4月29日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [テイスト・オブ・ジャズ]
2021/04/29(木) 19:00 番組スタッフ

テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.563~夢のカリフォルニア

 のっけからいささかセンスが無くて申し訳無いのだが、ここで質問をひとつ...。「貴方はアメリカと言うと、どの街~どこの風景をまず思い浮かべますか...」。まあその答えは、このコラムの読み手がジャズ好きと言うことから、直ぐにNYと言う名前が挙がる筈だろう。だが中にはジャズ発展の重要都市カンサスシティ―、またジャズ発祥の地ニューオリーンズ、あるいはウインディーシティー(風の街)とも呼ばれるシカゴ等々。これらの都市を挙げられる方もおられるかも知れない。恥ずかしながらこれ等の都市の内、ぼくが実際に訪れたことのあるのはNYだけ(米国訪問は6度ほど)。それも同地に最も長く滞在したのも5日ほどで、アメリカと言う土地はチャンジーになってしまったぼくにとって、未だに未知の憧れの土地なのである。 

 そう言えばアメリカきっての大都市魅惑の街NY。この街にかつて我がラジオNIKKEI(当時はラジオたんぱ)も、ラジオ局には珍しくNY支局を開設していたことがあり、このコラム担当のO氏もかつてNY支局長として、実に有益で愉しい1年間を送った筈。誠に羨ましい限りなのである...。

 冒頭の愚問だが、ぼくの答えはサンフランシスコ~カリフォルニアと言うことになる。NYもジャズ関連の友人や後輩も数多く、実に刺激的な魅力溢れる街なのだが、初めてアメリカを訪れた時(20代半ば)に、最初に降り立ったのがカリフォルニアの地~サンフランシスコの街だった。それ以来これぞアメリカと言った明るさ(あの青い空)と独特な陰影を兼ね備えた坂の街=サンフランシスコは、ぼくにとって大変に忘れ難い街なのである。そしてこの街のことを思い出すと、あの男女4人組のコーラスグループ「ママス&パパス」の「夢のカリフォルニア~カリフォルニア・ドリーミング」の印象深いメロディーと歌詞、これが直ぐに頭に浮かんでくる。恐らくぼくにとって、最も印象に残るポップスの1曲と聞かれれば、この曲を挙げるに違いない(今までそんな経験は無いが...)のでは...とも思う。先日も新宿の「ディスク・ユニオン」でジャズCD漁りをしていたら、ママス&パパスのベスト盤が安く出ており、当然持ってはいるのだがその安さにつられ、また1枚彼らのベストもの買ってしまった。何せ1965年~67年迄の数年間しか活動していないグループなので、アルバムは本当に少なく(3枚の筈)、ベストアルバムさえあれば十分なフォークロック&ポップスユニットなのである。

 先日もユーチューブを見ていたら、そこにママス&パパスのものも載っており、そうなると当然「夢のカリフォルニア」である。わずか3分弱の彼らの映像は、まさにあの時代のカリフォルニアの雰囲気、ヒッピーカルチャーからフラワームーブメント時代を映し出し、今見ると懐かしくも実に奇妙なものであった。しかし「カリフォルニア・ドリーミング、オン・サッチ・ア・ウインターズ・デイ...」と、太っちょママキャスことキャス・エリオットを中心に唄われると、何とも言えぬ哀感が込み上げて来て、堪らなくなってしまう。4人組はママキャスとデニー・ドーハティー、そして作曲・作詞のジョン&ミシェル・フィリップス夫妻と言う男女同数で、まだ健在なのは後年女優として名を為したミッシェル・フィリップスだけ。後のメンバーは2000年代始めにみんな死んでしまい、最も有名なママキャスなどは、70年代初めに若死にしてしまっている。

 作曲・詞のジョン・フィリップスは、NYの出身で里帰りした冬の寒いある日ホテルの一室で、暖かく陽光輝くカリフォルニアの地を思い浮かべ作った...とも言われるこの曲。NYとシスコと言うアメリカの東西を代表する都市が、即座に結び付き様々な意味合いでも興味深いもの、なによりそのメロディーが秀逸だ。

 まあここはジャズ関連コラムなので、ジャズとの関連も一つ。やはりこの曲のジャズバージョンと言えば、大ヒットを記録したギターのウエス・モンゴメリーのバージョンだろう(ヴァーブ原盤)。彼のポップス路線の先駆けとなった記念碑的作品で、ドン・セベスキーの見事なアレンジ、クリード・テイラーの抜群のプロデュースセンスなどが一体化した名演・名盤である。そして今回いろいろな記録を見ていたら、なんとあの「ママス&パパス」の元唄の中で、印象的に聞こえるフルートの演奏。これを担当しているのが、アメリカ西海岸を代表するサックス&フルートの名手、バド・シャンクだと今回初めて知った。そうか...だからあの曲もより印象深いのになっているのだ...と、今回改めて気づかされた次第。シャンクは自身のアルバムの中でもこの曲を取り上げているが、原曲のフルート程の印象は残していなかったと思う。それにしても勉強になりました。

【今週の番組ゲスト:トランぺッターの山田丈造さん】
初リーダーアルバム『SPECIAL』から
M1
Spirit Kick
M2
Funky Boy
M3
Remember Rockefeller At Attica
M4
City Connection



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