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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週日曜18:30-19:00(本放送)ほか、木曜22:30~23:00で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.512~コロナ禍は続く】

 
 最近は殆どの人達が、コロナのことしか考えられないコロナ恐慌状態。ぼくのようなオールドボーイになると、恥ずかしい話坂道や階段の上り降りで直ぐに息切れしてしまうこともあり、そんな折に発熱でもあったらそれコロナ...と疑ってしまうだろう。先日も持病の定期診療で病院に行ったのだが、驚いたことにいつも屯している老人連中が殆ど見当たらず、実にスムーズに定期診療の運びとなった。いつもは薬をもらうためだけに病院通いだった連中も、コロナ怖さに足が遠のいたようなのだが、事程左様にこの恐ろしい病渦は様々なことの実態を暴き出している。その最も顕著な例が日本の政治と言うか、安倍政府の余りにもお粗末な狼狽振りと失態振りだろう。あの内田樹先生も嘆いていたように、次
々と失態を重ね続ける安倍一派に、未だ40%を超す支持があり続けるという嘆かわしい事態。本当にどうにかして欲しいものである。

 まあそんな日本人の、どうしようも救いの無い性向~政治志向を嘆いていても仕方ないが、それにしても華やぎのGWも全く形無しである。一寸は元気に...とも思うのだが、まずは暗いニュースから。以前このコラムで、コロナ禍で亡くなったジャズミュージシャンを何人か紹介したが、その後ある知り合いから大物が亡くなったと言うニュースを教えられた。白人サックス奏者の大立物、リー・コニッツである。彼ももう80代半ばの筈で、まさにジャズレジェンドの一人だが、つい最近まで現役バリバリで活躍していただけに大変残念である。特に彼には想い出があるだけに寂しさもひとしおなのだ。もう数十年も前のこと、初めて局から派遣されアメリカ民放ツアー(15日間ほど)に参加したのだが、その最終地のNYの街で偶然出会った、知り合いのジャズカメラマンが彼のマンション(NYのセントラルパークの脇にある高級マンション)で写真撮影をする...と言う。これ幸いと乗っかり彼のマンションを訪れ、交友を持ったと言う今は懐かしい想い出があるのだ。クール派の巨星とされるが、それに反し実に温かみを持った素敵なお人柄のジャズマンだった。それだけに本当に寂しい。

 そしてこのコロナ禍、多くの人が日頃は余りしないおうち読書などもしているようだが、その中でも売れているのが、あのノーベル賞作家カミユの「ペスト」だと聞く。アルジェリア生まれの作家でもあるカミユの「異邦人」に続く2作目になるこの作品、もう大分以前に読んだので詳細はしかとは覚えていないが、アルジェリアのある街で発症し全市に広がるペストとの戦いを描いたもので、今のコロナ渦にはぴったりの内容だけに、改めて読もうと思った人も多かったのだろう。確かその中である宗教家が「この疫病が皆を高め、その生きる道を示してくれる...」と言うようなことを語っていたはずだが、それはこの今の悲惨な状況にも通じる言葉だと思う。

 そしてもう一冊、こちらはアルゼンティンのノーベル賞作家ガルシア・マルケス(焼酎「百年の孤独」のもとにもなった作品などを著わす)、「マジック・レアリズム」という魅惑的な手法を編み出した彼の描いた「コレラの時代の愛」。80年と言う長い時代を超える熱狂的な愛の軌跡を描いた、この実に興味深く面白い長大小説も、コロナ禍の時代には読まれてしかるべきものだと信じる。

 まあこんななんとなく重苦しい日々が続く今は、少しでも心の余裕を得るため音楽でも聴きながら過ごすしか...。そう思いながらCD棚から選び出したのはやはりバッハ。中でも「無伴奏チェロ組曲」が最適だ。ぼくの思う至高の音楽とも言えるこの組曲、人気のヨーヨーマかこの名曲を復活させた定番のカザルスか...とも思った。しかし今回はその峻厳さで、ぼくらに進むべき道を教え示してくれる鬼才シュタルケルのものにした。それにしてもどの曲も素晴らしいし名演揃いだ。

【今週はノーゲスト回】
 「ポップスや演歌の歌手が歌うジャズ」というテーマでお送りします

M1「Smile / 松田聖子」
M2「You'd Be Nice to Come Home To / 八代亜紀」
M3「Seven Steps to Heaven / 森山良子」
M4「Moon River / 勝 新太郎」
M5「Falling In Love With Love 恋に恋して / 伊藤君子」
M6「花は咲く / Roberto Menescal, Wanda Sá 他」

 

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