9月10日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [テイスト・オブ・ジャズ]
2016/09/09(金) 17:00 番組スタッフ
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.322~東京ジャズ15周年】

 9月初めの金土日は恒例の「東京ジャズフェスティバル」が開催された。今年は15周年の記念フェスと言うことで、フェスの総合プロデューサー役の八島敦子女史が、8月に番組に登場しその概要を紹介してくれたが、このジャズフェスの立役者、ハービー・ハンコックを始め、パット・メセニーなど顔触れもかなり豪華、トリは言わずと知れた日本が世界に誇る才媛、ヒロミこと上原ひろみ...と、久々に食指が起きる(?)華麗なラインアップだった。
 
最近はあまり全公演参加はしなかったのだが、今回は無理してでも両日の昼夜公演全てに付き合うことを決めた。ただ土曜日は今月半ばにオンエアーする台湾特番の取材、一青妙さんのインタビューが自由が丘で朝8時半からあり、家を出るのが朝7時と大分厳しい日程。オールドボーイにはかなり応えるものだが、そこは老いの一徹で頑張るしかない。

 
朝イチの取材を無事終えて会場である有楽町の東京フォーラムに到着。すると外の会場ではもうライブが始まっており、ジャズ屋台なども立ち並び、東京ジャズらしいお祭り気分が一杯で嬉しくなる。
 ジャズフェス最初のステージは小曽根真がプロデュースした、音大ジャズ科の生徒達のピックアップメンバーによるオールスター学生フルバンド。これにジュリアード音大のメンバーも加わり、日米ジャズ交流が実現と言う周年らしい企画。国立音大の教授でもある小曽根ならではのもので、彼の熱心な指導でかなりな成果を発現していた。このステージを皮切りに昼夜4公演、ステージ数にして12公演がスタート(外の広場では世界各国のミュージシャン達による無料ライブが行われており、ここでは早稲田ジャズ研のステージも組まれ、聴きに来るようにとOB会長から再三の要請があったが、疲れ気味だったのでこちらはパスさせてもらったが...)、全部見るのはかなりなハードワークではあったがまた愉しいものでもあった。

 
その愉しさの背景には今年のプログラム、結構ぼくの好きな楽園系とも言える中南米系ミュージック(ジャズ)が多かったことで、それらは実際にもかなり楽しく充実した内容だったためだ。そのトップが今年の目玉と睨んでいた、キューバン・ジャズを代表する若手ピアニスト、アロルド・ロペス・ヌッサのトリオ。ベースはアフリカのセネガル出身、ドラムはハロルドの実弟で凄腕。キューバンジャズ・プラス・アフリカと言った感じのこのトリオ、日本ではほとんど知られていないこのユニットを、よくブッキングしたものとも思われるが、実際始まってみるとその驚愕テクニック、圧倒的なスピード感等に観客は魅了された様子で、ステージ終了後CD売り場に走るファンも多かった。用意されていたアルバムは即完売。残念がっていた人も多かった。
 
そしてもう一つがパブロ・シーグレル&寺井尚子のジャズタンゴ・プロジェクト。シーグレルはあのアストラ・ピアソラ・バンドのピアニスト。その彼のバンドに寺井が共演と言う形で、レパートリーもピアソラナンバーにシーグレルのオリジナル。こうした他流試合になると女王・寺井はその本領を如何ん無く発揮、凄まじいばかりの集中力と指導力を発揮、他流セッションでその存在感を堂々と現出していた。
 あとは
ギターの第一人者、渡辺香津美とフラメンコギターの俊才、沖仁とのデュオセッション、これは香津美の45周年記念コンサートなどでも実現されているもので、このデュオにパーカッションのミノ・シネルとヤヒロトモヒロが加わった4人だけのジャズフラメンコ・セッションなのだが、これも聴き応え充分な内容。4人が4人とも実力者だけにその内容は保証済みだが、特に今や世界一とも言えるミノ・シネルの熱演、参りました。ギターと言えば王者、パット・メセニーとクリスチャン・マクブライドとのデュオも聴き応え充分なものだった。

 
そしてフェスティバルのトリを務めるヒロミ。今回は自身のトリオはメンバーが来れずに実現しなかったが、代わりにミッシェル・カミロとのデュオセッション。恐らく現役最高のテクニシャンでもある、パナマ出身の楽園系ピアニスト、カミロを相手に堂々と渡り合うヒロミ。以前にも顔合わせをしている2人だけに、気心も知れ合い、その技の応酬も実にツボを心得たもので、盛り上げも巧く、ファンはやんやの喝采。この東京ジャズの最大スターは、ハービーでもパット・メセニーでもなく、彼女だと言うことを如実に示すステージだった。彼女自身もこの東京ジャズで徐々に実力を蓄えて言った感もあり、両者は実にいい関係でもある。

 そして今年のもう一つの注目点。それはJ-ジャズの大御所たちが顔を並べたこと。香津美以外にもサダオさん(渡辺貞夫)、日野皓正。小曽根真などが登場、洋輔さん(山下洋輔)だけいなかったが、その点でも特筆に値するものだった。なお東京国際フォーラムでの東京ジャズは今年で最後、来年からは新装なった渋谷・NHKホールに移り新たなスタートが切られると言うこと。どんなフェスになるのか、大いに楽しみである。
【今週の番組ゲスト:ピアニストの秋田慎治さん】
「time-10」から
M1
「Slipped
M2「Line D」
M3「One Note samba」
M4「until you say」

コメント