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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.633~チンさんこと鈴木良雄~】

 我が「テイスト・オブ・ジャズ」の今回の登場ゲストは、ベーシストの鈴木良雄。チンさんの愛称で知られるJ-ジャズ屈指のベーシストにして、日本を代表する重鎮プレーヤーでもあり、恐らく番組でも最多登場を誇るプレーヤーでもある。サダオさん(渡辺貞夫)のバンドでプロデビューを果たし、プーさん(菊池雅章)のユニットなど一流バンドを歴任した後、単身武者修行でNYに渡り、アートブレーキー&JM等のトップバンドに加わり名前を挙げ、10数年の滞在の後に帰国。以降は自身のバンドを結成、日本を代表するミュージシャンとしての地歩を固め現在に至っており、現在は無くなってしまった日本のジャズメンを顕彰する「南里文雄賞」、最後の受賞者でもある。

 そんな彼とぼくとの付き合いは、早稲田大学のクラブ(ジャズ研)の新入生時代からだから、もう半世紀以上の長い付き合い。言うなれば同期の桜だが実際の境遇は大違いで、一方は日本を代表するジャズプレーヤーで、こちとらは一介のチャンジー(爺さん)ラジオプロデューサー。本来は敬語でも使い遇しないとならないのだが、そこは昔馴染み。小西、チンと呼び捨ての仲で、彼が新しいアルバムを出したり、周年のコンサートやライブをやればスタジオにゲストとして招き、それを紹介してもらう...と言った形、なので実に数多くの登場回数を誇っている訳である。

 そう言えば彼がアメリカから帰国した数十年前には、六本木にあった「ロッピ(六本木ピット・イン、今は閉鎖)」で、大学のジャズ研主催の大々的な帰国コンサートを敢行、大盛況だったその模様を、当時「テイスト・オブ・ジャズ特別番組」として放送したこともあった。まあ実際に会えばお互いにけなし合っている...感じで、番組パーソナリティーの山本郁嬢などに「小西さん、チンさんと実際に仲悪いの...」等といぶかしがられるのだが、それも腐れ縁の成せる業...と言った感じ。

 ぼくの感じるチンの良さは、まずは何と言ってもベースプレーの確かさ。派手さこそないが音楽の根底をしっかりと支える堅実さだろう。更に幼少時のクラシックトレーニングに裏打ちされた音楽素養(元々はピアニストであったが、サダオさんの忠告でベースに転向)等々良点は数えきれないが、何と言っても素晴らしいのは、多くの人から愛されるその性格の素晴らしさだろう。八方美人などと嫌みの一つも言いたくなるほど、彼は多くの人(ミュージシャンやファン、関係者など)から好かれており、それはジャズと言う音楽を続ける中でも、必要な要件でもあるとぼくは思う。
 そんな彼が久方ぶりに自身のユニットを更新、「ザ・ブレンド」と言うニューユニットを結成した。チンや峰厚介等のベテランに本田珠也などの中堅の実力派を加えた、世代を超えブレンドした「オールスタージャズユニット」である。ある日彼からTELがあり、「今度新しいユニットを立ち上げたんだ。コーちゃん(峰厚介)とか珠也が入った、ザ・ブレンドと言う素晴らしいユニットで、今回レコーディングもすることにしたんだ。ついてはお前にアルバムのライナーノートとかジャズ雑誌のインタビュー、更にはアルバムのPRパンフレットなど、全面的に協力して欲しいんだ...」との頼み。日頃は悪口ばかりなのだが、こうした頼みとあらば断わる訳には行かない。と言うことで2月のコロナ禍、体調も万全でなかったがライブレコーディングに付き合い、雑誌インタビューを行い、ライナーやPR原稿を書いたり、様々な関係者に協力要請も行い、結果としてその演奏の素晴らしさも相俟って、かなりな盛り上がりとなった。ある雑誌では「日本のジャズが到達した最高の高みにある演奏...」等と言った誉め言葉も書かれ、チン自身も大満足で大いに感謝されたりもした。

 そのライブ・アルバム~2枚組の大作であるを引っ提げ、今回チンがまたまたスタジオに遊びに来ることになった。演奏はジャズの聖地・新宿「ピット・イン」でのライブだけに、1曲がどれも長く30分の枠では全面的に紹介出来なかった感はあるが、チンがこのアルバムにかける意欲は良く伝わる内容となっている。顧みればチンもぼくももう70代の半ばを過ぎ、人生の終末時に入っているのだが、そんな感じはみじんも感じさせ無い力強さで、まさに日本のジャズここにありと言う存在感に溢れている。皆様にも是非お勧めしたい傑作だとぼくは断言できる。チンよこれからも元気でやり続けてくれ、出来る範囲で協力させてもらうからな...

【今週の番組ゲスト:ベーシスト鈴木良雄さん】
The Blendの新譜『Five Dance」から
M1「Morning Glow」
M2「Let.s Walk Towards the Sun」
M3「Moanin」


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