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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.293~ジャズ本出版記念会】

 先週の土曜日の午後、新宿の老舗ライブハウス「J」で、あるジャズ本の出版記念パーティーが開かれた。本のタイトルは「人生が変わる55のジャズ名盤入門(竹書房新書)」と、いささかオーバー気味なものだが、我がクラブ仲間のベーシスト(日本のトップベーシスト)、チンさんこと鈴木良雄がジャズプレーヤー、ジャズライター、ジャズ喫茶マスターなどジャズ関係者50人の選んだ55枚の名盤について、自身の想いを語った至極分かり易いジャズ入門書。

 
このジャズ本については、このコラムでも以前にも紹介し、我がジャズ番組でも取り上げたものだが、それが2月初めに刊行されめでたく出版記念パーティーにこぎつけたというもの。出版記念パーティーにはチンさんの人柄もあって多くの関係者が集まり、「J」は超満杯。オーナー兼マスターの幸田稔くん(彼もぼくらの仲間)が進行役を務め、「お店も日頃からこんなに人が集まれば、ぼくも苦労はないのに...」などとぼやきをかましつつ会を進めていく。乾杯の音頭を早稲田の有名フルバンド=ハイソサエティー・オーケストラ(通称ハイソ)出身で、岩手・一関のジャズクラブ・オーナーとして知られる東北の文化人、菅原正二氏が務め、新宿ジャズ界のと言うよりもJ-ジャズ界のボス兼御意見番、ジャズクラブ「DUG」のオーナー、中平穂積氏が最初の挨拶に立った。二人ともこの本の出版に3年以上も要したことに驚いており、「もう出ないのとばかり思っていた...」と異口同音に語っていたが、まさにその通り。チンから頼まれアンケートと原稿をまとめたぼくも、てっきりこの企画はお流れだと思っていた。それがようやく出版と聞き驚くと同時に彼の為にも喜んだものだった。

 「
聴けばわかる」と一学年下の森田一義(タモリ)のキャッチフレーズが帯に大きく書かれたこのジャズ新書。嬉しいことに帯には小曽根真やケイコ・リーなどと並んで、ぼくの名前もジャズ達人としてクレジットされており、いささか鼻も高い。その冒頭でチンはこんな風に記している。「ジャズを作ったのはアメリカの黒人達です。人種差別がありました。黒人たちは自身の境遇の不条理さをエネルギーに変え、音楽(ジャズ)を作り上げました。そして自由を手に入れたのです。(中略)マイルスが言っていました。ジャズで大事なのはオネスティー(正直)だと。ぼくも今まで感じたことを正直に紹介していきたいと思います。そしてみなさんが元気になるアルバムに出会えることを願っています」と...。
 
出版社のジャズ好きな編集者達からも、これまでにないジャズ紹介本として概ね好評のこのジャズ本。集まった関係者も、上記の面々以外にも六本木の「ボディー&ソウル」の関京子ママや、横浜のクラブ関係者などをはじめ、峰厚介や山本剛、野力奏一、木住野佳子など多士済々のジャズメン達。それにライターや新聞記者、出版関係、早稲田大ジャズ研の面々等々。当然こんな面子が集まるのだから演奏も行われて盛り上がりも見せ、至極順調にお開きとなったのだが、「画龍点睛を欠く」の例え通り何かが足りない...、と多くの参加者が感じていたのは事実。
 親しい仲間ともう一軒、久しぶりでゴールデン街にでも繰り出そうかと話している所に、慌てて駆け付けたのがタモリ先生。「チンサン怒っているかな...」と心配そう。どうしたんだと聞くと「いやーちょっと野暮用で...」とそそくさと店に駆け込む。後で聞くとチンと軽く掛け合いをステージでやったようだが、さすが先輩思いの律儀な一義くん。残った連中もやんやの喝采で無事会もお開きになったとのこと。


 
因みにこの本でタモリが挙げる、ジャズ・ベスト5アルバムは①デイビス『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』②ビル・エバンス『ワルツ・フォー・デビー』③チャールス・ロイド『フォレスト・フラワー』④ライオンンル・ハンプトン『スターダスト』⑤ハービー・ハンコック『エンペリアン・アイルス』 と言うもので、③から⑤までが彼らしい渋い選択。これを見るだけでもこのジャズ本を買う価値ありですね。ぼくの選んだ第1位も上げておくと、言うもでもなくマイルスの『カインド・オブ・ブルー』で、この本でも輝く第1位でした。
【今週の番組ゲスト:アルトサックス奏者の宮野裕司(ミヤノ ユウシ)さんと菅野浩(スガノ ヒロシ)さん】 
M1「Just Friends」
M2「Spartacus-Love Theme」
M3「The Fool On The Hill」
M4「Senza Fine」
M5「Alt Talk2 Inprovisaitio Ⅱ」

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