10月5日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [テイスト・オブ・ジャズ]
2019/10/04(金) 19:00 番組スタッフ
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜22:30~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.482~最近のおススメアルバムなど】

  今回はまずこのコラムの読者の方からのお尋ねにお答えしたい。富山県高岡市在住のTさんで50代後半の方。彼はこの前ぼくがラグビーワールドカップについて書いた時、試合を見ながら我が後輩のジャズシンガーにしてジャズ博士でもある丸山繁雄くん。彼の恐らく世界で唯一のジャズ組曲「ラグビー組曲」の第1章キック・オフのことを思い出していた...と記したのだが、Tさんはその組曲についてもう少し知りたいとのことで、その組曲の存在だけでなく作詞・作曲者にして歌い手でもある丸山くんの存在も知らなかったとのこと。これは直接お答えするより、このコラムでちゃんと取り上げた方が良いのでは...と思い、今回記してみることにした。

 
丸山繁雄、彼はぼくより一世代ほど下のシンガー兼ジャズ学者(もう60代半ば...)で、今もまだ現役の日大芸術学部の講師の筈である。彼は日本で唯一人のジャズ論文で博士号を取得した(日大芸術学部)男で、その論文を基にしたジャズ本(ジャズの成り立ちからその長い歴史を纏めた大部の本)も上程している。と同時に当然こちらが本職なのだが、現役のジャズシンガーでボーカルスクールの主催者でもある。実力的には本邦随一と言っても良いシンガーなのだが、如何せんいささか地味でその力量の割に人気が今イチなのは大変に残念な所。ジャズボーカルの大御所、故ジョン・ヘンドリックスを師匠と定め、生前には彼とデュオのアルバムも残しており、なにより凄いのは自費で彼を日本に招き、各地でライブを敢行したこと。こんなシンガージャズメンそうはいない。
 
そんな彼がこのジャズ組曲を作ったのは、友人でもある早稲田大ラグビー部のキャプテンを務め、後にジャパン入りも果たした小柄で闘志の塊とも言える、伝説のフランカー、故岸塚武生に触発される所が大きかった様だ。石塚は10年ほど前に惜しくも物故してしまったが、早稲田ラグビー精神を体現化した様な貴重な存在で、茨城県の常総学院監督を務めていたが、その夏合宿の最中に亡くなってしまったと聞く。
 世界でも珍しい(おそらく唯一無二)ジャズによるラグビー組曲は、彼のデビューアルバム『ヤング・ファーザーズ・ソング』(アケタズディスク/廃盤)にメインナンバーとして収録されており、その中の「ユウユウ」と言う曲は、自身の息子の誕生を祝い作り歌ったもの。その息子さんは踊り(日本舞踊)の若き注目株としてNHKなどでも取り上げられる存在になっている。このジャズラグビー組曲の内いくつかは、今でも彼のライブで取り上げられることもあり、アルバムとしては彼がリーダーとして組織したフルバンド「酔狂座」が、「ヤマハジャズフェス・イン・浜松」に出演した時のライブアルバム(キングレコード)の音源がベストだと思う(残念ながらこれも廃盤だが、中古レコード店やアマゾンなどでは見付けられるかも...)。自身も大のラグビー好きなだけに、今回の「ラグビー・ワールド・カップ」も、愉しみにTV観戦している筈だが、あのラグビー組曲がどこかのフィールドで紹介されたならば、丸山繁雄の名前はラグビー&ジャズの世界で不朽のものになると思われるのだが...。まあざっとこんな感じのお返事でよろしいでしょうか...Tさん。素晴らしい曲・歌唱ですので、こまめに探してもらえれば見つかるかも知れませんね...。


 さて余りに丸山関連の文章が長くなってしまったので、最近聞いて感心したジャズアルバムの紹介を最後に簡単に...。まずはやはり何と言っても日本が世界に誇る天才ピアニスト、上原ひろみのソロアルバム『スペクトラム』。ソロ作としてはなんと10年振りだが、やはり凄い刺激的な内容。オスカー・ピーターソンからフリーの領域まで、鍵盤の上を一気に自在に疾駆するその雄姿。いつもながら感歎の一言。そしてもう1枚は今は亡きジョー・ザビヌルの追悼作。あの「ウエザー・レポート」やワールドジャズとも呼べそうなその後の創造的ユニットなど、マイルスにも匹敵する才人だったザビヌルの愛弟子、スコット・キンゼイが、「ブラック・マーケット」等のWRのヒット曲や、ザビヌル自身のオリジナルなどを取り上げ、21世紀的な視点で再構築した新作(ジミー・ハスリップやロバート・ト-マスJRなどゲスト陣も豪華)、これも全編興奮ものの傑作アルバム。それ以外にも面白いもの幾つかあるが、それはまたの機会に紹介することにしよう。


【今週の番組ゲスト:横濱ジャズプロムナード2019
 プロデューサーの柴田浩一さんとジャズギタリストの浅葉裕文さん】

今年第27回の開催となる横濱ジャズプロムナードの見どころを教えて頂きました。
M1Death Ray Boogie / 高瀬啓伍」
M2Shall We Dance ? / 浅葉裕文」
M3Moonlight Serenade Flutes Company
M4ご機嫌目盛吾妻光良&The Swinging Boppers
M5「 おとこって おとこって / ジェントル久保田とGentle Forest Jazz Band
M6In The Wee Small Hours Of The Morning / 浅葉裕文」

 

横濱ジャズプロムナード2019

http://jazzpro.jp/

 



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