【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.552~都市の変容】
先日番組の打ち合わせで、地下鉄の溜池山王駅「スタバ(スターバックス・カフェ)」に向かった。朝10時からの打ち合わせと言うヤングチャンジー(爺さん)=オールドボーイのぼくにとっては、結構早い時間からの打ち合わせ。まあこの溜池山王駅はかつてのラジオたんぱ時代=局員時代の出勤最寄り駅で、スタバも良くタレントなどと打合せを行った馴染みの店。ただ最近はコロナ禍での在宅勤務の関係か、以前に比べると地下鉄駅周辺はかなり人も少なくなっている。ちょっと心配にはなったが、慣れ親しんだ店だけに...と思って進む。しかし駅周辺の最奥部分~あるべき所にその店は無い。道を間違えたのかと辺りを探したが肝心の店は無く、近くにあった筈のコンビニも無い。どうやらかなり前にクローズされてしまったようなのである。これは困ったと思い表通りに上がり、最も近いこれも馴染のコマツビルに向かい、かつてここに純喫茶があったと思い...探すとドンピシャで正解、ようやく打合せ場 所を確保した。だがこのビル地下も、かつては沢山の店で賑わっていたのだが、今やこの喫茶のみが営業していると言った淋しくも厳しい状況。溜池周辺も少し来ないうちに、街も店も大きく変わってしまっていたのだった。
斯々云々(かくかくしかじか)で、今や東京の街々はどこも大きな変容を遂げつつあり、ぼくの様なオールドボーイは都会の田舎者と言った感じで、落ち着いて街を散策することも出来ないし、人と会うこともままならない。その変容度の代表的街が渋谷で、この未来都市にも似た街は未だ変容を遂げつつあり、最近ようやく慣れることが出来つつあるが、一時は地下鉄から東横線や井の頭線に乗り替えるのに全くまごついてしまい、しばしうろうろ...と言ったお寒い状態が続いたものだった。
同じ現象は日本橋でも上野そして池袋等々、東京の至る所で起きているが、この都市変容に慣れることなどは、ぼくのようなチャンジーにはもうかなり難しいのだと、今は痛いほど思う。
翻って音楽=ジャズの世界でも、ヒップホップやラップなどのブラックミュージックをベースにした最近のコンテンポラリージャズと言うもの、それが今の若いアフリカンアメリカン(黒人)達の、日常や心情をダイレクトに写し取ったものだと言うことは、頭では良く分かっていても、自身の心身が受け入れ難いのだ。そしてこの受け入れ難いと言うぼくの今の率直な感じと、東京と言う大都市の変容についていけない、今のぼくの心情とは、何か似ている=通底している気がしてならない。まあこれもぼくが単に年をとってチャンジーになってしまい、感性が錆びついてしまっただけかも知れないが、何とも寂しいし残念なことでもあります。せいぜい好奇心旺盛にして頑張らなければ...。
【今週の番組ゲスト:放送作家の中野俊成さん】
昨年12月に発売された『ジャケ買いしてしまった!!ストリーミング時代に反逆する前代未聞のJAZZガイド』をご紹介頂きました。
M1「Summertime / David Weiss」P80『Virtuoso Saw』より
M2「The Girl From Ipanema / Mrs.Miller」P145『Will Success Spoil Mrs. Miller?!』より
M3「Je t'aime...moi non plus / Bourvil & Jacqueline Maillan」P103『Ça (Je t'aime moi non plus)』より
M4「Farmer John / Mel Henke」P61『La Dolce Henke』より
M5「These foolish things / Ella Fitzgerald & Louis Armstrong 」P167『Ella and Louis~again』より
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