「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週日曜19:00~19:30で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。
【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.715~高平哲郎パーティー~】
1月の日曜日の夜、銀座ライオンの6階ホールであるパーティーが開かれた。演出家&放送作家等々と様々な顔を誇る芸能界の裏ボス(?)の一人とも言えそうな高平哲郎氏の喜寿を祝うパーティー。高平哲郎と言っても、TVやラジオなどに関わる今の若い業界関係者の中には「高平フー?」等とその存在を知らない人もいるかも知れない。しかし今やお笑い界の巨匠となった感も強い、あのタモリがデビュー時に「時闇の密室芸人」から「表の一流芸人」へと売り出した影の男、それこそがこの高平哲郎氏だったのである。そしてそれ以上に、今は無残に凋落してしまった感もあるフジTVが「面白くなければTVでは無い...」と言ったセンセーショナルなキャッチフレーズで、TV界を席巻していたあの時代に、そのフジのあるバックボーンを担っていたのが、この高平と言う男だったのは紛れもない事実でもある(当日は当時のプロデューサーなども参加していた)。何せCX(=フジTV)のお笑い路線の象徴とも言われた、名物プロデューサー=横沢氏とかつて一緒にお茶していた時、「ぼくはお笑いと言うものについては、もっぱら高平さんに教えてもらっているんですよ...」などと語っていた程なのだから...。
「笑っていいとも」「今夜は最高!」等々、こうした数多くのTVバラエティーの企画・構成を担当して来た、付き合いの広い高平氏のパーティーだけに、当夜はTV・芝居・ミュージカル・ジャズ等々、100名を超す様々な分野の有名人達が集う賑やかなパーティーだったが、全員着席スタイルでぼくは山下洋輔さんの一つ置いた隣の席。山下さんの前は誠一ちゃんこと中村誠一(ts)で、ぼくの前には俳優の藤田朋子夫妻(旦那はアコーディオン奏者の桑山氏)等々。おときさんこと加藤登紀子さんや80才を超えても若々しい美女、せっちゃんことイラストレイターの田村節子さんや作家の嵐山孝三郎さん等々、久し振りに顔合わせする面々も多くそれもこのパーティーの大いなる愉しみだった。残念なことにはタモリと久しぶりに話を...と思ったのだが、彼は仕事で欠席とのことだった。また最近の高平氏は吉本興業との縁も深く(吉本の出版部からは「高平哲郎全集」も出されている)、その関係者も...と思ったが今は大問題を抱えておりそれどころでは無い様子で、こちらの関係者も見掛なかった...。
まあ愉しくも2時間余りの会は恙無く進行し、無事閉幕となったが、最近はもっぱら北軽井沢の自宅(別荘が自宅に...)にいることが多くて、外出も少なくなってしまった...と締めで語っていた高平氏は、相変わらず元気一杯でミュージカルや芝居の演出などに励んでいる様子で頼もしい限り。そういえば彼が関わっている宝塚歌劇団の有名OG(レビューを演出しているらしい)の顔も散見された。
まあこんなに顔の広い高平氏だが、思い起こせば彼との付き合いももう40数年。彼と最初に会った頃のラジオたんぱは、そろそろ専門番組だけで無く...と路線拡大で結構意気込んでいた時代。珍しくも大手の紀伊国屋書店が何か一緒にやりたい...となって、新番組のディレクターのお鉢がこちらに回って来た。まあ当然面白本や映画そして音楽紹介等などがメインになる訳だが、問題はそのパーソナリティー。その頃偶然読んだ本が「みんな不良少年だった」(白川書院)と言う彼のデビューインタビュー集。一橋大での彼は当時の人気雑誌「宝島」の初代編集長も務め、若くしてあの晶文社の編集顧問もやると言った具合で、知る人ぞ知る存在だった。このデビュー本のインタビューで取り上げている俳優などの選択も面白く、語り口も爽やかで明快。彼ならば新番組に...と思って会って出演依頼をしたのだが、開口一番「この前会いましたよね...」と言う。こちらは記憶に無かったのだが、タモリの3時間特番を作った時にスタジオの後ろに控えていたのが彼だったとのこと。バタバタしていたので記憶に無かったのだが、彼はラジオの仕事が面白そう...と言うことで、かなり強く印象に残った様子。この紀伊国屋の仕事以降様々なラジオやTVの仕事を熟し、業界の裏ボス...とも言われる存在に迄なって行く訳だが、その初発を記録した番組として彼の中にはかなり残っており、そのディレクターとしてのぼくの存在もまた...。その上彼は名門「武蔵野学院」に幼少時から通っていたのだが、実家はぼくと同じ高円寺で昔からある有名な開業医。まあそんなこんなで彼とはもう本当に長い付き合いで、様々な文化人や芸能人、俳優・ミュージシャンなどを彼から紹介してもらい、TVの番組が忙しくなるまでは一緒に特番なども数多く作ったものだった。
ぼくより数才下ながらもその多岐にわたる才には、長い間敬服し続け。北軽井沢に籠ってしまうのではなく、もっとマスコミの一線でバリバリと...などと、いらぬおせっかいをしてしまいそうだが、この好漢が長く活躍することをなによりも切に願いたいもの...。
【今週の番組ゲスト:ジャズピアニストでボーカリストの松下聖哉さん】
初のリーダーアルバム『Get on the highway』から
M1「Anticyclone」
M2「Night and Day」
M3「My Foolish Heart」
M4「Get on the highway」