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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜22:30~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.403~花めぐる季節】

 確か昨年もこの時期にこのコラムで書いたと思うが、我が町国立が1年で最も光り輝く時、それが花見客で大混雑の大学通りの桜並木の開花から満開のときである。梶井基次郎の名作「桜の木の下にて...」ではないが、この時期国立及びその周辺に住む住民にとっては、何か国立駅から一橋大学近辺に出かけて桜見物をしないと...と言う気にさせられてしまうのだ。心が沸き立つと言うよりも何か散歩を誘導される...落ち着かない気持ちにさせられてしまう。所用や野暮用などで桜並木に足を運ばないと、何か大変な忘れ物をした感じに陥ってしまい、落ち着かないことこの上ない。ただ国立駅のホームに上がれば大学通りは一望でどうやら桜の木々も見れるのと言うのが唯一の救いと言った感じだ。
 
このソメイヨシノが中心の桜並木、桜の木が人工受精で誕生したクローン桜と言うことで其の寿命はあまり長くないとも聞く。確かに季節外れの桜を見るとどれも大分年輪を重ね、ぼくと同じ様にロートル風情が多く中には枯れてしまっているものも散見出来る。こうした国立桜を守り、その寿命を伸ばす桜守と言う仕事もあるらしく、ぼくの大学時代のクラブ仲間もその仕事をボランティアでやっている。彼は国立稲門会(早稲田大卒業生の地域OB会)の会長と言う要職にあり結構忙しくしているのだが、こうした縁の下の力持ち的な仕事もやっていて関心させられる。時々国立の街に買い物などに出ると、彼とその仲間達が桜並木の雑草取りを行っており、呼び止められて手伝いもするのだが、こんなことではよくない、積極的に関わるべきと反省しきり。

 さてこんな桜だがジャズの世界では当然あまりお耳に掛らない。あったとしてもあの「さくら、さくら...」で始まる有名な古歌位で、これは女性の歌うベーシスト=ニッキ・パロットなど数名が取り上げているが、どうも趣味の良くないオリエントカラーが付加されたりしており、気持ち良いものでない。日本のプレーヤーもあまり取り上げていないのも気になる所。ことクリスマス関連ではわんさかコンピレーションアルバムが登場すると言うのに、これはどうしたことだろうか...。桜関連では森山直太朗など多くのジャパニーズポップスも生まれており、いずれも大ヒットを記録している。となれば、だれか有力な邦人ピアニストでも起用して、「さくら名曲ジャズコンピレーション」でも作れば、それなりに話題にもなるし売れるのではとも思うが...。このアイデア、レコード会社のジャズ担当の方どなたかやってみません。と言ってもこの冴えないレコード不況の時代、手を挙げる奇特な人は当然考えられない...。


 この桜唄のジャズバージョンが少ないと言え、こと「春」に関しては数多くのスタンダードがあり、どれも名曲と呼ぶに相応しいもの。一つ例を挙げれば「スプリング・イズ・ヒア」がある。直訳すれば「春はここに」あるいは「春が来た」などと言った感じで、如何にも春らしい温かみあるナンバーとなり、演奏ではやはり巨匠ビル・エバンスのトリオバージョンだし、歌ものでは大御所、ロージーことローズマリー・クルーニー、クリス・コナーなどの名唱がすぐに思い出される。だが実際はこの歌失恋歌で邦タイトルは「春なのに...」。歌詞も「春なのに気持ちは冴えない。夢も希望も無い...」等と続く結構陰気なもの。まあ桜見物などと浮かれているだけでは済まない人も多いことだろう。

 さて明日からの4月は新人に注目が集まる時期。新入生・社員等々、番組ではこの4月最初は様々なジャズ関係者に登場頂き、「ジャズお愉しみ入門」を毎年ご教示頂くのが恒例になっている。今回はぼくもライター陣の一人に加わっているジャズ雑誌「ジャズ・ジャパン」の編集部員、佐藤俊太郎氏に御登場頂く。どうやら彼は欧州好きとあってパリに関したジャズと言った切り口で、ジャズの愉しみ方を教示してくれるはず。皆様もご期待を!


【今週の番組ゲスト:外山善雄とディキシー・セインツの日本ルイ・アームストロング協会会長でトランペッターの外山善雄さん、ピアノ・バンジョー奏者の外山恵子さんご夫妻】
M1Hello, Dolly!
M2
Nobody Knows the Trouble I've Seen(誰も知らない私の悩み)」
M3
The World Is Waiting for the Sunrise(世界は日の出を待っている)」
M4
What A Wonderful World(この素晴らしき世界)」

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