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テイスト・オブ・ジャズ

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テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.331~信濃追分秋景色】

 この11月初旬、4日程信濃追分の山荘にいた。恒例の山荘閉めの準備の為である。早い人はもう11月に入ると山荘を閉めてしまうのだが、さすがに早すぎる感もありぼくは例年大体11月末、23日の祝日前後に閉めることにしている。高冷地にある山荘や別荘にとって最大の問題点は水の扱い。秋終わりには水道管を閉めないと、一度寒気に襲われると水道管破裂などと言う悲惨な羽目になってしまい、まったく立ち行かなくなる。そこで周囲の気温にはまず第一に敏感にならないといけないのだが、局員時代はそんなことも言っておれず、水道管破裂の悲惨な目にも数回ほどあった。しかし基本は悠々自適なリタイア身分の今は、まずそんなことはない。ただこの水閉めの作業なかなか大変なもので、ぼくのような生来の不器用人にはかなりな重荷。それだけに段階的にいろいろと整理しておく為に、この11月初めには一度は山荘を訪れることにしている。

 
この初秋の時期は、追分(軽井沢)のベストシーズンとも言えるもので、カラマツ林の黄葉は全く見事で、あの白秋の詩の一節「カラマツの林を過ぎて、カラマツの林をしみじみと見ゆ。カラマツは寂しかりけり、旅行くは寂しかりけり...」が自ずと浮かんでくる程。今年はこの黄葉の見事さを味わいたいと少し遠出をしてみた。北信の戸隠高原である。戸隠神社を中心としたこの高原一帯は、今が紅葉~黄葉真っ盛り、中社、奥社と続く戸隠神社周辺も赤・青・黄色とまるで歌そのものの様に見事だった。追分からは信濃高速道を使ってゆっくり2時間ほど。長野市から山道を上がると戸隠・飯縄高原が拡がり、まったくの別天地。戸隠神社は神殿は中社が最も大きいが、荘厳さでは荒々しい岩山の戸隠連山をバックに従えた奥社が一番。今までに数回訪れているがいつ来ても見事だ。今回は今まで訪れる機会のなかった鏡池~戸隠連山の眺めが最も美しいとされる~から戸隠の荒らしい岩峰群をじっくりと堪能させてもらった。朝日のあたる岩峰、周辺の木々の黄葉、そしてそれを映し出す鏡池の静かな湖面。この3つの見事なコントラスト。それらを堪能していると、突如黒雲(雪雲)が湧き出し小雪が舞いだす。そのダイナミックな変幻もまた良しなのである。

 
戸隠を後にすると当然温泉探索と言うことになるが、今回は長野市の郊外、松代にある松代温泉に行くことにした。と言っても正式名称は松代ではなく加賀井温泉一陽館。茶褐色の泥湯のような実に不思議な温泉でいかにも効用のありそうな炭酸を含んだお湯で、露天風呂は混浴。大正時代から続く名門旅館だったが、現在の当主が旅館を辞め日帰り専門にしたもので、そのご主人が案内をしてくれることでも知られた温泉マニア絶賛の施設。露天にはご婦人は入っていなかったが前に来た時には数人の婦人と言うよりもおばさんと一緒になり、こちらのほうが気圧された感もあった。
 
ところで秋の軽井沢だが、旧軽銀座なども閑散としており、実に落ち着いてものさびしい雰囲気。ただ話題の軽井沢アウトレットだけは平日でもかなりな混雑、日本人の購買意欲も捨てたものではなく、まだまだ活力ありということを実感させられる。まあでも秋の軽井沢やはり一番のお勧めです。

 
といった所で今週の1曲だが秋に因んだものを...。秋で最も有名なジャズソングは言わずと知れた「枯葉」だが、ここでは軽井沢とは縁もゆかりもないNYの秋を唄った「オータムインNY」。この歌詞にはNYの秋はどうしてこんなに人を引き付けるのか...などと言った一節があるが、それと同様に軽井沢の秋はどうしてこう人を引き付ける魅力に溢れているのか...と返したくなる気持ちを含めこの名曲を選んでみた。極め付けは大都会の秋の情景を切々と描き出した大御所フランク・シナトラのボーカルものだが、ぼくのお勧めはテナーの隠れたる名手ジョージ・コールマンが切々と歌い上げるこのナンバー(AlfaJazz)。雄々しさと切なさのない混ざった秀逸なオータムバラードプレーです。
今週の番組ゲスト:トランペッターの島裕介さん】
M1Sweet Esquiva  / 小山豊 島裕介」
M2So What / 小山豊 島裕介」
M3Contact / 吉岡大輔&the Express
M4Run into the B / Yusuke Shima
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