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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.279~多国籍バンド】

 日本への諸外国からの観光旅行者は飛躍的に増加しており、爆買いで一躍名を馳せた中国人を筆頭に、フィリピン、タイ、台湾など東アジアからの旅行者も実に数多い。またそれに伴い、欧米諸国や中南米諸国などからの旅行者も最近街でひんぱんに見かけるようになっているが、こうした観光客の増加にも関係してか...、日本を拠点にする音楽家~ジャズミュージシャンも増加傾向にある。スティーブ・サックスやアンディー・ウルフ、セザール・ロペスなど、我がジャズ番組にも登場したミュージシャン以外にもその数は相当数いて、彼ら、彼女らは日本のミュージシャンとユニットを組み、従来の「和ジャズ」とは少し異なったテイストを有する「多国籍ジャズ」とも言える独特な新しいジャズを作り出している。

 そんなユニットの一つに、今注目の「nouon」があり、このユニットは4人編成のカルテット。リーダーはビブラフォーン奏者の山田あずさとフェンダーローズを演奏するピアニスト、ケビン・マキュー(米)の男女2人でいわゆる双頭バンド。残りの面々は邦人ドラマーと英国出身のコントラバス・クラリネット奏者、ヒュー・ロイドで、典型的な多国籍ユニット。このユニットの特色と言えば、やはり1.6メートルと言う大きさの超低音クラリネット=コントラバス・クラリネットの存在。この楽器ぼくも今回初めて耳にするもので、日本でこの楽器を扱っている人はほとんどいない筈。リーダーの2人は元々デュオ・チームを組んで活動をしていたのだが、ロイドの吹くコントラバス・クラリネットの音色に魅せられ、新ユニットを組むことにしたのだと言う。

 まさに「多国籍で例を見ない属性の重なりを有する独特なテイスト」のユニットで、未だ誕生して1年程。それが今回デビューアルバムを発表した。ぼく自身はこのバンドの存在全く知らなかったのだが、ジャズからロック迄何でもござれの音楽ライターS君が、非常にユニークで素晴らしい多国籍ユニットがあるから、是非音聴いてみて良かったら番組にゲストとして呼んでみてくれない...、と頼みこんで来た。そこでデビュー作『KUU』を聞いてみると、これが実にユニークで面白いサウンド。特にコントラバス・クラリネットの重低音が良く効き、独自の存在感を放っており、バイブとの相性も抜群。これは面白いと日米のリーダー2人にスタジオに来てもらう事にした。

 ビブラフォーン奏者の山田あずささんはなかなかの美形。で、ユニット名の「nouon」とは「on」にせず、全員が常にフラットな状態を保っていることを意識して名付けたのだと教えてくれる。確かに東にも西にもどこにも属さないユニークなジャズサウンドで、中々に繊細にして大胆でもある。リーダーの一人のケビンは、日本語も達者でサウンドの解説も簡潔。あのECMにも通じる幽玄で深化したサウンド。まだ結成1年余りなのでこれから更に磨きをかけていきたい、とも語ってくれた。ジャズの世紀(20世紀)が終わり、新たな世紀ももう10数年。色々なサウンドが混じり合ったハイブリッドジャズもどんどん進化を遂げつつある。そんな時代の注目すべきサウンドとも言えるこの「nouon」のジャズ音。新たな音地平を切り開くものとして、皆様もご注目あれ。

【今週の番組ゲスト:nouonのリーダー、ビブラフォン奏者の山田あずささんとキーボード奏者のケビン・マキューさん】

M1「Lip Service」
M2「Kuu」
M3「Conditiond Response」
M4「Showcase」

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