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テイスト・オブ・ジャズ

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テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.388~NYの売れっ子 中村恭士】

 本当は今回のコラム先週載せるべきだったものなのだが、種々の事情もあり今週掲載となった。今回の主役はベーシストの中村恭士。NY在住で今や当地でも有数の売れっ子、いわゆるファーストコールベーシストである。
その彼の本放送は先週(今も再放送分は流れている)、それが今回掲載になったのは彼の放送日が先週か今週か、放送前日まで決まらなかった為なのである。
 ちょうど今、彼は何回目かの全国凱旋ツアーを実施、短くも慌ただしいツアーが終わるとまたすぐにNYに戻ってギグが待っていると言う。その彼の録音を実施したのは帰国当日の金曜日(本放送の前日)の昼間。彼は大きなスーツケースを引っ張ってスタジオに恐縮そうに登場したのだが、もし何かのトラブルがあればオンエアーに穴が開いて、またまた始末書という訳。その上彼としてはツアーの予定も是非入れこんで欲しいとのことで、こちらもそれに最大限協力を...と言うことで、ぎりぎりまでスケジュールを決められなかったと言う次第なのだが、スタジオに来た彼によると全国ツアーのほとんどのチケットは、もうソールドアウトになってしまったとのことで、その人気の程も分かろうと言うもの。

 
まあそんな彼だが最初にも書いたように、ギグ(仕事)は引く手あまたで、ジャズだけでなくロックやブルースのプレーヤー等との仕事も多いようである。彼は名門バークリー音楽院とジュリアード音楽大学の双方を卒業したと言う音楽界のエリートでもあるのだが、寺久保エリナや北川潔などと言ったアメリカ留学組で、現在も現地に残って活躍している面々とはいささか事情が違う。と言うのも彼は小学校の低学年頃から父親の仕事の関係で渡米(最初はアラスカにいたと言う)、小学校から高校までシアトル地域でほぼアメリカ人同様な生活。しかし日本語も普通にできるのはある意味凄いこと。ある渡米ミュージシャンなどは7&8年のNY生活だけなのに、もう日本語がおぼつかない状態だったが(Hと言う有名プレーヤーで、NYで話した時はびっくりさせられた)、実際子供時代に日本を離れるとそうした状況になってしまう場合もしばしば。それだけに中村君は素晴らしいと思ったものなのだ。

 力強いサポートで演奏の底部を支え、若さに似ず堅実さも誇る実力派の彼は、レジェンドとも呼ばれるジャズ大物からコンテンポラリープレーヤー、そしてロックやポップス迄様々なレコーディングやライブに呼ばれるため、相当に忙しいとこぼしていた。リーダーアルバムはこれまでに2枚発表しており、それは彼がNYでも一緒にやることの多い、ローレンス・フィッシュバーン(p)、クラレンス・ペン(ds)といった俊才とのトリオによるもの。2枚目の『ホームタウン』はこの夏に出されており、今の拠点であるNY生活をスケッチした彼のオリジナル中心で、ジャッケットもNYの街の様子をコンパクトに写した、小洒落なセンスの素敵なイラストもの。5曲目の「FRB」は「フォー・レイ・ブラウン」と言うことで、彼が最も好きで何回もそのプレーに接していた亡き巨匠レイ・ブラウンに捧げられている。ソロでもサポートでもブラウンの様な力強いベースプレーをやり続けたいと彼は語っていたが、これからの研鑽によっては、ブラウンにも並ぶような大きな存在になれる可能性も充分あるに違いない。実に素直で少しの驕りも無い素敵な人物だけに、その未来は期待大だと言えそうである。

【今週の番組ゲスト:ツインミュージック代表の生明恒一郎さん】
NOGUCHI AKANE PianoTrio meets ERIC MARIENTHAL LIVE at AKASAKA Bb,TOKYO』から3曲お届けします。
M1「雨のち晴れ」
M2「La Fiesta
M3「Mercy, Mercy, Mercy


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