10月21日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [テイスト・オブ・ジャズ]
2021/10/21(木) 19:00 番組スタッフ

テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.597~チューバ・ジャズ~】

  貴方はチューバと言う楽器ご存じだろうか...。吹奏楽などでよく見かける大きな低音楽器で、高校などの吹奏楽部で女子学生などが担当していると、演奏だけで無くその持ち運びどうするのか...等といらぬ心配までしてしまう、ある意味厄介なそして困難な楽器でもある。
 ジャズの世界ではかつてのニューオーリンズジャズでは(今でも健在で再注目の存在ではあるが...)、かなり重要な役割を担っていたこの重厚な低音楽器も、モダンジャズ時代になるとその余りの重厚さ故に、ほとんど見向きされなくなってしまった。しかしどっこいこの楽器はしぶとくしたたかに、その困難な時代を生き抜いて来て、21世紀に入ると息を吹き返しつつある。その困難な時代にこの楽器で頑張って来た立役者の一人がハワード・ジョンソン。彼は今年の1月に79才で亡くなってしまったが、その功績は大変に大きいものがある。『グラビティ―』等のリーダー作を発表し、この難しい楽器で見事なソロワークを披露していたが、彼はまたあのジョン・レノン&オノ・ヨーコの『ダブル・ファンタジー』にも参加、この楽器の再認識にも寄与していた。さらに彼の元からはボブ・スチュアートなど次代を担うプレーヤーも巣立っている。このジョンソンと並ぶ需要人物として、もう一人レイ・ドレーパーの名前も忘れられない。ジョン・コルトレーンなどとの共演アルバムによって知られる彼も、ジャズにおけるこの楽器の意味合いを認識させた貢献者の一人でもある。

 まあこうしたミュージシャン達の努力によって、このチューバと言うある種の異端にして興味深い低音楽器は、ジャズの世界を生き抜いてきたのだが、21世紀に入るとその存在がそれなりの注目を集め出したのは興味深いことだと言える。それには今のニューオリーンズ・ブラス・バンドが新たの注目を集め出したことも大きく関わっているかも知れない。若いロックやヒップホップに関心を持つファンが、そこに登場するこの楽器の面白さ・異様さに目を付けつつあるので、また新たな展開が開けるかも知れない。

 ぼくがこの楽器に注目するようになったのは、今最も熱く激しいジャズを展開している(らしい)ロンドンのジャズシーン。その中心に位置するサックス奏者、ぼくのお勧めNo1プレーヤーでもあるシャバカ・ハッチングスのバンド「サンズ・オブ・ケメット」からだった。このバンドがこのチューバをその楽器編成に起用しており、そのプレーヤーがまた仲々に強力で魅力的だったのである。彼の名前はテオン・クロス。
 そのデビュー作「ファイア」のキャッチフレーズには、「アフロ・ビートを軸として、ヒップホップからクラブサウンド迄を展開するチューバ・ジャズ」とあるが、正にその通りの新しくもありながら伝統にも則った不思議な魅力を秘めた、ファイア(炎)の様に燃え上がるジャズを展開しているのである。チューバでアドリブを展開するのは中々の荒業ではあるが、それをクロスは現代感覚で巧くこなしている。その魅力の程は皆さまが実際に耳にして欲しいものである。チューバと言う楽器が21世紀のジャズの展開に新たな彩りを添えることが出来るか...。テオン・クロスの活躍ぶりに注目である。

【今週の番組ゲスト:ピアニストの山本剛(つよし)さん ベーシストの香川裕史(ひろし)さん】
Misty for Direct Cutting』から
M1Misty
M
2Midnight Sugar
M
3Yesterday
M
4The In Crowd



【特番のお知らせ】

「テイスト・オブ・ジャズ」は、放送開始から57年。そして現在進行の山本郁さんが担当するようになってこの秋20周年を迎えました!

11月23日(祝)朝9時30分から1時間特番『テイスト・オブ・ジャズ・スペシャル 私とジャズ~なんだかんだで57年、そして20年~』を放送する予定です。

特番では、みなさんのジャズに関するメッセージやリクエスト曲を募集します。

初めて聞いたジャズ、ジャズとの思い出......など、何でも構いません。

メッセージ・リクエストの他、郵便番号・住所・氏名・電話番号を明記して、

ラジオNIKKEI・番組サイトのメールフォームからお送りください。

締め切りは11月10日です。

メールを採用した方には、JAZZ関連の書籍やCDなど素敵なプレゼントを差し上げます。数に限りがございますのでご了承ください。どうぞお楽しみに!

 

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