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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜22:30~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.488~シンガー海原純子】

 本当は先週にこのコラム記事を載せる筈だったのだが、色々と当方の手違いなどもあり1週ずれての登場となった。今回の主役は先週我がジャズ番組に出演した海原純子。まだ再放送中でもあるので、決して時期外れではありません...と、先生(海原さん)向けの弁解をまず一つしてから...。


 海原純子と言えば、この所は余り見かけなくなってしまったが、一時はワイドショーの医学や心の問題関連などで引っ張りだこ、心療内科医にして医療系TVタレントとして余りにも有名な存在で、確か数年ほどラジオNIKKEIの番組審議員もやっていたと思う。現在の正式な肩書は心療内科医にして日本医大客員教授、その他にも幾つかの医療系役職を有している。彼女が有名になったのはもう30年以上前、初めて女性専門のクリニックを青山に開業して以来のこと。今では至極当たり前の女性専門クリニックだが、それまでには女性専門に医療問題を扱う所などは無かったし、そこに目を付けた海原先生は流石...と言った感じ。

 ぼくが彼女と知り合ったのも丁度その直前の頃で、当時のラジオたんぱでは「オールナイト・ニュース」を始めようとしていた時期。そのニュースパーソナリティーを一般の女性達に担当させようとし、公募したのだった。それに応募してきたのがまだ現役の慈恵医大の勤務医で、山っ気たっぷりだった海原女史。1年半ほどそのパーソナリティーを務め、その頃は若くて中々にチャーミングな女性だった。当時ぼくも報道部で時々その深夜ニュース番組も担当していたが、誰かからぼくがジャズ番組を担当と聞いた彼女が声を掛けて来て、ジャズが大好きということでジャズ話や医学生時代にバイトでジャズクラブで唄っていたなど身の上話なども良くしたものだった。
 その後も色々と付き合いが続き、確か番組としての付き合いの最後は、香港の観光協会協力の2時間近い香港特番、一緒に数日間現地に行ったのが10数年前のこと。以来余り付き合いは途絶えてしまったが、先日彼女から突然TELがあり、「お久し振り...、わたし今度ジャズアルバムを出したの...。ジャズ業界のことには疎いので、パブリシティーなど是非協力してくれない...」と彼女にしては至って低姿勢のお願い。元々気弱なぼくとしては、女性からの頼みとあれば断り切れない。ましてや海原女史からのお願いとあっては...。ただことジャズ話となると...、と言うのももう10年以上前に、彼女のジャズボーカルアルバムを...と言う話になって、ぼくがプロデューサーの様な役割を務める羽目になったのだが、なんとこれが直前でお流れ、言うなれば彼女がドタキャンしてしまったのである。ぼくも色々仲介やプロデューサー役としてレコード会社などに頭を下げることになってしまった。
 そんなこんなあって、彼女とジャズ話は...と思っていたのだが、やはり直接の頼みとなると気弱なぼくとしては...。あの頃はまず彼女の名前を生かす(利用する)と言うのが第一で、その実力は本当に疑問符だらけだったのだが...、などと思いながら送られてきた彼女の初めてのジャズアルバム『ロンド』に耳を傾けてみると...、これがいささか吃驚なのだが、かなりな出来栄えなのである。あれから十数年、彼女が時々六本木や青山などのジャズクラブでライブをしているニュースや彼女からの招待状などでも知っていたが殆ど無視していた。しかしその間彼女は、彼女なりにかなり充分に研鑚に励んでいたのだった。その成果がかなり良く分かる内容に仕上がっており、これには正直一寸ばかり驚かされた。バックの面々も良く一緒にやっている、東大出身の俊才ピアニスト若井優也君を始め、ベースの安カ川大樹などかなりな実力者揃い。その上嬉しいことにはぼくとも本当に長い付き合いであるNY出身のスティーブ・サックスが付き合っていること。彼は彼女のボサノバナンバー詞にポルトガル訳詞も付けているではないか...。これならば充分に安心と...色々なジャズ関係者や出版社にもアルバムを推薦、結構インフォメーションも載るようになって、彼女も大喜び。そして先週の番組への登場となったのである。

 以前のアルバム話の時に、ぼくは星と月に関したナンバー(「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン」「アラバマに降る星々」など)を集めて歌うことを提案、彼女も喜んでその提案を受け入れたのだが結果は前述したとおり...。今回でもその時提案のナンバーの1曲「ムーン・レイ」を歌っており、その他に雲をテーマにしたボッサナンバーを自詞にまとめており、その他もう1曲、彼女が詞を書いた曲「ゼン&ナウ」も収められている。それ以外は「エンブレッサブル・ユー」「アイ・ガット・リズム」等8曲が所謂スタンダードナンバー。こうしたお馴染みのある意味唄い過ぎの感もあるナンバーも、結構自身の個性を発揮して歌いこなしており、中々に天晴れと言えそうだし、改めて彼女の素晴らしさに感服した。

 ぼくはここ数年、中野区の公民館から頼まれジャズ講座を年数回ほど実施しているが、来年の2月にまた実施することになっており、その初回にはおばちゃん達からも人気の海原純子先生を、心療内科医としてでなくジャズシンガーとして招き、ジャズ話を展開する予定にしている。乞うご期待である。

【今週の番組ゲスト:バンドネオン奏者の仁詩(ひとし)さん】

新譜『FELIX』から
M1Oblivion
M2FELIX
M3Tango Tempest
M4Nuovo Cinema Paradiso


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