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テイスト・オブ・ジャズ

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テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.619~ぼく自身のジャズ入門~】

 4月はこのコラムでも予告した通り、様々な形でジャズ入門編を進めていくつもりだが、ジャズが決して小難しい音楽では無く、かなり愉しいものであること...を少しでも理解してもらえれば我々の喜びでもある。まあ何回かのシリーズでお送りする訳だが、手前味噌ながら結構それぞれに特色ある企画になっていると思う。特に日本を代表する絵本作家、五味太郎さんの登場は、ぼく自身も大変に愉しみな所。スタンダードソングを五味さん流に心地良く愉し気なイラストに仕上げている絵本を、リスナーの方達に見せられないのは残念なことだが、五味さんの語りの魅力で補ってくれるはずである。

 この絵本「ジャズ・ソング・ブック」には、30近いスタンダードソングが歌詞付きで載せられているのだが、そのうちの1曲が実はぼくをジャズの世界へと誘ってくれた、記念すべき曲なのである。「ソフトリー・アズ・イン・ア・モーニング・サンライズ」。邦題は「朝日のように爽やかに」。オスカー・ハマースタイン2世(詞)&シグモント・ロンバーク(曲)の名コンビが作ったスタンダードソングである。ハマースタイン2世の詞は、「恋ってやつは、陽気に優し気にやって来て...(中略)昇る太陽と共に燃え上がり、熱い口付で誓い合い、でも結局は裏切られる...」と恋の行方が語られるラブソング。だがこれもやはり失恋ソングの一種である。スタンダードにはこの手の失恋ソングも多いのだが、このメロディーを高校生の頃聞き大変に気に入ってしまい、最初に聞いたのはミュージカル風なボーカルものだったが、もっと他のバージョンは無いものかと...あちこち探した所、出会ったのがMJQと言う、ややヘンテコで少しクラシカルな要素も混じったグループのインスト(演奏)ものだった。モダンジャズカルテットのヴァイブラフォーンが入ったこの演奏、最初はなんとも取っ付きにくいものだったが、何回か聞いている内にピアノ(ジョン・ルイス)やヴァイブ奏者(ミルト・ジャクソン)の演奏に心惹かれるようになり、実はその魅力の元がアドリブと言い、これがモダンジャズそのものだと言うことを、知り合いのレコード店の若い店主から教えられ、以降ズブズブとジャズの道に引きずりこまれるようになってしまい、気が付けば今に至っていると次第。五味さんの絵本を眺めながら、懐かしくも当時の事を想い出している、ぼく自身がいるのでした。

 まあそういうこともあり、ぼくの数あるジャズ入門の一枚としては、この「朝日の様に...」を演奏していた、室内楽風ジャズの偉大な存在=MJQの代表曲でもある「ジャンゴ」、この曲を聴くことが出来る、ジャズ史に残る不朽の銘盤『ジャンゴ』(pres)と言うことなります。このアルバム、今聴いても少しも古さを感じさせませんし、バッハの銘品にも通じる気高さもあります。銘盤とは言わくそういうものなのです。ぼく自身の想い出のアルバムですし、これからジャズを...と言う人には、お勧めの最適な1枚と言えるでしょう。

【今週の番組ゲスト:トランペッターでウクレレ奏者の茅野嘉亮さん】
茅野さんの新しいユニット「360 Open Air Jam」の1stアルバム『Vantastic Jam』から
M1「Jumping mallet」
M2「Kanaloa」
M3「Kose」
M4「Chang's garden」
M5「Talk」

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