2月18日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [テイスト・オブ・ジャズ]
2017/02/17(金) 19:00 番組スタッフ
テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.345~ジャロウ&ベネット】

 先日、ヤフーのトップニュースを見ていたらアル・ジャロウ死亡と言うニュースが、トップ10入りしているではないか...。これにはいささか驚かされてしまった。彼の訃報はぼく達ジャズファンには大変残念なニュースには違いないが一般には...、と思ったのだがこれが大きな間違いだと気付いた。どうもぼくなどは彼を天才的で抜群のテクニックを誇るジャズシンガーと考えがちなのだが、一般にはジャズと言う狭い枠だけでない、もっと広い領域で活躍するシンガーとして捉えられていたのである。その証拠に彼はグラミー賞のジャズ部門だけでなく、ポップスそしてR&B部門でもグラミー賞を獲得、この3部門を制覇した初めてのレジェンドシンガーでもあるのだ。更にグラミーに関して言えば、彼は6回もこの賞の栄冠に預かっていたとのことで、これならばヤフーのトップニュースに登場するのも至極当然と言った感じでもある。

 
享年76才とのことで、一昔前ならばもういい年令と言うことになるのだろうが、日本の標準からは(そしてぼく個人からしても...)いささか早すぎる感は否めない。確か数年前には大病を患い、ステージ活動は難しいのでは...とも言われていたが、昨年見事にカムバックを果たし、東京のブルーノートにも出演していた筈である。ただやはりどこか無理していたのかも知れない。少し前にも記したように、抜群のボーカルテクニックの持ち主で、特にそのスキャット技術は圧巻だった。死亡記事が出ているので関連のユーチューブを覗いてみたら、公式画面に「モーニン」と出ている。あのアートブレーキー&JMの大ヒットチューンのモーニンをアフロアメリカン(黒人)の彼がどう歌いこなしているのか...、なんとも愉しみで直ぐに見てみると、これがあの生きの良いファンキーチューン「モーニン」とは似ても似つかわない、軟弱なフュージョンもので、画面も小鳥が出たりするカトゥーン仕立て。いささかがっくりだったが、ここでもその歌の巧さは目立っていた。ぼくがお勧めの彼のアルバムは、自身の名前がタイトルにしている『ジャロウ』。ジャズシンガーとしての実力がよく出た1枚だと思う。それにしても本場アメリカでは、彼を始めホセ・ジェームス、カート・エリング、マット・ダスク等々、黒白入り乱れ実に多彩な男性シンガー達の活躍が目立つが、J-ジャズではTOKU、小林圭、そして我が後輩でジャズ博士の丸山繁雄(実力No1)など、ほんの僅かしかおらず活躍も女性群に比べ全く目立たないのもいささか残念なこと。

 
ところでジャロウは76才でこの世を去ってしまったが、一方齢90になっても未だ第一線で堂々と活躍しているシンガーもいる。 トニー・ベネット。ショウビズの大看板、フランク・シナトラ亡き後、ジャズボーカルだけでなくエンタテインメント界全体の大立者としてバリバリ健在に歌い続けている彼。その90才を祝うTV番組が昨年暮れ大々的に放映され、同時にそのTVショウをメインにした記念アルバムも,昨年暮れの31日に出された。ここではレディー・ガガ、エルトン・ジョン、ビリー・ジョエル等々、まさに世界のスーパースター達がお祝いに駆け付け、それぞれの持ち歌を記念に披露する、まさに豪華絢爛の夢舞台が繰り広げられている。TVショウそしてアルバムのタイトルは、ベネットの十八番の一つ「ザ・ベスト・イズ・イエット・トゥ・カム」。ラブソングなだけに邦訳は「お愉しみはこれから...」等とされ、君とのお愉しみはこの後だよ、と言ったかなりセクシュアルな意味合いも含んでいる様なのだが、ベネット自身はこの歌に歌手人生を掛け合わせている感もある。即ち自分の唄はまだピーク=ベストを迎えていない...そのため常にそのベストを目指して歌い続けなければ...と言ったシンガーとしての自戒の意味も込められている、と読み解く必要もありそうなのだ。教えられる所も多い。

 
ベネットそして今は亡きジャロウ。どちらも良きアメリカを代表する素晴らしいシンガーである彼らに乾杯そして献杯を...。
【今週の番組ゲスト:ジャズトランペッターの高澤綾さん】
M1「Bubudy-Crescent City Connection-」
M2「St.Louis Blues」
M3「Drizzin」
M4「Herlin Homey Riley」

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