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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日22:00-22:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.191~山本邦山死す~】

 邦楽とジャズのコラボレーション。一時はかなり行われた試みだが、最近はほとんど見られなくなってしまった。その因を考えてみると、第一にはやはりジャズ全体が元気無くなってしまったことなのだろうが、和楽器を積極的にジャズに取り入れようとする中心人物があまりそうした活動に熱心で無くなったことも、その因の一つでは...とも言えそうである。その人物とは人間国宝でもある偉大な尺八奏者、山本邦山師。その邦山師が2月の初めに惜しくも亡くなってしまった。享年76才。合掌!

 彼が最もジャズ・ミュージシャンとの競演に力を注いでいたのはJ-ジャズの興隆期とも言える1960年台半ば頃。佐藤允彦、富樫雅彦、そして当時日本で禅の勉強に励んでいたゲイリー・ピーコックなど新進気鋭の若手ミュージシャンと積極的に共演していた。一方尺八と言う楽器の普及の意味合いもあって、「原信夫とシャープ&フラッツ」などのフルバンドとも一緒にポップジャズ的アルバムを数多く作ったりもしたものだった。ジャズ番組を担当したぼくも、彼を是非スタジオに呼びたいと思って交渉もしたのだが、スケジュールなどが合わず断念せざるを得ず、その後は彼も大家になってしまったので、一度も会うことも無かった。

 但し彼と親交のある中堅ブルースギタリスト(ジャズもこなすギタリストで、数年前には池上本門寺で、邦山師と共演もしている)から「先生もお年なので一度番組に出演して、邦楽とジャズについて語ってもらったらどうです...」等と言ったお誘いも受けたこともあったのだが、残念なことにそれも実現しないままになってしまった。

 それにしても僕たち音楽ライターも、ジャズやポップス、クラシック等は知っていても、こと邦楽の事はその楽器すらほとんど知らないのは恥ずかしいこと。一方邦楽の分野の人も邦山師と山下洋輔さんなどとは共演したり、自身も独特なジャズ・バンドも結成している鼓の家元仙波流の宗氏、仙波清彦くらいがいる程度であまり交流を持とうとはしないようでもある。これもまた残念なことである。

 それにしても邦山師の死去は残念なこと。ゲイリーとの共演作は日本的な感性とジャズの感性、東西の音楽が融合した素晴らしい作品だった。こうなると大変にユニークにして多彩な才能の持ち主、仙波先生に頑張ってもらうしかない。彼には今まで数回番組に出演してもらい、毎回面白い話を聞かせてもらったが、邦山師を悼んで、また番組に登場してもらい、いろいろ知らない話を聞きたいものである。

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