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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、再放送毎週土曜日23:00-、毎週日曜21:30-、などでオンエアー中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.103~雨の日のジャズ~】

 季節の移ろいは大変に早い。ちょっと前に桜の開花などと言っていたつもりが、もう梅雨の季節である。この時期は雨や曇りが続き外出もおっくうになってしまうが、この期ならではの愉しみも無くはない、その一つが井の頭線の乗車だ。吉祥寺から渋谷までの短い路線だが、何か高級感漂う路線で、ぼくは結構気に入っている。ぼくの出た都立高校も、この沿線の浜田山と言う当時は畑の中の小駅の近くにあったが、今は洒落た駅と街になっており、やはり愛着も湧く路線なのだが、この時期井の頭沿線は、アジサイの盛りなのである。あの箱根の登山電車のアジサイ群とはいかないが、結構見栄えが良く、渋谷に用事で出るときは吉祥寺で乗り換えて、この線に乗ってアジサイ見物を愉しむのである。

 さてそんな雨の時期、雨に関する歌といえば歌謡曲や演歌が定番で、やたらと数が多いのだが、洋物ではあのジーン・ケリーが主演した傑作ミュージカル映画の「雨に歌えば」や、カーペンターズのヒット曲「雨の日と月曜日は…」などがすぐに思い出される。ただこれらをジャズで演奏したり歌ったりしたものはぼくの知る限りでは無い。

 そしてジャズと雨だが、この結びつきで一番知られているのは、西海岸の歌姫スー・ライニーのその名もズバリの『雨の日のジャズ』だろう。ぼくは彼女のライブをサンフランシスコの小さなジャズ・バーで聴き、その歌声、容姿などに惹かれすぐに大ファンになってしまった。と言ってももう十数年前のことだが、何とも言えない色香漂う、いいナオン(女性)だった。その彼女のアルバム『雨の日のジャズ』は、彼女が19才のとき(1959年)のものだが、ナイト・ウエア姿の彼女は実に艶やかで気品があり、ジャズ・ボーカルのジャケットの中でも最上位にランクされる素晴らしいものだ。収録曲は「雨」のナンバーが中心だが、中にはロスト・ラブ・ソングもいくつか含まれており、やはり雨ならではのいささか気の重いナンバーが多いのだが、歌は一流で内容も素晴らしい。
 
 このアルバムでの「雨」ソングは、最も有名なのがジョージ・シアリングの大ヒット・ジャズ・チューン「9月の雨」。そのほか「雨のブルース」(淡谷のり子先生にもありそう…)や「レイン・オン・ザ・ルーフ」などがあるがどれもあまり知られているとは言い難い。そしてスー・レイニーだが、彼女の傑作としてはもう1枚、あの映画音楽の巨匠、ミッシェル・ルグランの曲を歌った「ルグラン集」がある。これはもう廃盤になってしまっているようだが、「雨の日のジャズ」はまだCDショップにあるはず。この季節に是非お勧めの1枚で、ジャケットだけでも充分に買う価値ありますよ。


今週の番組ゲストはチンさんこと鈴木良雄さん(左)


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