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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30+再放送毎週日曜日20:00-20:30でオンエアー。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.59~訃報をふたつ~】

 ジャズに長い歴史を持って関係していると、様々な名手達の訃報に接することも多いが、今回は直接ジャズ関係者の訃報ではない。一つは、ニュースでも大きく取り上げられた名優にして怪優の原田芳雄。ぼく自身は彼にインタビューしたのはたった一回だけ。“日活映画特番”の時のことで、裏に住んでいた松田雄作も呼び込んでくれての、愉しくも恐ろしいインタビューだったが、どうにか無事終了した。ただし伝説のバー、四谷の“ホワイト”では、何回か出くわしたことがあった。男が惚れる男と言った感じで、ハードボイリッシュで実に格好良かった。原田芳雄さんはブルース・シンガーとしても実に素晴らしいシンガーだった。彼のアルバムのバックには有名ジャズ・ミュージシャンも参加しており、ディレクターは大学の後輩で“サザン・オールスターズ”のプロデューサーでも知られるT君。30年ほど前、そのレコーディングも見させてもらったが,実に素晴らしい感動もののレコーディングだった。また葬儀での、盟友・石橋蓮司の弔辞も素晴らしいものだった。なんとも惜しい、合掌!
 
 そしてもう一人は音楽評論家の中村とうよう。彼は自宅のマンションから飛び降り自殺だったと言う。もう80才になろうと言うのに、なんとも痛ましいことだ。京大出身で銀行に数年勤め、その後評論の世界に入った人だが、元々はジャズのライターだったと聞く。以降ジャズは終わったと宣言、ロックに転向、あの雑誌“ミュージック・マガジン(MM)”を立ち上げ、ここ20年ほどはもっぱら“ワールド・ミュージック”の伝道師と言った趣きだったが、自死を選んでしまうとは…。そしてなにより驚いたのは、彼が住んでいたのがぼくの自宅から歩いても20分ほどの、立川市だったと言うこと。少し前までは都心のマンションのはずだったが、最近引っ越したらしい。こんな近くにいてしかも無残な結末になってしまうとは…。直接ぼくとは余り関わりは無かったが、4半世紀ほど前、あるアフリカン・ミュージシャンの招へいに、ラジオ局も力を貸してくれないか…と頼まれ、少し手伝ったことが忘れられない。“ラジオ・タンパ”はそんな興行の後援などはまず駄目で、力になれなかったが、どうにかイベントは実現出来た。気難しい人だったが、気骨のある音楽ジャーナリストではあった。ただ晩年はいささか権威主義に陥ってしまったのは残念なところだ。また合掌!


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