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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.324~ひろみのことなど】

 先日TVを見ていたら音楽番組に「ひろみ」が出ていた。ジャズの世界で「ひろみ」と言えば当然上原ひろみのこと。なんと彼女の最新作は、あのビルボードのヒットチャート(CD不況のあおりを受け、今やかつてほどそのチャートの重要性は薄れつつあるが...)ジャズ部門でついにトップに立ったと言う。NYに拠点を置き、年に200日以上のコンサートをこなしている彼女、ついにアルバム売上でも世界No1を記録、今や向かうところ敵なしと言った圧倒的な存在で、貞夫さんや日野ちゃん、渡辺香津美などの大名跡を押しのけ、名実共にJ-ジャズを代表するジャズピアニストになっている。
 
先日の東京ジャズでもコンサートの大ラスに登場、手数王=ミッシェル・カミロと丁々発止の見所充分なデュオセッションを繰り広げ、聴衆を興奮の渦に巻き込み、その女王振りを強烈に印象付けてくれた。しかし彼女の良さは、実力派でもある某嬢のような女王然とした立ち振る舞いではなく、あくまでも可愛らしい女性だと言う点。ステージでのダイナミズム表現とその可憐で魅力的な表情。その対照振りもまた素晴らしいもので彼女の大きな魅力にもなっている。

 我が「テイスト・オブ・ジャズ」は、このコラムでも再三記しているように50年ほどの歴史を誇るギネス的ジャズ番組。サダオさんを除く(特番での出演はあるが...)J-ジャズのほとんどのミュージシャンに一度はご登場願っているのが一つの売りなのだが、そのサダオさんをしのぐ世界的大スター「ひろみ」にもまだ登場してもらっていないのだ。と言うよりも彼女の登場はもうほとんど不可能にも思えるのだが...。ただ残念なことには、彼女の登場機会がまったく無い訳ではなかった。それは彼女のデビュー直前、デビューアルバム『アナザーマインド』が控えていた時、当時のユニバーサルのジャズ部門のトップだったⅠ氏から、アメリカ在住の凄い有望な女性ピアニストが今度アルバムデビューするから、日本に帰国した時一度番組に呼んで欲しいと頼まれたのだった。ひろみの評判はおぼろげながら聞いていたので興味はあったのだが、当時番組スケジュールは満杯、それと彼女の里帰りタイミング(浜松市出身)もうまく合わず、この出演話は残念ながらお流れ。その後はあれよあれよと言った具合にスター街道をまっしぐら。番組には関係ない存在になってしまったのだった。ああ残念、無念。
 まあそんな残念話は置いておくとして冒頭にも記したように日曜日の朝、何気なくTVを見ていると、ひろみが出ているではないか...。「題名のない音楽会」という長年続いているクラシックをメインとした音楽番組である。彼女はそこで2曲ほどソロを聴かせ、番組パーソナリティーの若いヴァイオリン奏者と掛け合いも披露したが、華麗にして可憐、流石「ひろみ」と言った感じの堂々としたプレーを魅せた。先日の東京ジャズのステージでも感じたのだが、今の彼女の音楽はジャズと言うよりも、ジャズをコアに様々な要素を含んだ「ひろみ」そのものと言ったもの。即ちその存在自身が、一つのジャンルに昇華されている感じも強い。だからこそあの"フジロック"の大観衆を飲み込んだステージでも、多くの若いロックファンを熱狂させることが可能だったのだろうと思える。どんなに激烈なプレーの中にも、常に音楽を愉しむことを忘れない。その姿勢が全ての音楽ファンの心を捉えるのだろう...。凄い女性にして魅力たっぷりな人でもある。一度は番組に...とも思うが、果たしてその夢叶うかどうか...。

【今週の番組ゲスト:ジャズのお勉強、先生は音楽評論家の青木和富さん】
M1LUYAH! THE GLORIOUS STEP / CECIL TAYLOR QUARTET
M2LONELY WOMAN / ORNETTE COLEMAN
M3LYDIOT / GEORGE RUSSELL SEXTET
M4FONTESSA / THE MODERN JAZZ QUARTET


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