お知らせ:

テイスト・オブ・ジャズ

番組へのお便りはこちら

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、再放送毎週土曜日23:00-、毎週日曜21:30-、などでオンエアー中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.100~チェルノブイリの写真に触発されて~】

 昨年はチェルノブイリの原発事故からちょうど25年。未だ後遺症が残る現地を撮り続けている一人の日本人カメラマンがいる。中筋純。

 彼は数年程前に『ジャズ・テロリズム』という物騒なジャズ・アルバムのジャケットも撮っている。侍のコスチュームをまとったアルバム・ジャケットなので『ジャズ侍』といった別称もあるこのアルバムのリーダーの片割れがピアニストのスガ・ダイロー。山下洋輔も絶賛する、今最も尖がった前衛的な若手ピアニストである。このアルバムで出会った2人は、昨年、中筋が自身のチェルノブイリ写真展での会場内の音楽をスガに頼み、スガによる完全即興音楽はアルバム化され、昨年3月に出される運びになっていたが、その数日後にあの大震災、チェルノブイリ以上の原発事故が起こり、アルバムは無期延期になってしまった。しかしその出来の素晴らしさを知る関係者が惜しみ、スガ自身も1年のインターバルを置くことにより、発売にゴー・サインを出し、めでたくこの4月に日の目を見ることとなった。ぼく自身もその音を聴き、心打たれるものも多く、番組に登場してもらうことにした。

 『春風』とタイトルされたこのアルバム,悲惨な事故にかかわらず、チェルノブイリの現地は自然がどんどん回復し春風心地よく吹き渡っているという意味合いが込められているようで、中のブックレットには、中筋のチェルノブイリ全景写真が6つ折りで印象的に挿入されている。スガのソロ・ピアノは写真に触発された完全即興演奏が9曲。巨骸、臨界、融合、終末など意味深なタイトルが付けられているが、それは後で付けたもので、それほど意味はないとスガは言うが、彼のピアノは激しく殴打されたり、悲しげにつぶやいたり、様々な怒りの表情を描き出す素晴らしいもの。今最も先鋭的で意欲的なピアニスト、スガ・ダイローの話もまた大変興味深いもので、彼の名前は今後ワールド・ワイドなものになるに違いない。ぜひ6月9日オンエアーの番組をお聴き下さい。そして今なお原発推進に邁進している連中に、深い反省と痛い一撃を与えられればとも思います。


スガ・ダイロー氏(左)と世話役ベルベット・サンのノイズ・ナカムラさん(右)


ちなみに明日、5月26日のゲストはジャズフルート奏者の深沢晴奈さんをお迎えします。


こちらがジャズフルート奏者の深沢さん


お知らせ

お知らせ一覧