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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.315~時代は】

 7月初め、軽井沢ジャズフェスなどの用事もあり追分の山荘に数日滞在、10日の参議院選挙投票を行うために帰京、何か悪い予感がしていたが、その夜の開票速報番組スタートと同時に、自公など改憲勢力が3分の2か...とテロップが出て、以降もその通りの動き。まあある程度予想はしていたがこんなに急速に時代が悪い方に向かいつつあるとは、流石にびっくりだった。世界に冠たる平和憲法とその根本にある平和主義を、時代を読まないある意味KYな考え方だとして排斥しようとする、悪しき傾向が広がりつつある。ぼくのようなオールドボーイが、そんな危険な傾向を嘆いてもどうしようもないのだが、考えてみれば今や若年層から子供たちまで、街にはゲームと言う形でウオー=戦争で溢れ返っており、無自覚に戦争を愉しんでいる傾向すらあるこの時代に、平和や個人の人権などの意味合いを説くのは大変なことだが、そこは何とか頑張らねばならないのだ。
 あのトレンディ俳優とされる石田純一が、突如として都知事候補として立候補...(結局はやめたのだが...)と言ったニュースはある意味驚かされもしたが、悪しき時代へ向かう流れへの精一杯の抵抗の現れだったとして、彼の少し先輩としてはその心情、良く分かる。
 そしてついにジャーナリストの鳥越俊太郎が立った。かつて何回かインタビューもさせてもらった鳥越氏。同世代の彼の不退の決意。かつてガンを患いながらも、その心配を乗り越え良く決意したものである。その心意気、高く評価したいし、最大限に協力したいが、結果はどうなるか神のみぞ知るや...である。

 
ちょうどこの大変な時にタレントの永六輔が亡くなったと言うのも、ある象徴的な事件だった。永さんとは番組などでのお付き合いは一切なかったが、全国各地の廃れ行く放浪芸を探し歩く特番を制作している時には、そうした演芸者の会での楽屋(浪速の浪曲師、広沢瓢右衛門や越後のごぜさんの生き残りなど)ではよく一緒になることもあり、確か瓢右衛門さんの大阪花園の実家では、一緒に酒を飲んだりもしたはずである。
 「大往生」等のヒット作も書かれた永さんは、異様なほど礼儀に厳しい人で、瓢右衛門さんに対する敬意がお前には無い、それでは制作者として駄目だ...などと叱られたこともあった。口うるさい人でありTBSのラジオ番組デは、晩年ほとんど口が廻らないところも多かったが、番組に賭ける情熱は凄いものがあり、それは同時に平和憲法を守ると言った戦後マスコミ知識人としての矜持でもあった。彼は廃れ行く芸能の理解者であると同時に、ジャズ愛好家でもありそうした議論は楽しいものでもあった。合掌!

 
ところでジャズも軽井沢ジャズフェスを始め、盛夏を迎え佳境に入りつつある。かつての大規模ジャズフェスこそ影を潜めてしまったが、9月初めの東京ジャズや横浜のブルーノートフェスなど、いくらかかつての隆盛を取り戻しつつはあるようだ。どれほどそれらに参加できるかわからないが、行けるものは行きたいと思っている。しかしこの時代の悪い流れ。それが気になって音楽にも没頭できないのもまた事実なのだが...。

【今週の番組ゲスト:ジャズサックス&フルート奏者の多田誠司さん】
M1「OLEO」
M2「残照」
M3「WARM WOODS」
M4「HACKER」

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