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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.313~若手トランペッター】

 先日ラグビースーパーリーグの国内最終戦が秩父宮で行われた。猛暑の中、日本のサンウルブスの国内最終戦の相手は、冬真っ最中の南半球からやって来たオーストラリアのワラタス。暑さという利点を最大限生かし、意外に善戦するのでは...と言う期待も大きかったが、南半球有数の強豪ワラタスはその実力通りの力を見せつけ大勝した。今年からSR(スーパーリーグ)に初挑戦した日本チームは、短期間で結成されたものだけに準備不足だったが、その割に良くやったと思うし、ニュージーランドや南アの強豪チームと戦うなどというのは、夢のまた夢だったかつてのことを考えれば、まさに信じられないラグビーシーズンでもあった。ただサンウルブスの今シーズンを振り返ると、選手層の薄さはどうしようもない現実だった。

 と書いてくると今回もラグビー話かとお叱りを受けそうだが、決してそうではない。日本のジャズシーンを見ると、ラグビー同様まだまだ若手の人材が少ないのに気づかされる。ピアノとボーカル、ここは若手がどんどん登場しているが、そのほかの分野ではこれといった人材も少ない。そんな中にあって若手の代表格の一人として奮戦しているのがトランぺッターの類家心平である。彼は青森県の八戸出身。自身の出身地の緯度をタイトルにしたアルバム『Ñ40』を、同郷のピアニスト中島錠二と共に発表したりしている、なかなかに郷土想いだが、今や数少ない若手の俊才トランぺッターとして、自身のバンドを始めさまざまなミュージシャンやシンガーからオファーを受け、共演を果たしている。

 その彼が新作『UNDA』を携え、スタジオに遊びに来てくれた。UNDAとはラテン語で波。自身のバイブレーションを体現化したこのアルバムは、若手達を集めた彼のレギュラーユニットによるもの。如何にも彼らしいエッジの利いたナンバーが並び、タイトルもかなりとんがったものが多い。その中にあって、1曲だけ敬愛するマイルス・デイビスの「マイシャ」を彼流の解釈で取り上げたものがあり、これが素晴らしい。世界的なスケールのトランぺッターと言う印象は、スタジオに来ても良く分かったが、その彼と並ぶ逸材が中近東出身のイブラヒム・マーロフ。半音の更に半分の音程を鳴らせる「微分音トランペット」を自在に使いこなすこの中近東出身のトランぺッターは、リズム感覚も素晴らしく新たな金管楽器を未来を切り開く逸材でもある。
 類家&イブラム。この2人の本場アメリカ以外から現れた俊才達によって、ジャズトランペットと言うよりもジャズの新たな展望が開けることを大いに期待したい。
【今週の番組ゲスト:トランペッターの類家心平さん】

M1「UNDA」
M2「Haoma」
M3「Danu」
M4「Pirarucu」

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