10月6日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [テイスト・オブ・ジャズ]
2018/10/05(金) 19:30 番組スタッフ
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜22:30~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.430~台湾少数民族シンガー陳健年】

 今年の秋もまた台日友好を目指す台湾特番を11月23日に放送、その取材の為に11月の初めには台湾に行かなくてはならないが、予算の関係もあって1泊2日、早朝から深夜までと言うこれまでで最も過酷な取材旅行になりそうで、オールドボーイと自称しているが単なるチャンじい(爺さん)のぼくが果たしてその過酷さに耐えられるか、今から大分心配なのである。
 今回のメインテーマは台湾第3の都市で、今や最も成長率が高いとも言われる台中市で開催される、花のエキスポ「国際花博」を紹介すること。この花博は11月初めから来年4月までの長期間開催される規模の大きなもの。7年程前に台北市で開かれた「台北花博」を凌ぐ規模のものとも言われる。台北花博は以前にぼくらも取材したのだが、仲々に華麗で豪華な花フェスティバルだった。今回はそれ以上と言うから期待大なのだが、如何せん例年以上に金と時間(ぼくには時間だけはあるが、他のスタッフはきゅうきゅうのスケジュールをこなす)の無い、ウルトラ貧乏取材旅行だけに、果たして体が持つのか...。

 
さてこの台湾特番。今回取り上げるもう一つが、最近増えつつある日本各地での台湾紹介イベント。その中でも規模の大きいのが、今年から始まった台湾政府も全面後援している「台湾プラス(+)」。去る9月22・23日、連休の2日間に上野の噴水広場特設会場で行われたイベント。文化と食の祭典と謳われ今までには余り無い台湾カルチャーに焦点を当てたもの。この独自視点のイベント、記者会見などもかなり大掛かりに行われて取材にも行ってきたのだが、その目玉の一つが台湾少数民族出身の個性派シンガーソングライター(SSW)達が、7人程メインステージに登場すること。彼ら彼女達は日本では全く無名な存在だが、台湾のレコード大賞とも言うべき金曲賞の受賞者達で実力者揃い。その中心になるのが、台湾東海岸南部の都市、台東市出身のピュマ族のSSW、陳健年(チャン・チン・ニュイ)である。彼は長いこと台東市で警察官をしながらSSWとしても活動を続け、2000年に金曲賞を初めて獲得、その後も少数民族シンガーの代表格として活動を展開し続けている。アイヌ民族のシンガーがレコード大賞を...などと言うのは殆ど考えられないが、台湾では少数民族のシンガー達もかなりな活躍を見せているのだ。

 ぼくは台湾の人の名前を余り覚えられないので、初め陳さんと聞いてもどこかで目にしたような...、と言うぐらいではっきりと分からなかったのだが、先日の記者会見の時に渡された資料に彼の代表作は『海洋』とあり、あの素晴らしいシンガーか...と初めて気付くと言うトホホな思いだった。陳さんのこの金曲賞受賞のアルバムをぼくが知ったのは、彼が賞を取った翌年ぐらいのことで、もう10数年前のことになる。当時通訳兼現地コーディネイターを頼んでいた若い女性(当時はまだそうした女性を雇う余裕があったのだ)、彼女が日本に帰る空港の待合室で、ぼくに「素晴らしいシンガーがいるから是非聞いて欲しい」とそっと手渡してくれたのが『海洋』だった。帰国して聞いてみると確かに日本のシンガーには無い、海洋民族色と嫋やかな地域・土着色が混じり合った素晴らしい作品。直ぐにファンになってしまい、以降何回か台湾特番でこのアルバムを使わせてもらったりもした。そして知り合いのレコード会社のワールドミュージック担当者に、日本で出すことを薦めたのだが、作品は素晴らしいが台湾及び少数民族と言うことで殆どが首を縦には振らなかった。残念なことである。

 
そんな彼が日本にライブで来る。記者会見の後で彼にインタビューしたが実にシャイな人で、余り言いたいことも...ということだったが、彼のアルバムを大いに気に入ってレコード会社にも勧めた話をすると大感激。彼の描いた漫画風な絵葉書にサインまでしてくれた。数年前に警官の仕事は辞めて今はSSWの仕事一本だが、拠点は相変わらず風光明媚でピュマ族の本拠地でもある台東市。世界のどこにライブ活動で行っても故郷が一番だという。この前の北海道地震の被害にも心を痛めており、「北海道」と言う歌も作って支援しているのだとも言う。そこには「北海道、そこは友達、アイヌの人達の土地。会うと何時も親しく交わる...」等と、同じ少数民族のアイヌの人達へのシンパシーが、良く通る澄み切った歌声で唄われており、感動的でもある。代表作『海洋』は台東の海岸の波打ち際の波音で始まり、彼の歌へと導かれていく。その波音から歌への導入も素晴らしい。上野のイベント会場では特設ブースでアルバム発売もしており、かなり売れ行きも良いようだったが、実際にこのアルバムを手に入れるのはなかなか難しいかも知れない。そこで特番ではこの「海洋」も彼の話と共にたっぷりと紹介するつもりである。乞うご期待といった所だ。

【今週の番組ゲスト:シンガーソングライターの三輪知可さん】
最新アルバムの「PIECES OF LIFE」、去年リリースの「SEVEN STORIES」から
M1「Rhodes hip!」
M2「Oceano」
M3「鼓動」
M4「ヒーロー」










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