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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜22:30~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.473~ライブ三昧】

 日頃は出不精のぼくだが、このところ2週続けてライブに足を運んだ。一つは「ブルーノート東京」で行われたアフリカナイジェリア関連のコテコテ・アフロビート・ミュージック。もう一つは東京駅そばの「コットンクラブ」で行われた、カリビアンフュージョンジャズとも言えるスティール・パン・ミュージック。どちらもド(純生)ジャズとは大分趣きを異にするものだが、ジャージーなテイスト一杯の愉しめるグッドライブだった。

 
まずアフロミュージックの方は、ナイジェリアが産んだ伝説のカリスマミュージシャン、フェラ・クティの数多くの息子の一人、ショーン・クティの率いる「エジプト80」のライブで、ショーンはサックスとキーボード、そしてメインボーカルを担当、都市感覚と土俗的香りが入り混じった、迫力溢れるステージで魅せた。もう一つはカリブの小国、トリニダードトバコの素朴な民族楽器、スティールパン(ドラム缶を改造した楽器)をジャズ楽器にまで進化させた白人イノベーター、アンディー・ナレルのカリビアン多国籍ユニットの演奏。この両者は力感と優雅さ...と言った意味合いで、対照的なステージだったが、ともに面白さ満杯のものだった。

 ショーン・クティをリーダーとする「エジプト80」は、ギターが2人にパーカッション陣が4人とホーン陣も4人、更に2名の女性ダンサーも加わり、全部で14名編成と言う大所帯。それがジェームス・ブラウン並みにシャウトし、踊りまくるのだから、その迫力たるや凄まじいもの。特に2人の女性ダンサーのアフリカ中部ならではの、全身を揺らして踊りまくる様は、強烈にして官能的、見所充分なものだった。親父のフェラはかなりなメッセージ性の強い土俗的なアフリカンミュージックを聞かせ、それゆえ当時のナイジェリア政府から睨まれ、投獄されたり自宅軟禁などと、音楽&政治行動を強く制約されたものだったが、息子の代になるとそうした反体制的姿勢は皆無。ただひたすらに快楽・享楽を求め続けると言った感じで、そこら辺が親父を知るだけにいささか物足りなかったが、そのエネルギー全開のステージは、聴き所満載。

 一方アンディー・ナレルの方は、実に30年以上になる久々のご対面。30代の頃は彼のアルバムにぞっこんで、来日コンサートにも良く足を運んだものだったが、この所はさっぱりその存在すら忘れてしまっていた。それがある雑誌のライブ告知でその来日を知り、コットンクラブの広報部の知り合いに、無理を言って入れてもらっての対面だった。手元の資料を見ると、彼の初リーダー作は1979年。この頃から彼のアルバムは本当に良く聴いたものだが、最近までに15枚以上のアルバムをリリースしているとのこと。昔に比べ大分老けたのは仕方ないが、その音楽は昔と同様に若々しく光り輝いていた。メンバーも彼のスティール・パンにキューバ出身の女性ピアニスト、ジャニセット・マクファーリン、更にベースとドラムはカリブ海の小国出身と汎カリブ色の強いメンバー構成だが、実に気持ち良いカリビアンフュージョンミュージックが展開され、優雅な楽園気分に浸れた。ナレル健在なりと言った感じも強く、ピアノのジャニセットもラテンジャズの優雅さを巧みに醸し出し、聴くものを心地よく酔わせる。ショーンは熱く烈しく、アンディーは優雅に心地良く、聴くものを酔わせてくれ、両方とも実に愉しい一時を過ごさせてくれた。


 夏にはやはりラテン、カリブ、そしてアフリカ等々、こうした地域の音楽~楽園系ワールドミュージックが最もぴったりと来るようだ。皆様もお一つどうですか...


【今週の番組ゲスト:今注目のレーベル『Days of Delight
プロデューサーの平野暁臣さんとレーベルディレクターの行達也さん】
M1「Black Eyes / 土岐英史『Black Eyes』から」
M
2「Bamboo Grove / 峰厚介『Bamboo Grove』から」
M3「Friends / 鈴木良雄  『Days of Delight Compilation Album -疾走-』から」
M4「Attractive Vamp / Days of Delight Quintet『1969』から」

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