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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

    
【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.247~ジャズ入門~】

 いよいよ4月、我が国立の街が最も美しく色めき立つ時である。国立駅からまっすぐ南に延びた大学通り(一橋大学に由来する)、それに直角に交差するさくら通り。この2つが正に豪華絢爛の桜咲き誇る道路となり、華麗なお花見図を描き出す。街の桜並木としては恐らく都内随一。夜桜も見事で本当に国立に住んで良かったと思える時期である。もうすぐ一橋大の新入生も集まり、街は一段と賑わいを見せるはずだが、我らが「テイスト・オブ・ジャズ」もこの4月第1週は新入生、新社会人向けとして、ジャズライターやジャズに関心のある文化人、ジャーナリストなどをゲストに、その人の勧めるジャズ入門アルバムを紹介しつつ、ジャズの愉しさ、面白さを味わってもらう企画を毎年実施している。

 今年招いたのはジャズライターとして最も若い世代になる柳樂光隆(やぎらみつたか)氏。若いと言ってももう30は越しているのだが、今注目の気鋭ライター。最近ジャズシーンでも、ヒップホップなどストリート感覚の若向きな音楽とジャズを融合させた、ジャズの新たな動き(ニューチャプター)が席捲しつつある。このことは、これまでにもこのコラムで再三記して来ているが、そのジャズの新動向に最も精通している一人がこの柳楽君。このジャズ新潮流について彼が監修したムック本「ジャズ・ニュー・チャプター」は大好評で、現在第2巻まで出されているほどで、この秋には第3巻も予定されていると言う。

 そこで彼に今回のジャズ入門のゲストとして、今の最も新し目のアルバムを数枚紹介してもらい、その魅力について同世代感覚で語ってもらうことにした。彼とは今回が初対面。ヒップホップやアンビエントなどを同時代音楽として聴いて来ただけに、それ等とジャズとの融合には少しの違和感も無く溶け込める強さがあり、元々レコード店で働いていた強みもあり、実に守備範囲が幅広い。今回紹介してくれたアルバムも、ロバート・グラスパー(p)、エスペランサ・スポールディング(b/vo)を筆頭に、テイラー・アウグスティン(p)などどれも今の息吹を如実に伝えるもの。彼の本もジャズ本にありがちなお勉強色はほとんんど無く、小洒落たファッション感覚のジャズ本で、これならば若い連中も手に取りやすいと言った感じ。彼は元々レコード屋にいただけに、様々な音源に詳しく、当然ジャズの歴史にも通暁している。ジャズの伝統と新機軸に難なく対応できるフレキシビリティー。羨ましい限りだがロートルのぼくなどは、どうもヒップホップを生理的に拒絶するものがあり、この新潮流を全面的に理解することが難しいようである。まあ更なる勉強も必要なのだろうが、あまり無理しないようにと...、彼の話を聞きながら思った次第。しかし若いファンには柳楽君の話、かなり面白いはず。是非新入生、新社会人、そして今の最先端のジャズを理解したい人達は、番組聴いて下さいネ。

【今週の番組ゲスト:ジャズ評論家で音楽ライターの柳樂光隆(なぎらみつたか)さん】
M1『Butterfly / Robert Glasper』
M2『Black Gold / Esperanza Spalding』
M3『Ain't Misbehavin  / Jason Moran』
M4『The Thought of You / Otis Brown Ⅲ』
M5『Pink Moon / Taylor Eigsti』

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