4月16日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [テイスト・オブ・ジャズ]
2016/04/15(金) 19:00 番組スタッフ
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.301~ピアノ・フラメンコ】
 
 前回のこのコラム「祝300回記念」でも書いたのだが、最近困っているのが増えすぎて部屋を占拠し続けているCD&LPの山。GW前には追分の山荘に行くので、またかなりの数を山荘に運ばないといけないと思い、CD選別作業を続けているのだがこれが遅々として捗らない。愛着あるもの、一度も聞いていないものなど、さまざま。となると運ぶ前に一度は耳に通さないと...などと殊勝な気持ちが起き、時間だけが経ってしまう。しかし反面楽しみもあって、長い間見つからなかった愛着盤が山の中から見つかる...などと言う幸運なこともしばしば。先日そんなことで久しぶりにご対面したアルバムがあった。

 
『ピアノ・フラメンコ』。元々ある中古屋でLP盤を見つけこれは面白そうだと買い求めたらこれが大正解。しかしそのアルバムもどちらかに行き先不明。残念と思って探していたら高田馬場の中古屋に高値だったが偶然あって即買い。そのCDもまた膨大なCD山の中に埋もれて不明。もう仕方無いとあきらめていたら、今回の整理でそれが発見出来たのだった。
 『ピアノ・フラメンコ』読んで字の如くの内容で、主役はホセ・ロメロと言うスペインのセビーリャ在住のピアニストで、おそらくロマ=ジプシーのピアニストで、70年代終わりの録音。彼は当時50代半ばなので、もし健在ならば今は90代、おそらく現役ではないだろう。このアルバム、ロメロのピアノがまさにあのフラメンコの熱気を再現しており、本当に鋭く突き刺さって来る素晴らしいものだが、それ以上に彼はこの分野~ピアノ・フラメンコの権威であり、当時ピアノでフラメンコをやろうと試みた人は彼以外にはもう一人くらいしかいなかったのだと聞く。と言うのもフラメンコは踊りと歌にフラメンコギター、この3者で成り立つもので、ピアノでフラメンコなどとは誰も考えなかったのだ。80年代に入ってからはスペインを代表するジャズピアニスト、チャノ・ドミンゲスが登場、ピアノでフラメンコを奏するジャズ・フラメンコと言うヌエーボ・フラメンコの世界を確立、今や多くの若手達もピアノでフラメンコをやる様になっているが、伝統的なフラメンコとクラシック・ピアノの技法を結び付けたのは、ホセ・ロメロが最初で現在も余りやられていない筈である。

 
埋もれていたこのアルバム、久しぶりに聴いても感激新たでその躍動感は半端ない。せっかくならとチャノのアルバムも探し出して聴いてみると、これはジャズと言うよりもラテン・ジャズとフラメンコの融合で、こちらもまた素晴らしい。チャノのアルバムでは彼がビル・エバンスのナンバーを取り上げたものも良かったが、スペイン侮りがたしである。

 ホセ・ロメロはジャズではなくフラメンコそのもの。チャノはフラメンコ・ジャズ。この他スペインには今は亡きテテ・モントリューと言う、盲目のカタロニアン(カタロニア人)ピアニストがいてぼくも大好きなひとり。若い頃にはスペインにも是非行ってみたいと思っていたが、最近はその意欲も減退。チャノやテテ、そしてこのホセ・ロメロなどを聴いてはるか彼方の情熱の地を思い浮かべるしかない様である。いささか寂しい。
【今週の番組ゲスト:トラディショナルジャズ演奏家のご夫妻、クラリネット奏者の後藤雅広さんとピアニストの後藤千香さん
M1「All I Do Is Dream Of You」
M2「Someday Sweetheart」
M3「Amazing Grace」
M4「It Came Upon Midnight Clear」
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