「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週日曜19:00~19:30で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。
【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.706~平尾誠二、友情~】
ラグビーW杯も終了してしまい、今はもっぱら我が早稲田ラグビー部の荒ぶる(全国優勝)を乞い願う、一喜一憂の大学ラグビーシーズン。更にもう少しで日本ラグビーの最高リーグ=リーグワンも始まるが、そこにはW杯で活躍した大物達、オールブラックスの主将サム・ケインやリッチー・モウンガ等々、優勝のスプリングボックス(南アフリカ)からは俊足ウイングのコルビ等々、もう本当に驚くべきスター達がこのリーグワンの各チームに分かれて登場する。正に興奮・興奮と言った趣きなのだが、実際の試合が始まると最初は確かに興奮しても、やはり日本側の国際的スターの乏しさにいささかがっくり来てしまう...、と言った展開になりそうな悪い予感も無きにしも非ずだ。
まあしかしラグビーこそは、ぼくの中で最高の興奮競技であることは間違いない。そんなラグビー関連で最近話題になった...と言えば、ノーベル賞を受賞した京大教授の山中伸弥と、日本ラグビー界のレジェンド~同志社大から神戸製鋼の最盛期を盛り上げた天才SO(スタンドオフ)故平尾誠二との友情物語をTVドラマ化した「友情」が放映されたことだろう。この2人の友情物語は、ラグビーファンだけでなく多くの人の知る処だが、トップ同士の代えがたい友情...そして悲しい結末と...ドラマになる要素は多く、実際このTVドラマ出来栄えは今いちとは思うがウルウルとしてしまう所も多々だった。
このドラマでラグビーファンが驚いたのは、平尾役のモッくんこと本木雅弘が、実に亡くなった平尾自身にそっくりだったこと。これは彼の家人もドラマ収録中に語っていたらしく、実際良く似ておりPR写真などはまさに本物そのままだった。ぼく自身は残念なことに故平尾氏とは全く面識はない。神鋼のラグビー部は何回か取材したこともあるし、あの神戸大地震の直後には神鋼の神戸グランド、液状化したグランドで選手インタビューもしたのだが、その場には彼の姿は無かった。
現役の頃の平尾誠二は本当にスタイリスティックで格好良く、そのプレーは閃き豊かな天才的なものだった。ぼくは神鋼贔屓だったから、彼のプレーは良く秩父宮ラグビー場で見たのだが「ミスター・ラグビー」の称号も伊達では無い...と言った趣きだった。だがしかし現役引退してからの彼については、いささかの疑問もある。一つはジャパンラグビーを代表する存在として、世界的に華開く以前のジャパンの監督に就任し、W杯に出場も惨敗を喫する。負けること自体は仕方ないが、当時参加した選手からは監督以下のスタッフがゴルフ用具持参で南アの大会に参加、実際試合の合間には南アのゴルフ場でゴルフを愉しんでいた...との記事(?)を目にし、これではと思ったものだった。平尾誠二と言うスターは、その外見のスタイリッシュさそのものが何かアピールするのであって、そのラグビーに向かう姿勢は何とも...と言った感じもして、平尾誠二と言う世間の認識にはかなり疑問符を持たざるを得なかったのも事実だった。だが今回のTVドラマ~ラグビーものと言うよりもがんとの闘病記と言った側面も強いこのドラマを見て、やはり平尾誠二はある意味ミスターラグビーの名称に相応しいのだろうな...とも思い直したものだった。
その生の最後の1年、天才平尾が何を思ったか...。それは本人以外に知る由もないだろう。残念なことには関西ラグビー界の雄で、一世を風靡した同志社大ラグビーが今年は最下位確定、入れ替え戦に回る厳しい状況...。これをどう立て直すのか...、平尾氏がいればとも思うが...
【今週の番組ゲスト:アルトサックスプレイヤーの
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