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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日22:00-22:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.195~信州追分冬景色~】

 今年は異様なほど降雪量が多い。山梨県では観測史上最高の積雪量で、富士川支流の早川の奥にある村落や甲府市の山間部でも孤立集落が続出したらしく、これは長野県も例外では無く雪の量は多いとのこと。山荘の周りもかなりな雪の量と聞き、心配になって3月初め様子を見に3日ほど行ってきた。ただし以前とは違って、昨年から水抜きなど冬の対策は近くの建設会社に任せているので、春まで水は一切使えず生活は出来ない。しょうがないので近くの小諸市にある安い温泉旅館に泊まり、山荘まで通いといった始末。めんどくさいことこの上ないが致し方ない。

 高速を碓氷・軽井沢インターで降りると、周りの山にも余り雪は無い。この分なら心配無い等と考えていたらこれが大間違い。軽井沢に入ると主要道路は雪かきがしてあるが、道路わきにはかなりな量の雪が積み上げられており、山荘前の道路も一応は大丈夫だったが、庭は60センチ程の雪がびっしりで、車も着けられない。屋根の雪が落ちた雪溜まりは、1メートルを超しうかつに歩けない程。近くの人に聞くと2月の豪雪時には国道が全く使えず車の長い列。トラックの運転手さんの中には3日ほど車に閉じ込められた人もいたと言う。軽井沢~追分地区はそんなに降雪量の無い所だけに一面雪景色には驚かされた。玄関までどうにか辿り着いて鍵を開けると、屋内は何も問題なし。アンプをつけCDトレイにMJQのアルバムを入れる。バッハとブルースを交互に入れた,このユニットならではのアルバム。ジョン・ルイスのピアノと、ミルト・ジャクソンのヴァイブとのマッチングが素晴らしい。そう言えばこのカルテットのメンバーは全員がもうこの世にはいない。

 ぼくをジャズと言う蠱惑の世界に引きずり込んだこの優雅なアンサンブルの実際の演奏を、もう2度と耳にすることが出来ないのだ。そう考えると少し感傷的な気分になってしまう。これもまた一面の雪景色がさせる感傷なのか...。透き通るような晴天なので硝子戸をあけ放つと、木々の梢にいる鳥の鳴き声が飛び込んできて、MJQの演奏するバッハのフーガに呼応する。追分ならではの音景色である。よく追分~軽井沢は冬がベストだと言われるが、それもむべなるかなと言った心地良さ。ただこう雪が残っていると、どんなに無精者でも玄関までの雪かきくらいはしないとならない。これが一功労。近くには誰もいないので大音量でMJQをかけ続け、雪かきに励んだ。1時間半ほどでどうにか道を付けることが出来たが、もうオールド・ボーイだけに疲労困憊。ご贔屓の小諸市の布引観音温泉のゆっくりとつかり、なれない労働の疲れを癒した。それにしてもこの庭の雪、4月には全て溶けてくれるのだろうか。いささか心配でもあるのだが...。

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