジャズオルガンプレイヤーの土田晴信さん】
日本デビューアルバム「SUNNY」から
M1Next Time You See Me
M2Yours is My Heart Alone
M3Something You Got
M4I'm Confessin'

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パーソナリティ

山本 郁
やまもと かおる

新潟テレビ21アナウンサー・ラジオNIKKEI契約アナウンサーを経てフリーに。
ニッポン放送では『高嶋ひでたけのお早う!中年探偵団』最後のアシスタントをつとめた。
ラジオNIKKEI『聴く日経』、『テイスト・オブ・ジャズ』のパーソナリティー等。

新しい一週間の始まりにお耳にかかれて光栄です!!
今聴いて下さっている“あなた”をマイクの向こうに意識して価値ある情報を、正確に分かり易くお伝えします。

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