3月17日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [テイスト・オブ・ジャズ]
2018/03/16(金) 19:00 番組スタッフ
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.401~「シェイプ・オブ・ウォーター」がアカデミー賞】

 映画界最高の賞の一つ、アカデミー賞発表された。メイクアップ賞を日本人が獲得したことで盛り上がりを見せた今回、賞のトップである作品賞は、前から本命の一つとされていた「シェイプ・オブ・ウォーター」が選ばれ、同時に監督賞も獲得。メキシコ移民のギレルモ・デル・トロ監督は一流の仲間入りを果たすこととなった。彼は「パンズ・ラビリンス」(06年)で注目を集め、この作品はアカデミー賞の何部門かを受賞、その才を高く評価され今回ようやく受賞に至ったと言うことだが、ぼくも久しぶりに試写室でこの作品を見て、アカデミー賞の可能性大と確信したものだった。
 出不精なので普段余り試写会にも顔を出さないのだが、この作品は何か惹かれるものがあり、珍しく試写会に足を運んだのだが、いつもは開始30分ほど前に行けば問題なく入れる試写会場が閉まっておりまったく気配なし。近くにたむろしていた人に聞くと、もう満杯で締め切ってしまったのこと。そうかやはりかなりな人気なんだ...と思いこの日は諦め、後日再度足を運ぶとまたも駄目。今度は宣伝部の人が顔を出し「1時間位前じゃないとまず入れませんよ」とのこと。そうなるとこちらも意地、またまた試写会挑戦。今度は1時間前に入り口に並ぶと既に10数名が並んでいる。その人気の程に驚いたが今度はようやく入場が叶った。映画関係では、試写会で大人気の作品は意外に当たらないと言われることもあるが、この作品は果たして...。

 
映画の内容は、今回アカデミー賞を獲得したことでTV番組などでも紹介されているが、冷戦時代のアメリカが舞台で、孤独で口のきけない初老の女性とアメリカ政府に捕獲された怪物(アマゾンの半魚人風)との恋愛ものと言う、ファンタジー+ミュージカル&ホラームービーと言った、風変わりな趣きの作品。監督がメキシコ移民と言うことでマイノリティーへの温かな視線がこの作品を印象付けており、ヒロイン役のサリー・ホーキンスを助ける仲間も、黒人女性、ゲイの芸術家など皆社会から遠ざけられている人達。
 
デル・トロ監督もこの映画はメキシコ移民の自分だから出来たもの...、と言った趣旨の発言をしているが、今のあの暗愚の帝王トランプをあてこすった感じも読み取れ、現代的な意味合いを持った仲々に深い作品とも言える。画面は全体にある種セピア色に覆われ、独特なノスタルジー感も出ており、ラストの半魚人が海に帰っていくシーンなどは泣ける所大。確かにオスカーに値するいい作品である。

 
ぼくがこの映画に注目したのはそのミュージカル映画の要素。映画のハイライトとも言えるヒロインと半魚人のラブシーン、急にミュージカル映画仕立てに場面転換される部分、これには参いりました。ここにはあのミュージカル映画の傑作「雨に唄えば」など一連のミュージカルを撮った名匠スタンリー・ドーネンの姿が明白に映し出されている。彼自身も「ドネーンの活気に満ちた優雅な作品群は大好きで参考にした」と語っているが、あの良き時代のアメリカが見事に蘇っているのだ。
 
このシーン以外にも時代は60年代初めだけに、バックで流れる音楽もポップ・チューン=スタンダードと言ったあの良き時代の趣きなものも多く、風変わりな恋愛映画であると同時に、ジャズも含んだ意味深い音楽映画と見ることも出来る。試写会があんなに込み合った映画だけに、実際にヒットするかはいささか心配だが是非見て欲しい秀作としてここに推薦します。
【今週の番組ゲスト:「民謡クルセイダーズ」ギタリストの田中克海さんと唄い手のフレディ塚本さん】
M1「串本節」
M2「真室川音頭」
M3「といちん節」
M4「会津磐梯山」

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