「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週日曜19:00~19:30で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。
【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.712~混沌の日本の幕開け~】
新しい年が明け早や10日ほど、元日に能登大地震が発生、そして羽田飛行場での大事故等々、混迷の日本と言う国を象徴するような年初からの大事件。被災した方達には何と言葉掛けして良いか分からないが、頑張って下さい...位しか言え無い。
ぼく個人としても昨年の転落事故で肋骨を酷くやられたが、どうにか台湾取材などをこなし、年明けを迎えることが出来た。しかし例年年明け最大の関心事であるラグビー大学選手権、この選手権で我が早稲田大ラグビー部は京産大に完敗、年明けを迎えることも叶わず...。その結果2日の準決勝戦もTV観戦も止めてしまい、ひたすら読書と身辺整理の正月三昧。つまらないことこの上なしだが、これもまた詮無きことなのである。
当番組「テイスト・オブ・ジャズ」も今年度は確か開始60周年を迎える筈、まあそれなりにお目出度いことではあるが、では周年記念でも...となると、もうそんな企画を立てるほどの元気も無い。しかし番組としてはまあ60周年も意識し、年明け最初のゲストとして久々の小曽根真を招き、元旦と7日の2回に渡って放送した。小曽根の登場はなんと25年以上振りで、「国立音大ジャズスペシャル」などでの登場はあったが、番組本体のゲスト登場は本当に久し振り。彼がスタジオに時々来ていたのは、未だスタジオがアメリカ大使館前にあった頃のことで、小曽根に言わせるともう30年以上前になる筈とのこと。それだけに迷ってしまうか少し心配だったが、そこは大スター、外車で乗り付け駐車場の手配も大変だったようだが、暮れのドン詰まりの一日の収録、前日にマカオのライブから戻ったばかりなのに、少しも疲れを見せず愛想よく対処してくれた。感謝・感謝。
ところで今の日本のジャズシーンで、最もアクティブな活動を展開している彼は、ライブや国立音大の授業、そして海外でのコンサート活動など本当に忙しい毎日。今回も番組の収録後に、地方のFM局のTEL取材が2つほどあり、正月明けのコンサートの打ち合わせも...と大忙しの様子だった。少し前にある新聞のインタビューで、今年は住まいもNYかヨーロッパのどこかに移し、新たな拠点で活動を発進するつもりとあった。番組では国立音大の卒業生などと組んだ新しいトリオの話がメインで、余りそこら辺の話が出てこなかったので、収録終わりに少し聞いてみると実際そう考えているのだと言う。そして驚くべきはその為に国立音大の授業もほぼ終わりにして、後は同じピアノのソルトこと塩谷氏に任せるつもりだとのこと。今やジャズの話題の新人と言うと、RINAをはじめとして殆どが小曽根氏の息のかかった面々。それだけにこれからも国立音大ジャズ科関連をメインに活動を...と思っていただけに、この話には少しばかり驚かされた。「国音ももう大分になってしまったので、そろそろまた第一線で...」と言う小曽根。新人時代のあのヒリヒリとした緊張感を求め、第一線に戻って...と言うその心意気や良しである。
そう言えば彼が時々スタジオに遊びに来てくれていた30年以上前のソニー・ミュージック時代、プロデューサーはぼくと仲の良いÈ氏だったが、彼の扱いに結構気を使っていたしスタジオに来ても結構我儘だった様にも思った。そんな時代を思い出し彼も「あの頃は本当に怖いものなし...と言うか、生意気だったと思いますね。結構迷惑を掛けたかも...」などと彼は語ってくれたが、いやいや決してそんなことはありません。あのゲーリー・バートンなどとためを張っていた生意気盛りのあの時代あってこその、今の世界的名手=小曽根真の存在あり...なんですから...と、言葉には出させねどぼくは心からそう思っていた。ヴィヴァ‼小曽根であり、これからの彼の活動は本当に要注目と言った感じだ。
【今週の番組ゲスト:Steelpan Records 主宰 塩田哲嗣(のりひで)さん