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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週日曜18:30-19:00(本放送)ほか、木曜22:30~23:00で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.508~「J」閉店等々】

 新型コロナ渦と言うよりもコロナパンデミックと言う方が妥当なこの災い、いよいよ本格的に我が国を襲いこの分では患者数や死者の数まで飛躍的に増加しそうな感も強い。このコロナパンデミックでは今や外出自制から禁止へと進みつつあり、そうなると飲食業、旅行業などへの影響大だが、同じように決定的なダメージを受けているのが、イベントやスポーツ、音楽業界で、とくに音楽の分野は、大々的なコンサートから小規模なライブハウス迄軒並み休業状態に陥っている。それはポップスやロック、クラシックなどに比べ、規模はあまり大きくないジャズ業界でも同様で、時々会ったりメールのやり取りをしているミュージシャン達は、一様に愚痴にならない嘆きを語っている(次々にギグ=ライブ仕事が休止になっている)し、フェイスブック上でもライブ休止のお知らせが多い。まさに死活問題なのだがそれに対する補償なども殆ど考慮されておらず、まさに踏んだり蹴ったり状態。


 そんな中友人から一本の電話が入った。「聞いたか、新宿の「J」が店を閉めるんだってよ」
「エーその話、本当か...」と返す言葉もないぼく。そう言えば1か月ほど前にクラブ(早大ジャズ研)の先輩の通夜の席で、同期のマスター、バードマン幸田こと幸田稔君と立ち話をしたばかり、その時には元気そうでもあったのだ。しかしその友人の話では、彼も大分調子が悪そうで店にも顔を出していないらしいとのこと。そうでなくてもこのご時世色々と厳しいことこの上ないのだろうが、その上に彼自身が体調を崩しているとなれば...。まあそのTELを切ってから間もなく、何時もの様に「J」の4月スケジュール表が送られて来た(ぼくは同点の名誉会員と言うことになっている)が、そこには閉店などはおくびにもない感じでミュージシャンのスケジュールが掲載されていた。
 だが少しの変化もあり、いつもだと添え書きで彼の推薦するミュージシャンなどが書かれている筈なのだが、それも一切なし。閉店本当かな...等とも思っていたが、その後フェイスブック上でもはっきりと「閉店のお知らせ」が載っており、かれ自身も閉店を決めたのはつい最近のことだと知れる。

 店は今年でなんと41年目、新宿でも屈指の老舗ジャズライブハウスと言うことで、一昨年の40周年には「J」のジャズ本迄も出版され、早稲田大のお隣のホテルで大々的なパーティーも開催。そのパーティーの模様をメインに、タモリや鈴木良雄などのインタビューも織り込み、1時間のジャズ特番を作り、「J」40周年をお祝いしたものだったが...。


 ところで「J」及びマスターの幸田君には本当に番組でもお世話になった。店の開店時や各周年では彼に登場してもらい、色々なエピソードやサックス実演など迄してもらった(アルトサックスの名手)。35年ほど前には1年間ほど、2月に一回「ライブフロムJ」と言う時間を設け、店から録音中継をしたこともあった。このライブ収録は当時の局のミキサーたちにも好評で是非やりたいと言う人間も多かった。またお店は早稲田ジャズ研のOB会の重要な集合場所で情報交換場所もある、ある意味心の故郷でもあった。

 東京の商業高校から一念発起して早稲田大最難関の政経学部に合格、早大ジャズ研の花形として活躍、以降10年ほど実直なサラリーマン生活を送り、また突然脱サラで「J」の店主へ...。実に真面目で色々と気の付く良い男、苦労が絶えなかったことだろうがここらで一休みしてほしいもの。ぼくら仲間はまた全員で、お別れパーティーを「J」でやろうと思っている。新宿の銘店の灯がまた一つ消えてしまう。実に寂しいし悲しいことだが、幸田君これからの人生、またよろしくね。

【今週の番組ゲスト:トランぺッター類家心平さん】
類家さんがリーダーを務めるクインテット「RS5pbRuike Shinpei 5 piece band)」の3枚目のアルバム『RS5pb』から
M1Civet
M2Dada
M3Zero Zero
M4IO


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