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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜22:30~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.416~ジャズ2018前半】

 早いもので2018年ももう前半が終わってしまった。番組では毎月最終週の放送はジャズ評論家の青木和富氏に登場頂き、彼が自身好きなテーマでジャズ話をする「カズトミズ・トーク」にしており、年末には今年の話題盤と言うことで彼の考えるベストアルバムを紹介してもらっているが、もう少し小まめに話題盤の紹介があってもいいのでは...とあるリスナーからの指摘があった。確かにその通りと言うことで、今月が丁度年度半ばと言うこともあり、18年上半期のお気に入りアルバムを幾つか...と言うことで、彼にお願いすることにした。 

 彼が持参したのは全部で5枚。山中千尋やジュシア・レッドマンなど別項にあるラインアップで、ぼくが頷ける所もあったしそれは一寸と...些か異なった見解の所も当然あった。ただ2人で意見が一致したのは、今こう言うベストアルバム選考的な企画、ラジオで結構難しくなっているのでは...と言う点だった。と言うのもかつてのようにテスト盤と言うものをレコード会社(この場合はジャズアルバムの独占状態にある、最大手のU社と言うことになるのだが...)余り作らないようになっており、話題の作品も音声データで送られてきてそのデータも10日余りで消去されてしまうのだから、ラジオでオンエアーされるのも難しい。CDと言う形になっていないと聞き逃してしまうものも結構出てきてしまう。それだけに青木氏にこの企画を提案した時、彼も受けるのをいささか躊躇したのだが、それも良く分かると言うもの。まあ難しい時代になったものである。

 さて今回彼が取り上げてくれたアルバムで、ぼくが初めて耳にしたのはドラマー本田珠也のドラムトリオアルバムだったが、これがなかなかの優れもの。ハードロックジャズなどかなり尖がった活動をメインにしている彼だが、ピアノの佐藤浩一の叙情性を生かしたトリオ作に彼の新たな一面を探れたのは、中々に嬉しいことだった。今は亡き名ピアニスト本田竹広の息子である彼を、ぼくは3才のころから知っており、その話題を彼に振ると照れ臭そうにするのだが、もう40台に入りJ-ジャズを牽引する力強いドラマーに成長したこと喜びでもあるし、亡き本田も喜んでいる筈に違いない。
 
今年上半期のお気に入りに関して、ラテンジャズ系作品が好きなぼくとしては、18年前半で最も関心があったのは、青木氏も取り上げていたジャズプロデューサーのキップ・ハンラハンの復活作品である。ニューヨークラテンをメインに据え、ジャンルを横断するような自在な活躍を見せる彼もアルバム作りの資金に事欠き、ここ10年余りは活動を控えていたが、「クラウドファンディング」と言う新手の資金募集方を最大限活用し久しぶりの新作発表にこぎつけたが、その内容も期待通りの弾む出来栄えで、キップ健在なりを満天下に示した格好で、拍手を送りたくなる。
 
ぼく自身の上半期ベスト作はラテンジャズ畑での活躍が多いドラマー、ダフニス・プリエトのフルバンド作品。今はやはりフルバンドと言うよりも、このアルバムの様なラージアンサンブルが幅を利かす時代。その上このアルバムには、ヘンリー・スレッギル、スティーブ・コールマンと言う尖がった面白さを身上とする2人のサックス奏者がゲスト参加。彼らとフルバンドの鬩ぎ合いもこのアルバムの聴きどころになっている。ジャズはやはり興味尽きない音楽ですね!

【今週の番組ゲスト:音楽評論家の青木和富さん】

今週はジャズトーク。青木先生に 2018年上半期、印象に残った作品を紹介していただきました。
M1New Year  / Joshua Redman
M2And Now The Queen / 本田珠也・イクタス・トリオ」
M3「マンボ  / 山中千尋」
M4Not Alone  /   Kip Hanrahan
M5Contra La Indecision  / Bobo Stenson

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