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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日22:00-22:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.196~STAP細胞事件とジャズ~】

 ノーベル賞ものの世紀の大発見と、マスコミにもてはやされたSTAP細胞の発見も、種々の疑惑が指摘されて以来、理研の中間発表を見るにつけどうやら雲行きが怪しくなりつつあり「科学の佐村河内事件」などと揶揄するマスコミも現れる始末。当事者のリケジョ、小保方さんの心労いかばかりかと...、大分心配になってしまうし、あるTV番組で森永卓郎氏が寄ってたかって、彼女をいじめているとも語っていたが、ぼくなどもそうした意見に加担したいのだが...。特に理研の会見での記者の横暴さは目に余った。まだ黒白がつかないのに辞めさせるのか...、などと鬼の首を取ったように迫る若い記者。嫌らしい記者根性丸出しで我慢できない程だった。まあだれか第3者が彼女たちの出したプロトコルに沿って、細胞の存在を証明すればいいのだが...。

 この問題、理系音痴のぼくなどには良く分からないのだが、小保方さんの方にも博士論文のコピペ(ある意味剽窃)など確かに問題はある。ジャズの世界でも文章を書く時に、人の意見などを引用することは良くあるが(自戒を含め)、一応誰が言ったかは書いておかないとまずい。それがましてや博士論文などであればなにをかいわんやである。没後大分経つのに今でもその独特の美意識や文体で人気の評論家&エッセイストのウエジンこと故植草甚一氏。あの人のジャズエッセイは多くの部分がいい意味で剽窃、今ならば著作権問題で大変だったはずだが、エッセイの最初に「今新しいエスクワイアー誌を呼んでいると、こんな文章が載っていたので、面白いから紹介してみよう...」などといった軽いイントロで始まりその記事をほとんど全面紹介、それに少し自身の感想などを塗すのだが、その語り口=植草節が独特で、読んでいると彼の意見そのものに思えてくるからまか不思議なのである。ユニークで面白い人だった。一方前衛派のジャズなどについて、かなり難解な文章をしたためていたある故人ライターは、欧州の文献などからの引用も多かった(そのために生硬な文章になったとの評もあるが...)ようで、死後そこら辺が一時問題視されたこともあったが、今では不問と言う事になっているようだ。引用と剽窃、なかなかに難しい問題だが、インターネットの発達によってこの問題もかなり新たな局面を迎えつつあり、今回の問題もかつてならばスルーされたモノなのかも知れない。

 彼女達のSTAP細胞の発見は信じたいし、是非彼女にも頑張って欲しいが,他人からの引用などはやはり原典を明記するぐらいの配慮は欲しかった。特に正確性を第一義とする科学分野論文なのだから...。前の佐村河内事件ではラジオ番組制作者として、また今度の事件ではライターとして、その在り方、倫理など考えさせられることも多かった。

 それにしても小保方さんは、どんな音楽がお好きで聴かれるのか...。どう見てもクラシックと言った趣きだが、これがジャズだったりしたら嬉しいのだが、今はまあそれどころでは無い心境なのだろう。

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