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テイスト・オブ・ジャズ

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テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.621~帝王マイルス~】
 
 今月の「テイスト・オブ・ジャズ」はジャズ入門編として、評論家にして現役の整形外科医でもある小川隆夫氏をゲストに招き、彼が昨年の暮れに出した分厚いジャズ辞典「マイルス大辞典」を取り上げ、彼にマイルスの魅力、
ジャズ初心者にとってのマイルスの意味合い...等、色々と帝王マイルスについて語ってもらうことになっている。彼は初心者には有名プレスティッジセッションの1枚『クッキン』から極め付けの「マイ・ファニー・バレンタイン」、そして中級者向けに『ESP』等のアルバムから選曲...と、過不足ない感じでお勧めの4曲を選んで、それぞれのアルバムの面白さ等も語ってくれている。だが何より興味深いのは、彼個人とマイルスとの交友録、彼との繋がりの話だろう。彼自身は晩年の5~6年間に、マイルスと20回近く会っていると言うが、正式なインタビューは数回程度。NYにいるはずのマイルスが西海岸に旅行で移ってしまい、そこまで追いかけてインタビューした話とか、足を悪くした際、整形外科医として個人的に診察、今後のアドバイスをしたことで2人の仲が縮まった話など、マイルスとのエピソード話が今回のハイライトとも言えそうだ。彼も言っているが、ある意味マイルスを追いかけていればジャズのことがほとんど分かる...と言うのは真実である。小川氏のマイルス話は番組で是非聴いてみて欲しい。

 ではお前自身のマイルス感は...等とも聞かれそうだが、やはりマイルスは「ジャズ界の帝王」と言う表現通りの人物で、彼を聴いていればジャズの大方は理解できるのでは...と言う本当のスーパースターだった、と至極当たり前の結論になってしまう。常に前を向き行動し、昨日迄の事は一切振り返らない。その強烈な前進力は、ぼくのような過去のことに捉われいつもうじうじしがちな男から見れば、本当に信じられない様な漢なのである。マイルスが出演した数少ないコマーシャルを、かつて演出・制作したのが大学の2年先輩で電通映画社のO氏。演出プランなどを持ち掛けてもあまり乗ってこず、かなり制作には苦労したらしいが、だみ声で終始不機嫌に語り掛けるその強烈なキャラクターは、彼が手掛けたどの俳優や政治家などよりも、強烈な印象だったと言う。
 と言うことでぼく自身が、ジャズ入門者にお薦めしたいマイルスの1曲は、その絶頂期1964年2月に行われたNYのホールでのコンサートでの録音『マイ・ファニー・バレンタイン』。その中のタイトル曲「マイ・ファニー・バレンタイン」である。小川氏がまずかけた50年代の「マイ・ファニー・バレンタイン」も、ロマンティシズム溢れる名演だが、このライブ盤での同曲はその表現の深みが圧倒的である。余りにも凄いので観客から大きな感嘆の念が発せられ、それがアルバムにも見事に収録されているが、それほど感動的であり、ジャズバラード表現の極致...と言っても、過言ではないほどの演奏が全編展開される。

 いずれにせよマイルスはマイルス。この「漢」無くしてジャズの発展は無かったし、彼の亡きあとその存在を超えられない所に、今の時代のジャズの混迷や悲劇もあるのだ...とも言えそうである。小川隆夫のマイルス講座、4月14日の放送予定です。是非お愉しみに...

【今週の番組ゲスト:音楽ライターの富澤えいちさん】
富澤さんの本『ジャズの聴き方を見つける本』をテキストに教えて頂きました。

M1「You Must Believe in Spring / MichelLegrand」『Les Demoiselles de Rochefort』よ
M2「You Must Believe in Spring / MichelLegrand Trio」『ALFA Years』より
M3「You Must Believe In Spring / Bill Evans」『You Must Believe In Spring』より
M4「You Must Believe In Spring / Tony Bennett & Bill Evans『Together Again』より
M5「You Must Believe in Spring / Richard Galliano」『French Touch』より


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