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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.235~ジャズ界、今年も打ち止め~】

 2014年も遂に打ち止め。個人的にも周りの仲間が亡くなるなど色々あったが、それ以上に心配なのは日本の行く末。瀬戸内寂聴師も述べられているように、この国はどんどん危険な方向に進みつつあり、大部分の国民はそれに無自覚なこと。この前の選挙で安倍政権の大勝など、もうその危険は目前に迫りつつあり、杞憂どころか目の前の危機そのものなのだが、同世代の連中にも無自覚な輩が多く、何とも言えずいやな気分の毎日。
 

 と言った感じで2014年は終わりを迎えつつあるが、この時期は1年の振り返りをする時でもあり、1年のジャズベスト作品を選出して欲しいと言った依頼も雑誌社などから多い。今年も3誌ほどからあったが、ぼくのベスト作品はジャズギターのレジェンド、パット・メセニーの『KIN』(キーンと読むのだと思う)。彼が新しく作ったユニットでの新作だが、その全キャリア(メセニーももう60才になったが、相変わらず若々しい)の中でも最高のユニットである。リーダーはもとよりアントニオ・サンチェス、クリス・ポッターなどユニットメンバー一人ひとりも抜群である。そして日本のジャズベスト作は、以前このコラムでも紹介した、川嶋哲郎の故横田プロデューサー追悼作品『ラメンテーション』、川嶋渾身のライブ作品で、聴いていて泣ける作品だ。そしてボーカルのベスト作は、御年80数才のトニー・ベネットとあのレディー・ガガが共演したアルバム『チーク・トゥ・チーク』。このガガが正に素晴らしく、こんなに上手い人だとはびっくり。両親も何かジャズに関係していたようだが、それにしても御大相手に少しも退いておらず堂々としており、凡百の日本の歌手に聞かせたいくらい。
 このベネット&ガガの共演にもある通り、ジャズの境界がどんどん崩壊しつつある年だったと言えそうだし、特に「ニュージャズ」とも呼ばれる若い黒人ミュージシャン達の活動。ジャズとヒップホップの融合が顕著で、新時代に突入しつつあると言った感じが強い。

 レギュラー番組の方でも、年の最後は1年の振り返り企画で、今年はジャズ評論家の青木和富氏をスタジオに招き、彼が印象に残ったアルバムを数枚選んでもらった。彼は現在富士山麓に住んでおり、長距離バスで上京してくるのだが大変にご苦労なこと。感謝!。
 彼が選んだベスト作はパット・メセニー、トニー・ベネット&レディー・ガガと2作品がぼくと重なっていた。その他ではメセニー・バンドのメンバー、サンチェスのリーダー作、そして日本人では今注目の若手トランぺッター類家心平のデュオ作等々。話好きの青木氏だが、それを抑え気味にしていつもより多い5作品を紹介してもらった。サンチェスも類家もぼくは未聴だったので大変興味深かったし、富士山麓の生活もすいぶん長くなった最近の彼の趣向も反映された選曲で面白かった。

 「テイスト・オブ・ジャズ」この世界屈指の長寿ジャズ番組、来年は51年目に入るはずで、またまた宜しくお願いします。新年第1弾は日本の誇る美形ディーバ、阿川泰子さんをスタジオにお迎えします。お愉しみに...。

【今週の番組ゲスト:音楽評論家の青木和富さん】
M1「ワン デイ ワン/バット・メセニー」
M2「ウィズ ア ソング イン マイ ハート/ロン・カーター」
M3「ナルディス/アントニオ・サンチェス」
M4「エニシング ゴーズ/トニー・ベネット&レディ・ガガ」
M5「ニアネス オブ ユー/類家心平 中嶋錠二」
M6「A列車で行こう/穐吉敏子」

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