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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.645~エリザベス女王死去~】

 英国のエリザベス女王が亡くなった。享年96で在位はなんと70年。恐らく世界で最も有名な女王=王様だったことは間違いないし、国民の多くから愛された人だった。その死去の報が伝えられた時、バッキンガム宮殿では虹が見えたのだと言うし、実際その模様もSNSに上がっている。その人柄が偲ばれるようないいエピソードである。

 日本でも開かれた宮家とも言われているが、その開放度は英国とは比較にならない程で、真に民主主義が根付いた国=英国だけに、国民との密着度も比較にならないものが有った筈である。いつもニコニコとして恬淡とした人柄にも見えるが、王室の財政は自身で運営するのが基本で、中々に大変なことも多かったに違いない。戦前の英国は世界中に植民地を有し、その権勢は並ぶもの無き...と言った無双状態だった訳だが、戦後若くして女王になった彼女は国を取り巻く状況も一変、国内外で様々な問題も山積、それだけに苦労そしてそれを克服する喜びもあった筈である。しかしそれなりに明るく難題の数々を乗り越えて来た恬淡さこそが、彼女の何よりの魅力だったと思える。

 ぼく自身は別段英王室ウオッチャーなどでは無く、単なる部外者ではあるが、なにか彼女の動向には関心を持たざるを得ない...と言う感じもある。と言うのももう70年前、ぼくが丁度小学校に入った頃、当時はどこも子供が多く学校数も少なかった関係か、二部授業なども多くの地域で行われていた厳しい時代、珍しくも年令の離れた姉2人が映画に連れて行ってくれる...と言う。もしかしたら映画館で映画を見た初めての体験だったかも知れないが、それが確か2本立てでそのうちの一作がドキュメンタリー映画の「エリザベス女王結婚」と言うもの。結婚式の模様やパレードや私的なポートレートなどを映したものだった。特に何ということも無いフィルムだったと思うが、強烈に覚えているのはこの映画を見るために多くのファンが、中央線の阿佐ヶ谷駅前にあったオデオン座に集まりパニック状態。結構早くから並んでいたからどうにか入場は出来たのだが、多くのファンで窓ガラスが割れたり混乱の極みで、警官も出動した覚えもあるほど。それだけに必死の思いで見たフィルムで、娯楽などほとんどない時代だっただけに、エリザベス女王と言う存在は、ぼくにとって忘れられないものになっており、名前を聞くだけでなんとも懐かしい想いに捉われてしまうのだ。

 彼女に対する想いは、英国民は概ね敬愛する対象と言った感じなのだろうが、但しこれは英国白人達の感情であって、今や多国籍と言った民族の坩堝化したロンドンなど、大都市周辺の多くのアフロ・イングリッシュメン達は、かなり複雑な心境にあるに違いない。いま世界中のジャズ・シーンの中で、最も興味深いのがロンドン周辺のジャズ・シーンで、ここからは多くのアフリカ移民の2世達の素晴らしいジャズプレー達が輩出しているが、その中心的存在でぼく自身が最も評価しているサックス奏者シャバカ・ハッチングスも、少し前に英王室を揶揄したタイトルの作品を発表したりしており、そこからは彼らの複雑な心境も伺い取れる。エリザベス女王という偉大な存在を失って、混迷度を深めるに違いない大英帝国が、これからどう漂流して行くのか...、間違いなく誰もが関心を持たざるを得ない大問題でもある。

【今週の番組ゲスト:ヒロ・ホンシュクさん 城戸夕果(きどゆか)さんのフルーティストお2人】

2人で結成したユニット「Love To Brasil Project」の1atアルバム『Love To Brasil Project -EP』から4曲お送りしました。

M1「Paper Merge
M2
Para vocês com grande carinh
M3
Lulu
M4
Layer Three

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