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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜18:00-18:30(本放送)ほか、土曜22:00~、日曜23:00~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.492~ジャズ重大事】

 今年もいよいよ大詰め、現役諸兄は何かと大忙しの筈だが、こちらはフリーのオールドボーイ、流石にそんなことも無い。しかし今年は暮れに恒例の「台湾特番」がずれ込むなど、年令の割には結構バタバタしている。その暮れ行く19年だが、やはりラグビーの年だった。先日のジャパンの丸の内凱旋パレード、こんなものが実現する日が来るとは本当に考えられない変わり様だ。先日もツイッターを覗いていたら、こんなものを発見。あの台風来襲でスコットランド戦が中止かどうか騒がれていた時のものの様だが、「神風などは吹かない。そんなものを期待しなくてもジャパンは勝つ...」こんな勇ましいツイートを発信していたのはあの漫才界の大看板、内海桂子師匠。90才を優に超えている筈の大師匠までも、こんなに熱く興奮させるラグビーの素晴らしさ、改めて感じ入りました。
 一方ジャズの方だが、そんなこんなで番組も来週は今年度の最終回、ジャズ評論家の青木和富氏に自身の印象に残った作品をいくつか紹介してもらうつもりだが、ジャズコラムらしくぼく自身もここで今年のジャズ話題を...。

 
まず今年のベストアルバムだが、今や世界的なスーパーウーマンとして、八面六臂の活動を展開している上原ひろみ。彼女の10年振りになるソロアルバム『スペクトラム』を挙げたい。正に縦横無尽に鍵盤を駆け巡る彼女、向かうところ敵なしといった趣きで、そのソロ作も絶品。脱帽ものである。その他の話題としては何と言っても帝王マイルスの35年振りに日の目を見た幻の一作『ラバーバンド』、テナーのカリスマ、ジョン・コルトレーンの未発表音源『ブルー・ワールド』の発掘と言う、2大巨匠の作品が新たに日の目を見た事実だろう。どちらも素晴らしい作品だった。
 しかしそれ以上にぼくが印象に残ったのは、非ジャズ系音楽雑誌「ミュージックマガジン」が、その創刊50周年を記念し40人程の音楽ライター達(残念ながらぼくは入っていないのだが...)に、この50年間のジャズアルバム・ベスト100を選出、なんとそのトップを飾ったのが、鬼才オーネット・コールマンの『ダンシング・イン・ユア・ヘッド(77年/ホライズン)』だったと言う事実なのである。この40名近いライターのほとんどは、雑誌の関係上あまりジャズと関りを持っていない連中。その彼らの投票で集約されたトップが、オーネットだったと言うのは、かなりな驚きだったし嬉しいことでもある。ぼく自身が選者だったら、このアルバムをトップに押したかは...しかとはしないが、少なくともベスト3の1枚に入れたのは間違いない。それ程このアルバムはぼくの好きなものだし、ジャズ史を揺るがす衝撃作だとも言える。

 
フリージャズの鬼才と評されるオーネットのこの作品について、小出斎氏(本職はブルースやロック系ライター)は、「これでいいのだ。見事なちゃぶ台返し...」と、マガジン本誌でその驚きを表現していたが、まさにそのとおり。これはジャズのお祭りアルバムであり、フリージャズのしかつめらしい深刻さを完璧に取り払った、祝祭フリージャズなのである。オーネットのアルトに、ベース&ドラムス、更にツインギター(これが良い)、この5人がにぎにぎしく自在に踊り狂うフリー、まさに究極のジャズ世界の実現なのである。この暮れの忙しい一時ですが、皆様も是非この至極の音群に触れてみて欲しいものです。そうすればこの世もまんざら捨てたものでないことを感じるかも知れませんね。

 さてここでお知らせ。来年から我が「テイスト・オブ・ジャズ」(開始以来50余年目を迎える)は、放送日時が毎週日曜日の18時30分~19時に変更されます。なお再放送は木曜日の22時半~23時の一度きり。いささか放送回数が減少してしまいますが、よろしくお付き合いください。このコラムも同様によろしく...。


【今週の番組ゲスト:CORE PORT主催の高木洋司さんQuiet Corner主催の山本勇樹さん】
「CORE PORT×Quiet Corner: Landscape 01」から
M1「The End Of A Love Affair / Joe Barbieri
M2Rings / Ricardo Grilli
M3The Stars, The Sun & The Moon / Triosence
M4A Child Is Born / Laila Biali

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