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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.397~ジャズライブめぐり】

 出不精のせいで日頃はあまりジャズライブに足を運ばないのだが(反省!)、この前久々に続けてライブに行った。その感想をひとつ...。と言ってもこの2つのライブ、両方とも早稲田大の関連で、直接その当人からお誘いがあったので...という次第。

 
一つは女性のバンドリーダー兼ピアニスト、作・編曲者の守屋純子の定期演奏会。そしてもう一つは大学のクラブ仲間、チンさんこと鈴木良雄のライブ。守屋純子のジャズオーケストラは、毎年2月に渋谷の大ホールで実施している定期コンサート、そしてチンの方は新宿の老舗ライブハウス「ピット・イン」での3デイライブのラストデイを聴いた。今や日本を代表する作・編曲者の守屋純子は、彼女のデビュー時以来の20年近い付き合い。彼女は早稲田大を代表するフルバンド「ハイソサエティー・オーケストラ(通称ハイソ)」のOGで、ここ出身のジャズ関係者から将来きっと有名になる実力派と紹介され、デビューアルバム発表時には番組にも登場、それ以来数回は番組にも遊びに来てもらっている。彼女は早稲田を出た後、NYの音楽大学にも留学するなど研鑽を積み、念願の自身のフルバンドを結成してもう10数年、「モンク賞」と言う国際的なジャズ賞をアジア人&女性として初めて受賞したり着々と実績を積み上げて来ている。そのフルバンドは自身のピアノにエリック・ミヤシロ・近藤和彦・佐藤春樹など売れっ子を集めた本格的なもので、ここ8年ほど渋谷のコンサートホールを拠点に定期的にライブを実施している。10数名のメンバーは売れっ子揃いでリハーサルなどで集まるのも中々に難しい状況の中、コンスタントにコンサートを実施しているのは本当に立派としか言いようない。バンドは実力者揃いでもう永年活動を続けているだけに、アンサンブルもばっちりと決まりで聴き応え充分。第一部はエリントン・ナンバーなどのスタンダード中心のプログラムでこれも良い出来栄えだったが、聴き所は今年の夏に出す予定の新作のメイン・テーマ、長谷川等伯組曲のお披露目を兼ねた第2部。
 等伯は16世紀京都を中心に活躍した日本の代表的画家で、日本以上に海外で高い評価を受けており、ボストン美術館などに数多くその逸品(「竜虎図」など)が所蔵されている。その等伯の作品にインスパイアーされ作った組曲は6つで構成されており、今回はそこから4つほどが紹介されたが、それぞれの素になった等伯作品がバックスクリーンに映し出されると言う趣向。どれも力作なのだがこうした標題作品は、クラシックなどと違ってアドリブが一つのメインとなるジャズ(フルバンドでも同様)では、中々に困難な一面もあり,かえって等伯原画を見てしまうと出来上がった作品に違和感を感じる所も少なからずある。「竜虎図」などはそのダイナミズム、ユーモラスな感じなど良く特徴を捉えていたが、「松林図」などの微妙な陰陽を生かした幽玄な風景作品になると、些かその表情が明る過ぎ(多分に守屋の気質が反映されている)などとも思える節もあり、評価は分かれる所だがその仕事は素晴らしいもの。

 
一方、新宿「ピット・イン」での鈴木良雄のライブは、3日間に渡りそれぞれ異なった鈴木像を提供すると言った企画。一日目は彼の現在のバンド「ベース・トーク」の演奏、そして2日目は彼の好きなピアニストを3名招き、彼らとの共演を果たす(元々彼は優れたピアニストだったがサダオさん(渡辺貞夫)の勧めでベースに転向)、そしてぼくの聴いた最終日は峰厚介(ts)、中村恵介(tp)など新旧入り混じったスペシャルクインテットによるもの。この面子でどんなジャズを展開するのかかなり興味津々で、重い足を上げたと言う訳。結果はハクエイ・キム(p)、中村と言った若手(チンが少し前まで率いていたジェネレーション・ギャップの面々でもある)と、チン&峰&村上寛(ds)と言うチャンジー(爺さん)ミュージシャンとの、世代を超えた融和と鬩ぎ合いも興味深く、大変愉しく聴かせてもらった。ライブの前に新宿で打ち合わせがあり少し時間に遅れてしまったのだが会場は満杯、チンの話では「余り人は来ないから大丈夫だよ..」などと言うことだったが、その事前予測は良い方に大きく外れ、彼の人気の程を知らされたもので、「お前想像以上に動員力あるんだね...」などと嫌みの一つも彼にかましたが、実際多くのファンが集まり嬉しそうだったし、演奏内容も素晴らしいものだった。

 やはりもっと演奏現場~ライブの場に積極的に顔を出さないと...と、痛感・反省させられた2日間でした。
【今週の番組ゲスト:コアポートの高木洋司さん】
世界初となる ポーランド ピアノ コンピレーションアルバム『ポーランド・ピアニズム』から
M1「サファーリングモジジェル=ダニエルソン=フレスコ」
M2「レプブリカ・マジェニ / ハニャ・ラニ&ドブラヴァ・チョヘル」
M3
「プションシニチュカ / レシェク・クワコフスキ 」
M4
「バイ・ゾポト / スワヴェク・ヤスクウケ&ハンセアティカ・チェンバー・オーケストラ 」


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