お知らせ:

テイスト・オブ・ジャズ

番組へのお便りはこちら
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日22:00-22:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.198~ボサノバ・リジェント~】

 日本でボサノバと言えばなんといっても小野リサさんと言う事になるだろう。アルバムも数多く出しており、コンサートもかなりな人を集める、ボッサの立役者とも言える存在で、彼女はデビュー直前に、我がジャズ番組に出演してくれたのだが、以降急に売れ出してしまい、大スターになってからは1~2度ほどスタジオに遊びに来てくれたが、付き合いはそこで終わってしまった。その彼女と並ぶJ-ボッサの大立者が中村善郎さん。
 歌の上手さは本場のシンガー達も驚くほどで、ポルトガル語も抜群のしゃべり手。本場のブラジルで唄っても大受けで、日本にこんなシンガーがいたのかと驚かれ、日本のボッサ・マエストロとして、その力量が高く評価されている。そんな彼との付き合いはもう25年以上になる。彼がデビュー・アルバムを発表して以来のことで、度々スタジオに来てくれていたのだが、ここ10数年はお付き合いが無かった。それが今度新譜を出すのでスタジオに呼んでもらえないかと、アルバムのプロデューサーからTELがあり、久方ぶりなのでこちらも是非出て欲しいと、オファーを返し今回実現の運びになった。

 ボサノバと言うとどうもお洒落と言ったイメージが強く、それを歌うシンガーもかなり好男子といった感じを持たれがちだが、中村さんはどちらかと言うと地味で実直。只のおっさんで決して男前とは言えないが、ボッサ一途な人で、その彼が唄うボッサのロマンティシズムやサウダージは圧巻、ブラジルの人達がびっくりするのも至極当然と言った感じ。
 今回のアルバムは、人気女性声優がボサノバの歴史を簡単に紹介するナレーションを入れ込みながら、彼がボッサの主要ナンバーを歴史的に吹き込んでいくと言う、ボッサ初心者にもぴったりな企画。中村さん自身もプロデューサーから提案された時に、ボッサ・ファンの底辺を広げるには、なかなかに面白いものとしてOKしたのだと言う。それだけにアントニオ・カルロス・ジョビンのナンバーや「黒いオルフェ」の挿入曲など、10曲余りのナンバーはどれもボッサの極め付け揃い。ギターも抜群な腕前の彼は、そのギターを片手に一人で唄ったり、サックスを入れたジャージーな趣きにしたりと、飽きさせない仕掛けを組み込み、ボッサの歴史を綴って行く。まさにマエストロならではの仕事ぶりである。

 先週はジャズ・ライフの内藤編集長にジャズ入門を講義してもらい、今週はボッサ・マエストロの中村さんが、ボッサの歴史を伝えると、4月の「新」月間にピッタリな企画が続くのは流石だ、...などと誰も褒めてくれないので自画自賛してしまおう。いずれにせよ中村さんの唄声、素晴らしいものです。録音は凄く順調で殆どワン・テイクで済んでしまったと言う事だが、それも中村さんだからこそ...。日本に彼のような存在がひっそりと居る事、それが素晴らしいことなんですね。

お知らせ

お知らせ一覧