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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日19:30-20:00(再放送毎週日曜日20:00-20:30)好評放送中です。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.35~グラミー賞~】

 今年のグラミー賞は日本人大健闘だった。今までにこんなに日本のミュージシャンが、この賞に絡んだことは無かったはずで、何かと良い話題の無い日本の音楽界だけにおめでたい限りである。

 ロンドン在住のクラシックの名手、内田光子がクラシックの賞を取り、ポップスとジャズの部門では、B'zのギタリストが、あのラリー・カールトンとの共演作で最優秀インストル賞を、そしてベーシスト、スタンリー・クラークが最優秀ジャズ賞を獲得、このアルバムの主要メンバーが我らが上原ひろみで、彼女の力がこの受賞には大きく貢献しているのである。万才!ひろみ、と大歓声を上げたいところだが、この奔放な元気娘(いやもう人妻なのだが)本当に凄い。

 どんなシチュエーションでも常に最高の力を、軽々と発揮してしまう。新聞のインタビューで、“スタンリーの色に染まるように努力したんだ”といったことを語っていたが、そんなことは無いと思う。かなり自由に自身のやりたいことをやり、それがスタンリー・クラークの意図にぴったりとはまったのである。

 その彼女が時期を計ったように、新作を発表する(「VOICE」)。トリオ作だがジャズにとどまらない、弾き捲くりのアルバムのようで、ドラムはロック畑の人。既存のジャズといった狭い枠を軽々と乗り越えて行く彼女。一見無軌道のようにも見えるのだが、ジャズとはそういった越境音楽で、そこにこそ良さがあるのにその良さが忘れられる傾向にあったのだ。それを思い起こさせてくれる彼女こそ、21世紀に相応しい真のジャズ・ピアニストと言えそうだ。


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