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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.298~実力派シンガー次々と】

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のジャズコラムで2週間ほど前に「最高のジャズディーバ」として大野えりさんを紹介したが、今週またまた実力派の美形シンガーがスタジオを訪れてくれた。山岡未樹さん。今や実力、人気ともに日本を代表するシンガーの一人で、その上彼女はボーカル教育者としても活発な活動を展開、そのボーカル教室はマーサ三宅さんのそれと並ぶ老舗として、多くの門下生を輩出している。
 
その未樹さんと久しぶりに会ったのは今年のジャズ新年会で、会もそろそろお開きのとき、飲み仲間と帰ろうと階段を上がりかけたところ「小西さん待ってよ、去年の暮れ新譜出したんで聴いてみてよ...」とアルバムを手渡され、少し立ち話をして番組に登場してもらうことになった。もう5年振りくらいになり本当に久々の登場と言うわけだが、美女のスタジオ入りは嬉しいものでもあります。

 
彼女の新作『ワン・デイ・フォー・エバー』は、サブタイトルの「未樹&ベニー・ゴルソン」にあるとおり、ジャズ界のレジェンド、サックス奏者&作曲者のベニー・ゴルソンとの共演盤。彼女にとってゴルソンとの共演アルバムはこれが確か3作目で、2人の息もぴったりとした佳作である。「後世に引き継がるべきこの宝物のようなアルバムをプロデュース出来たことは幸せだ...」とゴルソンは語っているが、彼はこのアルバムでプロデュースと編曲も担当、サックスを吹いているのは3曲だけだが、彼の枯れたテナーの音色は未樹さんのボーカルに実に良くマッチしている。曲は「ウイスパー・ノット」「アイ・リメンバー・クリフォード」と言ったゴルソンの代表曲に「マイ・ロマンス」「アイ・ラブ・ユー」等のスタンダードの全10曲で、録音はNY。日本から彼女が信頼するピアニスト、野力奏一を伴って録音に臨んだと言う。

 
ところでこのアルバム誕生にはある曰くがあり、それがあの3・11に関係と言うのだから、今回の放送日時はまさにぴったりのタイミングだった。それはこのアルバム、録音はあの5年前の3月13日前後に行われる予定で、その為に彼女は成田に向かったのだが、あの大震災で全ての出発便はキャンセル。数日待ったがどうにもならず遂に渡米は叶わず、一時は企画自身が流れてしまったのだが、彼女は再度ゴルソンにアプローチをかけ、昨年の春ようやくNYでの録音を実現することが出来た...という感動的な逸話がこのアルバム誕生には秘められている。ベニー・ゴルソンの書いた「ワンデイ・フォーエバー」と言うタイトル曲にも、そうした感慨、喜びも込められているようにも思える。
 
今回のNYのスタジオでの録音は、至って順調だったようだが、そのスタジオ収録の合間に、彼女はベースのバスター・ウイリアムスと、お遊びで「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン」をデュオで歌ったという。その模様をミキサーが密かに録音しており、その音を聞いてメンバー全員がこれは是非アルバムに加えるべきと言う意見。そしてアルバムのラストに収録することになったと言う。その心地よいデュオナンバー、是非番組でも...と言うことになり、後テーマ曲に替わってラストナンバーとして皆様にもお聞かせすることになっている。

 彼女はこの前のアルバム~自身のお弟子さんたち数人の合作アルバムに、師匠として1曲登場、貫禄あるところを聴かせてくれているが、ライブ&ステージ、そしてボーカル師範として、末永く活躍して欲しいものです。
【今週の番組ゲスト:ジャズシンガーの山岡美樹さん

M1「Wisper Not」
M2「Feeling Good」
M3「Fly Me To the Moon」
M4「One Day Forever」

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