4月13日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [テイスト・オブ・ジャズ]
2019/04/12(金) 19:00 番組スタッフ
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜23:00~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.457~ショーケン死す】

 
希代のモテ男にしてモメ男でもあったショーケンこと萩原健一があっけなく(?)死んでしまった。それも10万人に1人と言う難病だったとのこと。彼はぼくより5つほど年下だが、その生き様~人生航路は正に「月とすっぽん」か「天国と地獄」程の違いがあったと思う。彼との番組での触れ合い=交錯はわずか2回ほど。その上彼の最初期のキャリアであるGS「テンプターズ」などは殆ど聞いたこともなかったし、代表作と言われる「太陽にほえろ」等も見たことも無かった。まあ言ってみればかなり無縁な人なのだし、好きな無頼派の役者・歌手の一人ながらショーケン自体は余り好きだとも言えない存在だった。ではなぜここで...となるのだが、彼とのわずか2度ほどの触れ合い(直接ではなく彼の廻りの状況=端的に言えば関わりある女性への思い)がかなり強烈だったと言うことに他ならない。良く知られる様に彼は3度の離婚と4度の逮捕、正に希代のモテ男にしてモメ男。ワルぶっていると言うよりもワルそのものだったのである。それだけに並み居る女優たちがタイトロープを悠然と歩き続ける、その一寸可愛げを伴った(ヤンチャとも言える)に強烈に惹かれてしまったのだと思う。

 その触れ合った2回とは、最初が日本歌謡史に燦然と輝く女王~美空ひばりの(確か)正月特番であった。これは先輩の篠田さんと言うディレクター担当のもので、彼は野球ディレクターとして有名な相撲取りにも似た巨漢。立川談志や三遊亭円楽など落語界にも滅法強く(円楽の家での麻雀大会にも良く付き合わされた)、芸能界にも顔が利くと言う短波には特異な存在。そのツテでひばりを呼んで来れたのだろうが、番組では直接のお声掛かりでお前も共同ディレクターをやれと言うことになった。スタジオには2卵性親子などとも揶揄された、有名なステージママのお袋さん、そして彼女おつきの御用ライターなどが揃い、メインのお嬢(美空ひばりの愛称)を囲み中々緊張の布陣。1時間の番組はひばりの一人語りがメインだが、ひばりのお気に入りのゲストを一人招こうと言うことになって、そのゲストこそ美空(本名加藤)親子が大好きだと言うショーケンだったのである。
 スタジオに来た彼は、相手が天下無双のお嬢親子だけにいささか緊張気味だったが、そこは流石に無頼派気取りの輩だけに、適当に奔放さも演出、「役者やのう...」と言った感じで巧く親子を乗せる。番組は先輩の篠田デレクターがメインだけに、ぼくは食事の用意や電話取りなど色々周辺をフォロー、その収録最中何かの用事で廊下に出てみると、何やら壁際に顔を隠した感じで佇んでいる綺麗な女性がいる。どこかで見たことがと思いきや...、なんとこれがお騒がせ女優としても知られた桃井かおり。今や伝説になってしまった銘店「ホワイト」の常連で、店でも良く一緒になったこともあったので彼女に声をかけると、当時誰も知らなかったのだがどうやらショーケンと付き合っており、彼に誘われ収録現場に来たとのことのようだった。だがそこは天下の大スター美空親子の前には顔を出しずらい...、と言うことで収録が終わるまでの間、廊下に一人淋しく佇んでいたと言う次第。あのかおりを一人で待たせるとは...とショーケンと言う男の魅力、傲慢さなどを改めて思い知らされたものだった。かおりもまた日頃のツッパリさも無くおとなしく待っているのだ。「ショーケン流石色男やのう...」と言う感じで、改めて恐れ入った。


 そしてもう一度恐れ入ったのが、世界的なバイオリン奏者にして天下の美形、前橋汀子さんのインタビューでの場面。確か青山の喫茶店で30分位のものだったが、この知的で有名なバイオリン奏者(白系ロシア人の血が混じっているクオーターで、その余りの美貌に文化人のファンも多数だった)が当時付き合っていたのがやはりショーケン。世界的なバイオリン奏者迄...といささか憎い思いもしたのだが、そのインタビューの席には同席はしていなかったが彼の存在は大きく、どうも終了後は2人待ち合わせをしている気配で、心もそぞろと言った感じ。肝心のインタビューもそこそこに迎えに来たショーケンと帰ってしまった(筈)だが、以前の桃井かおりの件もあるだけに、その凄まじい迄のモテ具合、羨ましいを通り越し、ある種何んとも言い難い感慨を抱いたものだった。

 
 現在ピエール瀧、新井浩文などが事件を起こし、猛烈パッシングを受けその出演作、アルバムなどが販売中止を余儀なくされていることを考えれば、つくづくショーケンは幸運な俳優・歌手、そして紛れもなく激動で奔放・闊達だった昭和の漢で、制約だけ強い平成では決して許されず、もし今だったらば彼の存在は、間違いなく世間に抹殺されていたに違いない。げに時代の趨勢とは恐ろしいものだし、ショーケンと言う男は実に恵まれた男だったとも言える。
 
それにしても自らを振り返り「ジェットコースター人生から今はメリーゴーラウンドの生活...」とは良く言ったものである。

【今週の番組ゲスト:ピアニストのジョナサン・カッツさん】
リーダーを務めるでTOKYO BIG BAND 1stアルバム「SAKURA」から
M1Sakura Sakura
M2Hamabe no Uta
M3Aka Tombo
M4Umi









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