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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.307~最近のPIストーリー】

  この4月から番組では毎月最終週のこの時間、ジャズ評論家の青木和富氏にジャズのお勉強と言うタイトルで、20世紀最高のポップミュージック~ジャズを体系的に見直してみようというシリーズ企画をお願いしている。ジャズの歴史を振り返りつつ、これからのジャズも見据えていこうと言うジャズ教養講座(と言っても決して堅苦しい内容ではありません)なのだが、今回はその2回目。初回がジャズの誕生からシカゴ、NYへと進出した辺りまで、そして今回は「スイングトゥバップ」と言うことで、いよいよモダンジャズのとば口へ到着ということになった。狂乱の20年代から30年代、スイングジャズ全盛期のキング、ベニー・グッドマンをはじめグレン・ミラー。更にはスイングからビバップへの移行期の代表的プレーヤー、夭逝したギタリスト、チャーリー・クリスチャン等々、様々なミュージシャンが登場する。このジャズのお勉強、ぼくにとっても思い返すこと、知らなかったことなど数々あって、結構ぼくにとってもお役に立つ講義なのだ。と言う訳でこのお勉強に是非皆様にもお付き合い願いたいと思っている。

 まあ番組はこんな感じだが...、このところハードボイルド系PI(私立探偵)ものの小説や映画などで、かなり面白いものがいくつか出て来ているので、久し振りにそこら辺から紹介してみたいと思う。わが国のハードボイルド探偵小説としては、現在は札幌在住の東直己(大のジャズ好き)が一人気を吐いている感も強い。彼には酔いどれの「名無し探偵」と、かなり生真面目な本格派探偵~畝原ものの2シリーズがあり、松田龍平が出演しかなりヒットした探偵シリーズ映画は酔いどれ探偵の方。この他にも大田忠司など何人か頑張っている人もいるのだが、如何せん衰退状況は否めない。そこで全く違うタイプの探偵ものとして登場したのが、北川景子主演でTVドラマ化もされた「探偵の探偵」。松岡圭祐の書いたこの探偵ものは、タイトルどおり興信所所属探偵の非行を暴く探偵。DV被害者の身元を暴露など、実社会でもこの手の探偵の悪行がニュースにもなっているだけになかなかに興味深いし、良い所に目をつけた感じもある。主役は紗崎玲奈という女探偵。女と言うところもミソで、TVドラマは見ていないが小説は久々にスリリングで面白かった。このシリーズ4巻で収束。

 そしてビデオでは少し前に出たリーアム・ニールソン主演の「誘拐の掟」が秀逸。これは人気ハードボイルド作家、ローレンス・ブロックの私立探偵マッド・スカダーものの映画化で、監督は名脚本家としても知られるスコット・フランクの監督デビュー作。その演出・映像共にハードボイルドの頂点を極めた素晴らしいものとしてお勧めしたい。このリーアムのマッド・スカダーに唸らされていたら、もっと凄い傑作があった。アメリカのTVシリーズの「トゥルー・ディテクティブ」。ウディー・ハレルセンとマシュー・マコノヒー、この実力派・個性派2人がタッグを組むハードボイルドもの。ビデオ屋でそのチラシを見た時、これは傑作と言う予感がしたのだが、それを超える様なまさに素晴らしい逸品だった。全4巻でエピソードは8話。舞台はアメリカの暗部とも言える南部ディープサウスのアラバマ州辺り、バイヨーとも言われる湖沼地帯がメインで、この舞台設定からしてスリリング。主演の2人はこの地域警察でタッグを組む刑事。なんだタイトルと違っていま日本でも大うけの、ぼくにとっては余り好みでない刑事ものか...、と思ったらラストの第4巻、エピソード7から、2人は警察を辞めPI(私立探偵)として迷宮入りの事件を追い、傷つきながらも解決すると言う、なんと20年近い歳月が経過するワクワク・ドキドキのハードボイルドな展開。マシューの方は周囲とは相入れない一匹狼。一方ウディはいかにも南部男と言った、いささか粗野だが感情豊かな刑事。南部だけに悪魔教、幼児虐待・殺害などの暗い事件がベースで、NYやロス、サンフランシスコなどの大都市アメリカしか知らない(ぼくもその一人だが)日本人に、全く異なった考え・生き方をする(ここら辺が大統領候補としてトランプが進出するにも大きくものを言っているはずだが)、その南部の暗い保守体質。日系の新進監督の作品らしいが良く描かれており、何より主役の2人が素晴らしい。彼ら2人にショーン・ペンを加えた3人。彼等こそ今のアメリカを象徴する実力派で、アメリカ映画の肝とぼくは信じているが、その2人の揃い踏み。悪いはずがありません。大推薦です。
 こうしたアメリカTVシリーズもの、今までは殆ど見ることはなかったのですが、いささか驚だされました。音楽担当はシンガーとして以上にプロデューサーとして注目を集めている才人、T・ボーン・バーネット。自身が歌う主題歌だけでなく挿入されるバック音楽も実にスリリングでグッドです。この「トゥルー・ディテクティブ」、役者や舞台(ロス)も大きく変えたシーズンⅡがレンタル開始になっています。果たしてどんな内容なのか...。マシューとウディ―のPartⅠほど食指は動きませんが、これも見ないとならないですね。
【今週の番組ゲスト:「ジャズのお勉強」先生は音楽評論家の青木和富さん】

M1「HEEBIE JEEBIES」
M2「SUNG SING SING」
M3「FLYING HOME」
M4「SWING TO BOP」
M5「KOKO」 

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