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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は2020年1月より毎週日曜18:30-19:00(本放送)ほか、木曜22:30~23:00で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.500~ビルボードジャズチャートをめぐって】

 「ビルボード」と言えば世界最大の音楽業界誌で、ここのヒットチャートはポップス音楽好きならば、物心ついた頃から一番気になるものの一つの筈。その上ゴージャスなライブハウスまでも世界中で運営など、今や一大音楽コンチェルンに成長している。そんなビルボード誌では毎年年末、ロック、R&Bなど各分野での年間チャートが発表される。ぼく自身はもうかなり長い間、ビルボード本誌などを見ることも無くなってしまった(ジャズなどはほとんど無視されているのもある為だが...)が、ここのジャズチャートはいささか気になる所ではある。そのジャズチャートだが昨年度のチャート結果について、ジャズライターの杉田宏樹氏がジャズブログ「PJ(ポートレートインジャズ)」で取り上げていたので、ここで一寸紹介してみようと思う。


  まずその結果だが、第1位は歌手のマイク・ブーブレ、2位は御大トニー・ベネット&ダイアン・クラールの黄金デュオ、3位はヴァン・モリソンと言う順番で、3つともボーカルもの。ぼくの大好きなSSWにしてブルースロック系シンガー、モリソンが3位に入っているのは大変に嬉しいことだが、彼は一時ジャズに接近したアルバムを発表してはいたが、今回のアルバムは完全にモダンブルースで決してジャズでは無い。ことほど左様にビルボードのジャズチャートは歌もの中心だし、所謂ジャズの世界とは異なっており、ベスト10作品の中でも所謂インストジャズは、ジョン・コルトレーンの話題になった発掘盤2枚ぐらい。そしてこれは杉田氏も指摘されているが、ジャズとは対極に位置する(とぼくなどには思われる)所謂「カントリーミュージック」、そのシンガー、それも女性のカントリーシンガーのアルバムが2枚もランクインされているのである。悪漢トランプの大統領就任以降、白人メインを標榜する愛国ミュージック(?)のカントリーミュージックが、威勢を得て跋扈している一つの現れと見ることも出来るだろう。
 カントリーとジャズの接近では、このチャートにもランクインされている大物ウイリー・ネルソンが第一人者で、彼はもう30年近くスタンダードソングを歌い続け、『スターダスト』をはじめ数多のスタンダードソング・アルバムで人気を博している、いまやスタンダードシンガ―でもある。今回チャートにランクインされている女性シンガーは、トリー・シャイヤウッドとマルティナ・マクブライドの2人で、ウイリーに影響されたことは間違いないのだが、トリーの方はその存在ぐらいは知っていたが、もう一人のマルティナは全く未知の存在。ぼくの勉強不足をいたく恥じ入ったが、杉田氏によればこの2人のアルバムは、いずれもがフランク・シナトラの十八番をうたったものらしい。ジャズは元気なくてもジャズスタンダード(小唄)は、やはりアメリカ人の心の故郷なのだろう。もし今シナトラが生きていたら、マフィアとの繋がりも深い右翼チックな彼のこと、真っ先にトランプの元に駆け付け、トランプ賛歌でも歌ったに違いないだろうし、それは日本の安倍とその周辺に陣取る、数多の歌手達との桜パーティ―の構図にも良く似ているが、世界は広い様で狭いものでもある。まあ音楽の世界でそう目くじら立てても詮無いこと。今日は久々に御大シナトラの名唱「夜のストレンジャー」でも愉しむことにしましょうか...。まあシナトラの言動は別として、彼の歌は流石に良いものですね。

【今週の番組ゲスト:ジャズドラマー 神保彰さん】
M1Amber Sky
M2Joker
M3Red Dress
M4Outer Limit






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