「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週日曜19:00~19:30で放送中(再放送は毎週金曜日 18:30~19:00 ※特別番組放送により休止の場合あり)。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。
【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.680~ラグビー・ジャパン昇格】
昔からラグビーと言えば冬のスポーツ...と相場が決まっていたものだが、今は大分様相が変わり、春爛漫の5月がラグビーシーズンの頂点...と言うのだから...、まあ何をか況やである。日本国内最高峰とされるラグビーのリーグワン、長いシーズンの決着を付ける決勝戦が先日国立競技場で行われ、大方の予想を覆しクボタ・スピアーズが初優勝を飾った。一方のパナソニック・ワイルドナイツは坂田・稲垣等ジャパンの代表選手を多数そろえ、外人プレーヤーも優秀でどれも粒ぞろい、その上監督のロビー・ディーンの采配も...と言うことで、強すぎて些か興味も薄れてしまうとも言われていたのだが...。この日は前半からメインのスタンドオフ(SO)とフルバック(FB)が余りにも不出来で、それに引きずられほぼ調子が出ないまま、敗戦となってしまった。クボタは準決勝で人気チームのサントリー・サンゴリアス、人数を一人欠くチームを辛くもかわし決勝に進んだ訳だが、それを発奮材料に奮闘しこの日は最高の出来だった。
ぼく自身もパナの優勝を疑わず準決勝後に原稿を書いてしまい急きょ書き直しした次第だったが、日本ラグビー全体にとってもこのクボタ・スピアーズの優勝は、意味あることと思われる。この試合クボタの選手関連席のすぐ脇で見ていたので、自然にクボタの選手達に感情移入してしまって、その勝利を率直に喜ぶことも出来た。ただぼくのこの試合での最大の関心事、それは早稲田大ラグビー部のキャプテンだったパナの長田智樹選手の活躍。彼が早稲田出身で両軍の唯一スタメンとして登場、敗戦にも拘らず大活躍したこと、これが何よりもぼくの最大の喜びだった。
そんな国内ラグビーリーグだが、このクボタの予想外の優勝をもって22~23年のシーズンは終了。今年はワールドカップイヤーでもあり、この夏の各国代表との前哨戦から秋の本番にかけて、またまたラグビー人気は盛り上がる筈だし、そうで無くてはならない。この決勝戦の入場人数も4万人を超えており、これも予想以上だった。
ラグビー人気の盛り上がりも期待出来そうな折、ある嬉しいニュースが飛び込んで来た。日本がワールドランキングでトップカテゴリーに、ランクインされることに成ったというのである。これまで国際ラグビーは、イギリス諸国、フランス、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、それに比較的新参者のイタリアとアルゼンチンを加えた国々が、ファーストカテゴリーを形成,これらがラグビー界の全てを仕切っていたと言っても過言ではなく、日本はその下のカテゴリー「ティア2」で、大きな国際試合もままならなかった。それが今回日本を加えた「ハイパフォーマンス・ユニオン」と言う括りになり、日本はトップカテゴリーに成ったのである。
思えばぼくがラグビーを見出した大学生の始め頃(高校の時は冬の間はラグビー漬けだったが...)、当時オックスフォード大とケンブリッジ大の合同チームが来日、今では考えられないが彼らが日本代表と試合をし、彼らにコテンパンにやられた...(なんとその国際試合の笛を吹いたのが、ぼくの高校の体育の先生で、その後東京教育大(=筑波大)の教授になった)、そんな国際試合なども幾つか見ているだけに、いま世界のトップカテゴリーにランクインされるようになったニュースはある意味驚異でもあり、あのワールドカップで南アを破った(ジャイアントキリング)奇跡にも相当するビッグニュースだとも言える。まあそんな実績を作ったのがリーグワンであり、そこに参加した各国のスーパースター達が異口同音に、日本ラグビーの素晴らしさを称えてくれたことも、その大きな要因になっている筈である。その決定に伴いニュージーランド協会などは、オールブラックスとジャパンの試合も積極的に行いたい...等とも話しており、かつての剣牛合同軍とジャパンの対戦などは宇宙の彼方の出来事のようにすら思える。凄いぞジャパンラグビー...である。
決勝戦は別としてリーグワンの試合は全体に観客動員数の少なさが指摘され、その要因の一つに寒い冬に試合が在るため...、などと言う意見も多く見られるが、こうなれば冬ではない春をシーズン本番に変えても構わない...というか、変えるべき...等という意見も、これから増えるかも知れない。ただ残念なことはジャパンラグビーレフリーの質の問題。TMOというテレビ判定が余りにも多すぎて試合の興味をそぐのである。それも試合を決定づける大ラスで10分近くの審判協議など、「ティア1」のニュージーランドやイギリス諸国などの国際試合では考えられないことだろう。大きな試合だけに慎重になるのは分かるが、余りにも権威が無さすぎ。かつてはレフリーの采配は絶対で一切文句を付けられない...などとも言われ、これもどうかとは思うが、それにしてもレフリーがもっと自信を持つべき...と苦言を一つ。まあ色々何やかんやあっても、やはりrugbyは本当に素晴らしいスポーツ。やるのも見るのもですが...。
【今週の番組ゲスト:『鎌倉JAZZ物語』著者 筒井之隆さん(ジャズ喫茶ちぐさ 理事・Jazz Museum CHIGUSA 館長) ジャズ評論家の小針俊郎さん】
M1「Moonlight Serenade / The Glenn Miller Orchestra」
M2「On The Sunny Side Of The Street / Louis Armstrong」
M3「You Make Me Feel So Young / 松谷 穣」
M4「This Is All I Ask / Frank Sinatra」