2月18日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [テイスト・オブ・ジャズ]
2021/02/18(木) 19:00 番組スタッフ
テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.553~グレート3】

 
天才プーさんことピアニストの菊池雅章、鬼才ドラマーの富樫さんこと富樫雅彦、そして孤高にして最高のベーシスト、ゲイリー・ピーコック。この3人共が今はもう鬼籍に入ってしまった究極のザ・トリオ。まさに「グレート3」の名称に相応しいこのメンバーが、1994年に行った奇跡の2つのセッション。これが今回4枚組のCDとして完全版の形で復刻され、未発表の演奏も4曲ほどここには収められていると言う。このニュースを耳にした時、これは直ぐにでも番組でも紹介しなければ...と思い立ち、オリジナルのトリオアルバムのプロデューサーで、今回の復刻の立役者でもあるジャズブログ「JazzTokyo」(ぼくもコントリビューターの一人)の編集長、稲岡邦彌氏に登場いただき、今回このアルバムの魅力を紹介してもらうことにした。

 稲岡氏はジャズ界ではもう有名な存在で、あの欧州発の世界的ジャズレーベル「ECM」を日本に本格的に紹介した人物。別名ミスターECMとも言われる存在で、今は亡きトリオ・レコードの敏腕洋楽部長として、数多くの秀作ジャズアルバムを世に送り出してきたが、このアルバムもその中の一つで、特に彼が印象に残ったものでもあるようだ。このアルバムは、ある音響メイカーが高品質の録音でアルバムを作りたいと稲岡氏に話を持ち掛け、1994年の春、丁度ゲイリー来日の折にゲイリーにプーさん、富樫さんと言う究極の組み合わせで、アルバム録音が実現することになったと言う。そしてこの収録の前日、新宿の「ピットイン」でリハーサルを兼ねライブが行われ、そのライブもこのアルバムの2枚目から4枚目に収録されている。即ちスタジオの本セッションが「ビギン・ザ・ビギン」セッション、「ピット・イン」ライブの方が「テネシー・ワルツ」セッションと名付けられ、全部で4枚組、曲数にして23曲が収められている、正に「コンプリート・グレート・3セッション」なのである。

 スタジオの方はオーディオファン向けと言う面もあり、3人のオリジナルもあるがメインはスタンダードナンバーだが、これが一筋縄では行かない素晴らしさ。この3人は当時20数年振りの再会と言うことだが、さすがに超実力者だけにその共演模様は凄味すら漂う。富樫さんは不幸なことに(奥さんとの揉め事で長い車いす生活)、ドラムではなく特注のパーカッションを叩いているが、その表現力・衝撃力も凄まじく、それに呼応するプーさんとゲイリーも迫力充分。聞き応え十分なセッションが展開される。稲岡氏はその場に実際に立ち会っていただけに、関連話も興味深い。

 その上この番組では、恐らく本邦初お目見え~初公開のプーさんのラストソロアルバム(4月発売)から1曲、彼の代表曲「リトル・アビ」も最後に紹介する。これは2015年に亡くなった(享年75才)、プーさんの本当のラストソロアルバム(『花道』で2013年に録音されたもの)プロデューサーの要望を受け、彼にしては珍しくスタンダードを中心にソロ演奏したもので「サマータイム」「マイ・フェイバリット・シングス」などが収められており、そのラストが彼の代表曲「リトル・アビ」。50年近く弾き続けたこの曲の深淵な美しさを称えた究極の演奏で、番組は幕を閉じる。皆様もこの特別な「テイスト・オブ・ジャズ」、是非お聞きください。

【今週の番組ゲスト:音楽プロデューサーの稲岡邦彌さん
M1Begin The Beguine / Great 3」『コンプリート・セッションズ 1994』より
M2Straight, No Chaser / Great 3」『コンプリート・セッションズ 1994』より
M3Peace / Great3」『コンプリート・セッションズ 1994』より
M4Little Abi / 菊地雅章」『ラストソロ〜花道』より



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