「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週日曜19:00~19:30で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。
【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.704~早稲田大ジャズ研60周年コンサート~】
この11月12日の日曜日、渋谷のさくらホールで早稲田大学モダンジャズ研究会の60周年記念コンサートが大々的に開かれた。60年と言うと我が「テイスト・オブ・ジャズ」とほぼ同じ歴史を持つ。まあお互い良く続いているものだが、早稲田モダンジャズ研究会通称ジャズ研が日本のジャズシーンに、いかに大きな影響力を有しているかを、如実に示した充実したコンサートだった。
開演の30分ほど前には、ホールの入り口から階段まで200名を超す入場者が並び、最近のジャズコンサートではまずお目にかから無いほどの活気ある光景が現出され、1000名弱のキャパのホールがチケットは完売、そこここでOB連中の和やかな交歓の風景も見られた。ぼくも同期の面々や後輩のミュージシャン等としばし懇談、会場に入ると超満員でこれだけで実に気持ち良しである。会場の入り口で手渡された豪華なパンフレットは、LPジャケット仕様でその元はBNを代表する名盤『クール・ストラッティン』を模した仲々に洒落たもの。巻頭の早稲田大学総長挨拶等に続き、恥ずかしながらぼくと同じジャズライターの岡崎正通くんとのジャズ研対談が、4ページに渡って堂々掲載されており、これは手前味噌ながら中々に嬉しいものだった。ずらずらと駄弁った内容をよくまとめ上げてくれたと編集スタッフにはまことに謝・謝である。
さて肝心のコンサートの方だが、これの進行役はラジオNIKKEIの後輩でもあった(今はフリーディレクター)岡本郁夫くんで、膨大なOBミュージシャンの中から50名弱を選び出し、それを7つのグループにまとめそれぞれが先輩後輩の垣根を超え、実に見事な演奏を3時間以上に渡って繰り広げ飽きさせない演出、岡本君の手腕の見事さも光った。
7つのグループは森田一義君ことタモリがリーダーの「ジャズ・タモリ・バンド」をはじめ、名曲「夜空のムコウ」を書いたシンガーソングライターの川村結花(彼女もジャズ研OG)をリーダーとする河村鉄工所バンド、さらに佐藤達也を筆頭にした4人のサックス奏者共演の「フォー・テナー・ミーティング」等があり、中でも異色なのは一時期人気だったフリージャズを演奏した「ユニットF」。この手のコンサートでフリージャズが登場することはめったに無いので実に興味深いものだったし、その演奏も充分に聴き応えあるものだった。このバンドのリーダーは「渋さ知らず」等で活躍するトランぺッターの北陽一郎くんだが、なんとその中に漫画「連合赤軍」や諸々のエロ漫画の権威としても知られる山本直樹くんも参加。これにはびっりしたし、噂に聞く彼の演奏も初めて耳に出来て、大変嬉しくもあった。
まあそれにしても60周年、OB・OGだけでも600名強、実に多士済々な面子が集まっているものである。早稲田ジャズ研、万歳...と叫びたい所だが...。ステージに上がった新進プレーヤーとしては、やはりピアノの永武幹子さん(彼女は何回も番組に登場)と、もう一人昨年の横浜ちぐさ賞を受賞した注目のテナー奏者の中根佑紀くん、この2名の才が際立っていたと思った。特に中根君はその評判を以前から聞いており、是非今度番組にも登場してもらうことにしたいと思っている。いずれにせよ早稲田ジャズ研60周年オメデトウ‼、そして何時までもこのクラブが続いて欲しいものでもある。
【今週の番組ゲスト:ピアニストで作曲家の渡辺翔太さん】
4枚目のリーダーアルバム『Landed on the Moon』から
M1「Mancha-」
M2「Friends」
M3「Her Marmalade」
M4「SMILE」