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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.299~新入生・新社会人のためのジャズ入門】

 4月の初頭、わが街~国立は桜の真っ盛り。1年のうちで最も賑い立つ時期で、都内各地からの桜見物客や一橋大学の新入生など、駅から真南に伸びる大学通り、それと直角に交わる桜通りは人で溢れ返る。まあ国立だけでなくこの4月は新たなスタート期だけに、どこでも何か不思議な活気に包まれるものだが、我らの「テイスト・オブ・ジャズ」でも、毎年4月第1週のオンエアーは、ジャズプレーヤーやライター、ジャズ喫茶のマスターなどジャズ関係者にご登場頂き、その人流のジャズ入門を語ってもらっている。今年番組がお願いしたのは、HMVのバイヤー兼センスの良さで人気の高いジャズ系フリーペーパー「クワイエット・コーナー」の主催者、かつ音楽ライターとしても活躍している山本勇樹氏。
 彼が主催・監修しているフリーペーパー「クワイエット・コーナー」は、ジャズやワールドミュージック、シンガーソングライター系等の音楽の中から、タイトル通りクワイエットでセンスフルな作品をチョイスし紹介している高級フリーペーパーで、同名の書籍やコンピレーションアルバムも出されておりかなり人気の高いもの。そんな彼だけにいわゆるジャズ評論家やジャズライターとは一味違った入門者向けアルバムを紹介してくれるはずと彼に声をかけた次第。

 収録当日、彼は、10数枚のアルバムを持参してくれたが、打ち合わせで初心者にも聴き易いジャージーなボーカルアルバムで行こうと言うことになり、どうせなら女性ボーカル限定の方が面白いのでは...と話が進んで、それも彼女達がポップスの名曲をカバーしたもの...となり、今までの入門編とはずいぶん趣きの異なった山本流ラインアップとなった。取り上げたシンガーは、コケティッシュなカマトトボーカルスタイルで独特な人気を誇っている故ブロッサム・ディアリー、彼女の後継者とも言える可憐なボーカルスタイルのイギリス出身の歌姫、ステューシー・ケント、ジャズとフォークを融合させた様な独特な深みあるSSW(シンガーソングライター)風なネオジャズボーカルのメロディー・ガルドーなど、全部で5人の歌姫達。その彼女たちが「虹の彼方に」や「アローン・アゲイン」等のポップスヒットをそれぞれの蠱惑(こわく)スタイルで歌い上げる。どれも実に心地良い音楽ばかりで、これならば入門者、特に若い女性の入門編にぴったりと言った選曲。さすが手練れの選曲家だけに見事なもの。

 なお彼が選曲した「クワイエット・コーナー」の新作コンピレーションアルバムが3月末に出たばかりで、こちらもかなり好評とのこと。またHMVでは渋谷に音楽と本をメインの新しい店舗を立ち上げ、そこではクワイエット・コーナーのお勧め盤や本(もちろん山本氏が監修)が多数展示されている。皆様も是非一度足を運んでみて、そのセンスの良さを味わって見られたらどうだろうか...。

 なお僕の入門向けジャズアルバムのベスト3は、まずはオーソドックスに、ジャズ帝王ことマイルス・デイビスの『マイ・ファニー・バレンタイン』(ライブアルバム)、現在のモダンピアノスタイルの先駆とも言えるビル・エバンス『エクスプロレーションズ』、ジャズの室内楽的展開で優雅な気分に浸れるMJQ(モダンジャズカルテット)『ジャンゴ』と言った辺り。更にボーカルとして1枚挙げれば、現代を代表する黒いディーバ、カサンドラ・ウイルソンの『ニュー・ムーン・ドーター』と言うことになる。それにしてもカサンドラのアルバムは95年録音だが、それ以外はどれも1950年代半ばから60年代初めのジャズ全盛期のもの。ぼくがジャズを聴きだし始めた頃の作品になってしまうのだが、それはまあこのロートルならではの選択...、と言うことでお許し頂きたい。
【今週の番組ゲスト:HMV音楽バイヤーでQuiet Corner監修の山本勇樹さん
 
M1「Both Sides Now/Sarah Corman」
M2「I'm Hip/Blossom Dearie」
M3「This Happy Madness/Stacey Kent」
M4「Over The Rainbow/Melody Gardot」
M5「Alone Again Naturally/Lori Cullen」





 

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